鶴岡市の県水産研究所職員の潜水事故から1年 上司指示で湾外潜水 単独作業を希望せずも実施
鶴岡市の山形県水産研究所の男性職員が潜水作業中に溺死した事故から2日で1年がたちます。事故をめぐり、男性は上司の指示を受けて波が荒れやすい「湾外」で作業に当たっていたことが新たに分かりました。また、男性は2人1組での作業を希望していました。
県農林水産部長会見「ご遺族の皆さまに深くお悔やみ申し上げます」
事故は、去年4月2日の午後、鶴岡市温海の沖合で発生。当時、1人で潜水作業をしていた県水産研究所の職員・五十嵐大将さん当時31歳が海底に沈んだ状態で見つかり、死亡が確認されました。
県人事委員会事務局鈴木利信職員課長(当時)「安全衛生管理体制の不備が今回の事故の最も大きな原因」
事故の背景にずさんな安全管理体制が浮かび上がりました。
研究所の内規では事故以前から「2人1組で潜水作業を行う」ことが定められていました。事故直後、県は「単独での潜水は常態化していなかった」と説明していました。
しかし、発生から5日後に開いた会見では。
県農林水産部高橋和博部長「管理監督の不行き届きの中で1人潜水が増えていってしまったことは組織の管理監督の責任が非常に重いと認識している」
内規に反して職員1人での潜水が常態化していたことが判明しました。また、本来であれば潜水作業を行う際に事前に必要な所長の決裁が事故当時はほとんどが事後決裁になっていたほか、所長が定期的に行うべき潜水器具の点検も職員任せになっていた実態も明らかになりました。
こうした状況を踏まえ県職員の労働環境の管理などを担う県人事委員会が調査に乗り出し、法令違反が複数あったと認定しました。
県人事委員会事務局鈴木利信職員課長(当時)「安全管理に関するマネージメントが十分に行われていなかった。職員同士がある程度顔の見える関係になっている組織だったので現場に任せておけば大丈夫というところが背景としてはあったのではないか」
去年9月、五十嵐さんの遺族は県に対し、事故当時の作業の指示系統などについて再調査を求めました。
この求めに応じて県では再調査を実施。その結果、当時、五十嵐さんが行っていた作業は、2週間ほど前に研究所内で行われた会議で、当時の所長から指示されたものであったことが新たにわかりました。
また、研究所内で常態化していた単独潜水は、いつもなら陸地に囲まれ波が穏やかな湾内で行われていましたが、五十嵐さんが作業を指示された地点は、波が高く荒れやすい湾外でした。
当時、研究所には五十嵐さんの他に潜水士が2人いて、五十嵐さんは「2人1組で作業を行いたい」と希望していましたが、体調不良や会議の予定があるとして単独での潜水を余儀なくされたということです。
酒田海上保安部は五十嵐さんの上司らの安全管理が十分ではなかった可能性があるとみて、業務上過失致死容疑での立件を視野に現在も調べを進めています。
県は再調査の結果について「酒田海上保安部の情報と齟齬がないよう処分を待ってから公表する」としています。
五十嵐さんの遺族はYBCの取材に対し「事故で息子が亡くなったことは今でも悔しくこの1年は辛かった。再調査の結果について県は早く記者会見を開いて事実を明らかにしてほしい」と話しています。
事故発生から2日で1年。鶴岡市の県水産技術振興センター(旧 県水産研究所)では、発生時間に合わせて吉村知事や県幹部、遺族らが出席する追悼式が行われます。