大学野球シーズン到来!中里篤史に憧れる都立出身の新星やプロ注目スラッガーが躍動
WBCやセンバツ甲子園に沸いた3月が終わり、4月が始まった。3月27日に開幕したプロ野球も熱気を帯びているが、大学野球シーズンも本格的に到来だ。
4月1日には関東の大学野球の先陣を切って東京新大学野球春季リーグが開幕。1部リーグ開幕節の会場となった大田スタジアムには、多くのNPB球団スカウトが集まった。
昨年は創価大の内野手・立石正広が3球団競合の末、阪神にドラフト1位指名で入団。また、秋季リーグでは立教大を日本一に導いた経験のある溝口智成監督が2024年に就任した杏林大が初優勝を飾った。その勢いで横浜市長杯も制し明治神宮大会にも初出場を果たした。
リーグ優勝最多51回の創価大のライバルとして戦ってきた流通経済大、共栄大、東京国際大も当然力を持っており、JR東日本の選手・マネージャーだった松浦健介監督が就任した駿河台大も、好素材が多く進学し力をつけている。
第1試合 杏林大3-0流通経済大
そんな群雄割拠の様相を呈しているリーグの開幕戦でいきなり、まばゆい輝きを放ったのは、杏林大の2年生右腕・内野大翔(うちの・ひろと)だ。
スラリとした体格から伸びとキレのあるストレートを中心に押していき、変化球もカットボールやチェンジアップなどを織り交ぜ、リーグ優勝33回の流通経済大打線を1安打完封。四球は1個のみ、奪った三振は13個にも上った。
高校時代は都立の東村山西高に在籍しており、卒業後の就職を考えていたというが、3年夏に最速142キロを投じるまでになり、強豪の東海大菅生とも西東京大会32強で4対5と健闘。これに自信をつけ自宅から通える杏林大のセレクションを自ら受けて合格した。
大学でも着実に成長を遂げ、1年時にリーグ戦4勝を記録。溝口監督が「体感は球速(140キロ台前半から中盤)以上で、ストレートと分かっていても打たれない」と評すれば、ネット裏のスカウトからも「ストレートの質が素晴らしい」「フォームが柔らかくブレない」「身長(180センチ)以上に大きく見える」などと今後に期待する声が相次いだ。
自身もストレートの質の良さに自信を持っており、この日も「ファウルを取ってカウントを優位に進めることができました」と好投の要因を振り返る。
理想とする投手にはSNSで偶然目にしたという中里篤史(元中日)を挙げており、中里のような伸びと威力抜群のストレートを目指しているという。
まだ2年生。都立校出身で、1月生まれの早生まれということもあり、まだまだ大きな伸びしろを残していそうだ。
第2試合 創価大3x-2駿河台大(9回サヨナラ勝ち)
次第に雨足が強くなる中で終盤は互いにミスが目立つ乱戦となっただけに、創価大としては4回の同点打が大きかった。
打ったのは4番の山田琉衣。健大高崎高の出身で高校通算本塁打は21本。志望進路にプロを掲げるスラッガーはレフトへの痛烈な当たりを放ち、チーム初安打。死球で出た走者を見事に返し、4番の仕事を果たした。
試合後の山田は同点打の場面を振り返り「3ボールで待てのサインも出なかったので、ストレートを狙っていました」と明かした。一方で6回1死一、二塁のチャンスではセンターフライに終わり悔しさも滲ませた。
持ち味については「広角に長打が打てることや捕手をやっていたので肩が強いことです」と力強く話す。今春に向けては、昨年多かった三振を減らすことに重点を置きながらもスイングは弱めず「追い込まれてからでも強いコンタクトができるように」と鍛錬を積んできた。
日本ハム、ロッテ、巨人で内野手を務め、オリックスでは二軍内野守備走塁コーチを務めた創価大の高口隆行ヘッドコーチも「長打が打てて肩も強い。コンタクト率が上がって空振りも減ってきました」と、長所と成長を評価している。
山田にとって1年先輩の立石の姿は大きな刺激となってきた。「ストイックで誰よりも練習していましたし、優しくて温厚な人柄でした」とグラウンド内外で強い尊敬の念を持つ。それだけに今年は、王座奪還はもちろん、立石も成し遂げた「三冠王」を目指しチームを牽引する。
文・写真=高木遊