152年の歴史に幕、大分・中津の津民小 29日閉校式で太鼓の共演
152年の歴史を刻んだ大分県中津市耶馬渓町の津民(つたみ)小学校が今月末、児童数の減少で閉校になる。29日の閉校式では、他県からも駆けつける卒業生たちが在校生と和太鼓で共演する。出演する若者たちは寂しさを口にしながら、「演奏で津民地域の絆を伝えたい」と張り切っている。
2月下旬、学校に高校生を含む7人の若者たちが集まった。幼稚園教諭の小川美紗妃さん(21)が「ソーレ」の掛け声とともに宮太鼓を連打すると、ほかのメンバーも続いた。息の合った地響きのようなリズムが体育館を満たした。
閉校式に姉2人も出演する小川さん。「みんなとこうして太鼓をたたけるのはたぶん最後。一丸となって、楽しくたたきたい」
太鼓演奏は2007年から続く。戦前から行われる相撲大会と並ぶ学校の自慢だ。閉校式の練習も指導する田本久美子さん(62)が、用務員をしていたときに始まった。元気あふれる演奏は地域でも人気で、イベントや高齢者施設に招かれた。
閉校式で演奏する卒業生は、07年当時に在籍していた20代後半から中学1年生までの16人。岡山県や福岡市からも参加する予定だ。
北九州市の製鉄所で働く山本輝(ひかる)さん(28)はバイクや車で約1時間半かけて5回の練習に参加してきた。母校が大好きで、運動会には帰省し、住民参加競技に出場した。太鼓のバチは14年ぶりに握ったが、「リズムを体が覚えていた」という。「最後なのでぜひ参加したかった。悔いのない演奏をして終わりたい」
練習中、卒業生たちは名字でなく名前で呼び合い、太鼓演奏の思い出を語り合った。田本さんはそんな教え子たちに「あんたたち、泣きながら打ちなさんなよ」と笑顔で呼びかけた。
津民小は1874年に創立。檜原山のふもとにあり、近くを津民川が流れる。1959年に234人いた児童は、卒業した6年生の堀内琥嗣(こうし)さんと、3年生の堂上(どうじょう)月(あかり)さんだけになった。2人は先輩たちとの共演に少し緊張しながらも張り切っている。堂上さんは高2と中3の兄たちも出演するとあって、「初めて一緒に演奏するので楽しみ」。
閉校式の案内チラシは校区の全192世帯に配られ、多くの卒業生が出席する予定だ。最後の卒業生になった堀内さんは言う。「学校がなくなるのは寂しいけど、感動してもらえる演奏をしたい」
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県内では少子化などの影響で小中学校の閉校が相次ぐ。県教育委員会によると、24年度までの5年間に少なくとも小学校12校、中学校7校が閉校した。25年度も津民小や杵築市の立石小が閉校になる。
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閉校式に先立ち、2722人目の卒業生となった堀内琥嗣さんを送り出す第130回卒業式が19日、学校であった。堀内さんは3年生の堂上月さんや教諭たちと和太鼓を披露。くす玉を割った後、見送りのアーチをくぐって、思い出の詰まった学びやを後にした。
堀内さんは6年間の学校生活を振り返り、「今日まで温かく見守って下さった地域の皆さん、先生方、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、本当にありがとうございました。月くん、僕についてきてくれてありがとう。一緒に過ごしてきた日々は僕の宝物です」とあいさつ。
山香昭校長は式辞で、座右の銘という「1日1ほめ」を勧め、「ここで育まれた対話の精神、そして2人の絆は永遠に消えることはない」と述べた。父親の堀内信敏さん(52)も同校の卒業生で、「こんな大トリを飾れるなんて、一生にあるかないかのことだと思う。親の自慢話にしたい」と涙ぐんだ。