【FGO】立香と愉快な仲間たちの第五次聖杯戦争3
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「はぁ~衛宮の家大きいなー」
「そうか?」
「……」
「マスター。私は辺りを警戒している」
「ああ。サンキュ。アタランテ」
衛宮の許可を取れた俺達一行は、衛宮家の玄関を潜っていた。衛宮の家は、家と言うか屋敷のようで、蔵のような建物まで建っていた。
衛宮、俺、清姫、フラン、そして最後に遠坂とアルトリアといった順で、廊下を歩いて行く。やがて居間に着き、衛宮の向こうに遠坂が座ったので、俺は迷った挙句、双方ともいない場所に座った。居間にある食卓をロの文字に例えると、横の棒にそれぞれ衛宮とアルトリア、その向こうに遠坂、そして縦の棒に俺と清姫、そしてフランが座っている具合である。
各々が口を開くタイミングを窺っている中、最初に口を開いたのは遠坂であった。
「それで…。まず何を話したら、いや、聞いた方がいいのかしら…。まず、一番この状況が分かっていないのは衛宮君よね?」
衛宮は、戸惑いながらも頷いた。しかし、その様子を見た遠坂は俺に視線を向ける。
「でも、それよりも大事なのは貴方の存在。えーと…」
「藤丸立香、ですよ。遠坂さん」
「ええ。ありがとう。…藤丸君。あなた何者なの?サーヴァントを何人も従えている。それに同じクラスを複数騎。しかもセイバーの正体も知っているようだったし。説明してくれるかしら?」
と、気がつくとアルトリアも怪訝な表情でこちらを窺っていた。
ふむ、どうしたものか。そう悩んでみるも、どうにもこの状況から逃れる術は無いようである。いや、もちろんロビンフッドのようなサーヴァントを令呪で呼び出し力づくで脱出出来る事も可能なのだが、今まで俺は遠坂や衛宮をこちら側に引き入れる、そうでなくとも彼らを協力者とするために行動してきたのだ。彼らに俺たちのことを信頼させるためにもここは包み隠さず俺たちの事について話すべきか。
「わかった。正直に話すよ。だけど」
「だけど?」
「今から話す内容は突飛な話だし、現実染みた話でもない。だからまあ、信じるかどうかはお前たち次第ってことで」
「ええ。わかったわ」
「よし。……じゃあロマン。あと宜しく」
『ここで僕に振るのかい!?』
「どこから声が!?」
『あー大丈夫だよ。僕は立香君の、あー…同僚?上司?みたいな者だ』
「は、はぁ…」
『今から僕が話すのは立香君の言うとおり突拍子な話だ。それでも、聞くと言うのなら僕は拒むことはない。僕たちは――』
『っていうのが僕たちカルデアに課せられた任務ってこと』
「…藤丸ってすごい奴だったんだな」
「待って…理解が追いつかない…」
「まあ俺が最初に聞いた時もイマイチよくわからなかったし。しょうがないよ」
「でも、納得はまだしてないけど理解はしたわ。当面の間は藤丸君は私たちに敵対しないということでいいのかしら?」
「ああ。むしろ遠坂さんたちは俺たちにとっては、言い方は悪いけど都合のいい情報収集者だからな。何かあったら助けになるよ」
「そう。まあそんな機会なんて無いでしょうけど」
「ありゃ」
ロマンが話し終えた後、各々が口を開く。俺としては取り敢えず彼らにこっちに敵対する気はないって事が伝えられたし、満足である。
俺が軽く安堵していると、左前に座る遠坂が一つ息を吐き衛宮に向き合う。
「じゃあ次は衛宮君ね」
「…俺?」
衛宮は遠坂の言葉が意外だったのか自分の顔を指さし、疑問の意を表す。
「当然でしょ。貴方聖杯戦争のことよくわかっていないようだし」
それから遠坂は衛宮に聖杯戦争について説明する。さっきも思ったがサーヴァントは本来クラス名で呼ぶらしい。真名が明らかになるとその英霊の宝具や弱点が露呈されてしまう恐れがあるからだそうだ。その他にも、ロマンからの説明にも無かった事柄が明らかになってくる。
何分経ったであろうか、どうやら遠坂と衛宮は聖堂教会という、聖杯戦争の監督役がいる場所へ行くことになったらしい。
「藤丸君はどうするのかしら?」
「いや、俺はいいよ」
間違いなく俺はこの聖杯戦争においてイレギュラーな存在だ。そんな存在が聖杯戦争の監督役とやらに知られれば目を付けられるに間違いない。俺たちは聖杯戦争に積極的に介入する気はあまりないのだ。わざわざそんな厄介事を背負う必要もないだろう。
「そう。……あ、そういえば藤丸君」
「ん?」
立ちながら遠坂が俺に問う。
「あなた、ここにあと何人のサーヴァントを連れてきているのかしら?」
「連れてきてるってか勝手に来たんだけどね…。えーっと、六人来てて、今三人いるから、あと三人だな」
「…そんなにサーヴァントを使役してたら最早無敵ね。まあいいわ。その三人のクラスは?もし見かけたら連絡するわ」
「多分だけど…。バーサーカーが二人」
「あなたどれだけバーサーカー連れてきてるの!?過半数がバーサーカーだなんて…」
「しょうがないだろ?よくつるんでるのがバーサーカーなんだから」
「それが問題なのだけれど…。まあこの際良いわ。あと一人は?」
「エクストラクラスのアヴェンジャーだ」
「エ、エクストラクラス?あなたそんなものまで…」
「まぁカルデアなら日常茶飯事ってやつだ。じゃあ俺はここで」
「ええ…。また明日」
「明日学校でな、藤丸」
「おう」
衛宮たちと別れた俺たち一行は徒歩で家に向かう。…とは言っても、サーヴァントたちは霊体化してるし、傍から見ればただの男子高校生が夜遊びの挙句、疲れ切った顔で家に帰っているようにしか見えないはずだ。
ただ、疲れているのは本当だ。今日だけでたくさんの出来事があった。疲れるなというのが土台無理な話である。
念話で清姫たちと談笑しながら歩いて数分、我が家のあるマンションに行き着いた。階段を昇り、いざ玄関を開けようとすると、今まで霊体化していたサーヴァントたちが一斉に実体化する。
「ど、どうした。皆」
「旦那様。サーヴァント反応です」
「汝は下がっていろ」
「ウゥ……!」
「サーヴァント…?」
サーヴァント?何故だ。俺がマスターであることを知っているのか…?いやだがその事を知ってるのは先程会った衛宮と遠坂だけのはず…。まさか、あの戦いが見られていたのか…?
俺が思考を巡らせているとサーヴァントたちが戦闘態勢に入る。どうやら、もう敵サーヴァントは玄関にいるようだ。その予想通り、ドアノブが下げられ、ドアが開き――
「ン?サーヴァント反応かと思えば、ご主人なのだな」
メイド服のタマモキャットが現れた。
「…キャット?」
「いかにも。我こそがタマモキャットである」
「…なんでここに?」
「うむ。気がついたら見知らぬ場所にいたのでな。取り敢えずご主人の匂いを辿ってこに部屋に来たのはいいが、誰もうなかったのである。なので良妻代表このキャットがご主人のために宴の準備をしていたのだ!」
「…うん。そか。ありがとう」
「ンン?どうしたご主人。元気が無い様子。キャットの膝で休むか?」
「そうしようかな…」
もう疲れた。
「竜娘、そこの醤油を取って欲しいのだが」
「ちょっと私忙しいので、自分で取ってもらえると助かります…!」
「了解なのだな」
日が変わっている事を示す時計を見ながら、俺はどうしたもんかと考える。現在、キャットと清姫が俺のために台所に立ってくれている。アタランテは外に出て辺りの警戒、フランは俺の横に座りぼーっとしている。
遠坂や衛宮たちには積極的には聖杯戦争に参加しないとは言ったが、彼らを守るためには出来るだけ行動するつもりだ。彼らは俺たちにとって良い協力者になって欲しいし、もう顔を合わせて親交を持った以上、殺される姿は見たくないという個人的な考えもある。
「ウゥ…?」
今までぼーっとしていたフランが何かを嗅ぐような素振りを見せる。俺もそれにならって鼻に意識を集中させると良い匂いが漂ってくる。
「旦那様。夕餉…というには少々時間が過ぎてしまいましたが、どうぞ召し上がってください」
「席に着くのだな。ご主人」
「ああ。ありがとう」
どうやらご飯の準備が終わったようだ。どうせだったらと辺りの警備をしているアタランテにも念話でご飯の準備が出来た事を伝える。
『了解した。今向かう……。っ!?』
こちらに向かおうとしたアタランテが明らかに狼狽した様子を見せる。
「アタランテ、どうした!?」
『先程出会った少年少女とサーヴァントが相対している。相手はバーサーカー……ヘラクレスだ』
「んな!?」
マスターはよくわからないがあのギリシャ神話の有名な英雄、ヘラクレスを召喚するとは腕が立つマスターのようだ。それよりも、まずい。衛宮のサーヴァントであるアルトリアは最良のクラスセイバーであるということもあり、サーヴァントの中でも最強の部類に入るだろうが、単純な戦力であればヘラクレスはその上を行く。それに、遠坂のサーヴァントであるエミヤの弓では余程の事が無い限り傷一つつけられない。短剣で挑めば話は別であろうが近接戦闘を主とする、アルトリアがいる以上、遠坂はその戦法を是としないだろう。
「アタランテ!ここに」
「どうする。マスター」
彼女の名前を呼べば、アタランテは即座に俺の前に現れてくれた。
この場で最も敏捷のステータスが高いのはキャットとアタランテ。そしてこの二人で筋力が高いのは
「キャット!俺を担いで!」
「了解したぞ」
「アタランテはキャットをその場に案内!」
「了解」
「清姫はフランの速度に合わせて俺たちを追い掛けてくれ!」
「かしこまりました」
「ウゥ…」
「キャット!」
「しっかり捕まっているのだな」
瞬間、キャットはベランダから飛び降りる。数歩前にはアタランテもいる。フランはともかく、清姫が追いかける対象である者の姿を見失う事はないだろう。ストーキングBは伊達ではない。
「ご主人、速度を上げるぞ」
「おーけー」
筋力が高いからなのか、キャットが走った地面はアタランテのそれよりも深く抉れている気がする。まああとで遠坂に言えば聖堂教会とかいう場所が後処理を行ってくれるのだろう。
「衛宮君。戦うか逃げるかは、貴方の自由よ。ただ、出来るなら、何とか逃げなさい」
「っ…!」
士朗は目の前に立つ自分を兄と呼ぶ少女と化け物を見つめる。あれから逃げられるのか?そもそも俺がここで逃げたらセイバーは…。
士朗が躊躇していると、頭上から声がかかる。
「相談は済んだ?じゃあ…」
「つっこめえええええええ!」
「御意!」
瞬間、後方から弾丸のような、とにかく得体の知れない物が飛び出した。
「え…?」
「なっ」
「なに…!?」
士朗や凛だけでなく、目の前の少女――イリヤまでも驚愕の声を零す。
「アタランテ!支援!」
「無茶を言うな!」
「キャット!」
「突っ込むのだな!」
士朗と凛には二人の女性の声には聞き覚えが無いのだが、男性の声には馴染みがある。だってそれは、ついさっきまで聞いた声であったからだ。
「「藤丸!?」」
「覚悟しろ!ヘラクレス!」
「あぁ…。マスターの悪い癖が出てしまった…」
「ご主人の特攻癖はもう諦めるのが吉なのだな」