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アサシン達と遊んだら隠れるのが上手くなりすぎたぐだ男/Novel by なーちゃ

アサシン達と遊んだら隠れるのが上手くなりすぎたぐだ男

3,263 character(s)6 mins

───本気の遊びを始めよう。

人類修復後の話です。ぐだ男が一度でいいからサーヴァント達と本気で遊びたいとガルデアから逃亡してしまう話です。

誤字の指摘ありがとうございました!!訂正してますのでよろしくお願いします!

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シンっと静まり返り誰一人口を開かず机の上に置かれた録音機に視線が注がれる。
片手で収まる程の大きさの録音機は大勢で食事をとれるように大きく設計された食堂の机の上にポツンと存在を主張している。録音機しか置かれていない机を大勢のサーヴァントが囲っている。食堂にはカルデアのスタッフは誰一人おらず本来楽しく食事をする場所とは思えない程にピリッと肌に突き刺さるような空気が食堂を支配する。

「まさか彼がカルデアからいなくなるなんてね」

重く息苦しい空気を放つサーヴァント達が口を開かない中「はぁ……」と何時ものようなハツラツとした声ではなく心底参ったとでも言うようにダヴィンチが息を吐く。その原因とも言える真っ黒な録音機を見つめ続けても何も進展はないと分かっていてるが中々頭の中は纏まらず、出てきたものは自身のため息と過去の自分が仕出かした後悔だけ。天才と言えるダヴィンチの頭を悩ませるのは録音機に入っていた声の主だ。

「おい。こうしている間にも時間が迫ってんだぞ。さっさと坊主を見つけださねぇと逃げられちまう」

ダヴィンチの次に口を開いたのはキャスターのクーフーリンで何時も余裕な態度を崩さない彼にしては珍しく焦りを含む声音に今自分達に襲いかかっている事態がいかに深刻かが分かる。昨日までは至って普通の日々だったのに何故こうも簡単に事態は急変するのだ。クーフーリンだけではなく他のサーヴァント達も同じ心境なのだろう。何故なら何時も傍にいたマスターの藤丸立香がガルデアから姿を消したのだ。朝になりマスターである立香の姿が朝食の時間になっても現れず部屋に行ってみたら誰もいなかった。ただあったのはベッドの上に綺麗に畳まれたカルデアに支給された制服と小さな録音機だけ。その時点から嫌な予感がし急いで立香の存在を確かめようと魔力を探るが、微塵も魔力を感じられない。全身から血の気が引き、急いで食堂に戻りその事を伝えるとサーヴァント達も血相を変えてカルデア全域を探し回ったが立香の姿はどこにもなかった。
そして唯一の手掛かりとなる録音機を聞くために一旦サーヴァント達を集め録音機のスイッチを入れたのだ。すると予想していた通り録音機には今現在一番求めている立香の声が録音されていた。


『突然俺がいなくなって皆驚いてると思う。でも人類を救った後俺がカルデアにいる意味はないし、俺もそれは納得してる。けど皆は納得しないでしょう?だからゲームをしよう。ルールは簡単。俺を見つけて捕まえられれば皆の勝ち。ようは隠れんぼだね。期間は一ヶ月。その間俺は世界のどこかにいるから探しだしてごらん。因みに一ヶ月過ぎたら俺の勝ち。皆が勝ったらカルデアに戻る。だけど俺が勝ったらカルデアに戻らないし令呪も手放すから。あとカルデアのスタッフの人達に手を出しても同じ。────じゃあゲームを開始しようか』


小さな子供のように楽しく話す立香の声が再生し終え言葉がブツリと途切れる。
皆が呆然と録音機を見つめる中でハハッと誰かが軽く笑い声を洩らす。

「何が可笑しいんだ?新シン」

あまりにもこの場に不釣り合いな笑い声にクーフーリンの鋭い視線が新シンでに向けられる。そんな鋭い視線を浴びても新シンである燕青は全く怯まず壁に寄りかかっていた背をゆっくりと起こす。

「あの時のマスターの言葉って本気だったんだと思ってねぇ」

「あの時?」

怪訝に燕青を見る複数のサーヴァント達の視線に燕青は笑うのを止め静かに口を開く。

「『みんなと本気で遊びたい』…………それがマスターが俺に言った最後の言葉」

立香はサーヴァント達が立香という存在を易々と手放さない事を分かっている。だから隠れんぼという遊びを思いついたのだ。自分というマスターの存在をきっと彼等は死に物狂いで見付け出すと。分かっていて今回の遊びを始めたのだ。本気で自分を探し回らなければ立香の傍にいるどころか二度と会えないかもしれない。
カルデアの中で共に遊んだ時の立香を思い出しフッと小さく笑う燕青は何処か寂しそうに目を伏せる。

「そういえばアサシン達はよくマスターとガルデアの中で遊んでましたよね?」

「ああ。よく隠れんぼをしたなァ。マスター最初は気配がただ洩れで見付けるのは簡単だったな。でも遊ぶ回数が増えるうちに隠れるのが上手くなったんだよねぇ」

静かに佇むロビンフッドの問いに燕青は天井を見上げ「マスターのあの急成長は目を見張ったなぁ」とぼんやりと呟く。
人と接する事が好きだった立香はよくサーヴァント達と共にいた。食事を共にしたりお喋りしたり遊んだり。その中でよく立香がしていたことは隠れんぼだ。ジャック達といった子供と隠れる事に関してプロであるアサシン達と一緒によく隠れんぼをしている光景を多くのサーヴァント達は見ていたし日常化していた。あの時は微笑ましい光景だったのに今では微塵もそんな気持ちは湧いてこない。

「しかも立香くんは私の発明品を身に付けている。よって今現在、我々は不利な状況に陥っているわけなのだよ」

ダヴィンチの深刻な表情に、その場にいるサーヴァント達の顔が曇る。
ダヴィンチもその隠れんぼの事は知っていた。面白いものが大好きで発明も得意とするダヴィンチが立香にプレゼントした自身の発明品。より隠れんぼが楽しくなるようにとダヴィンチ自らが制作し立香と同じ瞳の色を施した青色の指輪。それは指輪を嵌めた者の魔力を外部から感じ取れなくなる特殊な指輪だ。その指輪でより隠れんぼが盛り上がりサーヴァント達と楽しそうに笑う立香を見て満足していたあの頃の自分が恨めしいとばかりに眉間にシワを寄せた。まさかあの指輪が今回の立香の遊びを最大限に活かし、自分達サーヴァントを苦しませるなんて誰が思うのか。
あの指輪さえなければ魔力探知に優れたサーヴァント達が立香をすぐにでも見つけ出せるというのに。
ギリッと歯を食い縛ったダヴィンチに責める者はいない。今一番後悔しているのはダヴィンチ自身だと皆分かっているのだ。
それにそんな暇があるのならば自分達のマスターの所在を見付ける方が最優先だ。
少しでも情報を集めようとロビンフッドがスッと目線をある人物に向ける。

「さっきから黙りを決め込んでる王様は何か分かりました?その千里眼ってやつでマスターが何処にいるのかとか」

「フン。何度やっても雑種の居場所が掴めぬ。おおよそ令呪を使っているのだろう。我から逃げられるとでも思っているのか」

今まで望んだものは全て手中に収めていたウルクの王であるギルガメッシュは初めて自分の手元から離れた立香に苛立ちを募らせ忌々しいとばかりに、その秀麗な顔を歪ませる。燃えるような赤い瞳は怒りと渇望がぐちゃぐちゃに入れ混じりゾッとするほど、どろどろに溶けている。

「よかろう。とことんお前の遊びに付き合ってやろう。何処に隠れようが必ずや引きずりだす。我から逃げられると思うなよ雑種」

怒りを含んだ瞳からは想像出来ないほど不気味な声音で妖しく笑う。
そうだ。我々がマスターを手放せる筈がない。どんな手を使っても探しだし二度と逃げ出さないように自分達の元に縛り付けよう。
ギルガメッシュの言葉に同調するように彼の周りにいるサーヴァント達もうっそりと笑った。









目の前に広がる自然豊かな草原を目の前に思わず鼻歌が洩れる。ザァッとそよ風が通り抜け自分の髪がフワリと舞い頬を撫でる。

「今頃カルデアは大騒ぎなんだろうなぁ。でもそうじゃないと楽しくないしね。さて、このゲームどっちが勝つかな?」

うーん!!と背伸びをし空を見上げる。雲一つない青空は自分が付けている指輪と同じ色でとても美しかった。

Comments

  • メジェドのようなテルテル坊主

    続編希望

    February 1, 2022
  • ハムハム

    今ならオベロンの協力がありそうだから 隠れんぼで逃げ切れる確率が格段に上がった 問題は直感持ちや幸運値が振り切れてるやつが偶然接近すること

    September 27, 2021
  • Kairi
    February 14, 2021
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