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おわりと始まり/Novel by 人類史上最低のマスター

おわりと始まり

1,631 character(s)3 mins

連続投稿以下略。

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「マシュ、これなんたけど」

「あ、はい先輩」

そう言って私は先輩の隣に向かい、先輩の持つ書類に目を向ける。

「これは資料室に持っていく資料ですね。良ければ私が持って行きましょうか?」

「いや、大丈夫だよ。ありがとう」

そう言って先輩は資料室へと向かって行きました。


先輩に違和感を持つのは何度目でしょうか?

先輩は私の事を『キリエライト』と呼びます。

私は先輩に『マシュ』と読んで欲しいのですが、先輩は頑なに私を『キリエライト』と呼びます。
なんでも『将来信頼できる異性ができたら呼んでもらうべきだ』という理由から私を『キリエライト』と呼んでいるそうです。
私はそれを言われる度に少し悲しくなってしまうのですが、同時に先輩を尊敬するのです。…………先輩も信頼度する異性なのですが。なのですが。


魔術協会から使節団が来て少し経った後。

先輩は私の事を『マシュ』と呼びました。
嬉しかったのは事実なのですが、少し戸惑いました。

『まるで違う人のように思えてしまった』

そんな事は無いと。
そんな訳は無いと。思ってはいるのですが、僅かな違和感は消えませんでした。

私と先輩の未来はある筈なのに。
それはなぜか『求めていた未来』では無いと心の底で感じてしまいます。






 私がカルデアに来てからそれなりに時間が経つが、相変わらずこの食堂は忙しない。

「エミヤ、お代わりを」

もきゅもきゅ、と。
ご飯を頬張って食べるセイバー『アルトリア・ペンドラゴン』はいくつもの側面を持つ。
幼き少女の彼女、反転した彼女、聖槍を持つ彼女、反対した聖槍を持つ彼女。
いくつもの側面を彼女の全てと縁を結ぶ、そんなマスターはこの世でたった一人なのだろう。

それだけではない。
あらゆる神話系、伝承、歴史の英雄が彼と縁を結んでいる。
彼自身に大きな魔力はない。
カルデアの電力供給をもって初めて成立する関係性だ。だが本質はそこではなく、『善、悪など関係なく対等に立つ姿勢』なのだ。
正義の代行者である自分も。抑止力の代行者である別世界の私の養父も、冠位を持つアサシンもキャスターも。
彼の人間性を認めて応えたのだから。





「やぁ、エミヤ」

    




だが最近、彼に少しだけ違和感を感じる。

「どうしたんだマスター?腹が減ったのであれば何か作るが……」

「いや、そういうわけではないんだけどね?」

「なら何か用でもあるのか?レイシフトならすぐに支度をするが…」

そう、丁度魔術協会から使節団が来て少し経った頃。
その頃から彼は食堂で食事をしなくなった。
彼と共に食事を摂ることを楽しみにしていたサーヴァントも多い。
英雄王の彼や反転した聖女も言葉にはしないが、彼のすぐ近くで食事を摂ることが多い。

マイルームで食事をとっているようだが……栄養面が心配になる。

「最近、ジャックがつまらなそうにしていてね。悪いけど何かお菓子でも作ってあげて欲しいんだ」

「ふむ……彼女にはライダー戦で世話になることが多いからな。後でケーキを持って行こう」

「助かるよ、ありがとう」

「礼には及ばない。彼女にはいつも助けられているからな。………ところでマスター。君はちゃんと食べているのか?たまにはここでも食事を摂るといい。他のサーヴァントも君を待っているぞ?」

「そうだね、考えておくよ。でもエミヤ」





「食事は摂ってるから大丈夫だよ」





彼のその言葉を聞いた時

私はまるで『お前の食事はいらない』と言われているような気がした。

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