【大阪市西成区】シンガーソングライターNISHIOKA、祖父の戦争体験を記憶に残すプロジェクトを始動
西成出身のシンガーソングライターNISHIOKAさんが、戦争体験の記憶継承をテーマにしたプロジェクト「不滅の絆(Fumetsu no Kizuna)」を本格的にスタートさせています。
NISHIOKAさんの祖父、西岡稔さん(故人)は、第二次世界大戦中に沈没した航空母艦「瑞鶴」の乗組員でした。復員後、戦争の体験をほとんど語ることのなかった祖父でしたが、その語られなかった記憶に向き合うため、NISHIOKAさんは、残された写真や記録、記憶の断片を手がかりに、音楽を起点とした記憶継承の活動を開始しました。
音楽、出版、映像、記録のアーカイブなど多角的な表現へと広がろうとしている本プロジェクトの出発点となっているのが、NISHIOKAさん自身が作詞・作曲を手がけた鎮魂歌『Fumetsu no kizuna(不滅の絆)』です。2016年の発表以来、奈良県橿原市の橿原神宮で毎年10月25日に執り行われている瑞鶴慰霊祭において、これまでにのべ5回の奉奏を重ねてきました。
プロジェクト発足の大きなきっかけとなったのは、昨年、6年ぶりに慰霊祭で奉奏を行った際、かつての瑞鶴乗組員がすでに参列していなかったという現実でした。語り部が不在となりつつある中、NISHIOKAさんは今年8月15日の終戦記念日に『Fumetsu no kizuna(不滅の絆)』のリアレンジ版を各種音楽配信プラットフォームで全世界へ向けて配信リリースすることを決意。さらに10月25日には昨年に引き続き、橿原神宮での奉納演奏を予定しているといいます。
NISHIOKAさんはプロジェクトのスタートを機に今年の2月、書籍『不滅の絆 ー忘れられないことが祈りになるー』をそれぞれ日本語(Amazonペーパーバッグ版、Kindle電子書籍版)と英語(Kindle電子書籍版)で出版しました。
執筆にあたり、祖父を一人の人間として見つめ、自身のルーツと徹底的に向き合い、一冊の書籍として完成させました。NISHIOKAさんは、自分と同じようなルーツを持つ人たちが、答えの出ない問いを考え続けるきっかけになるのではないか、その考え続けるプロセスこそが現代を強く生きる力になるのではないか、と考えたといい「本を書いたことで、音楽家としてやり遂げるべき使命が明確になりました。毎年10月25日、橿原神宮へ歌いに行くという、その揺るぎない指針が自分の中に完成しました」と話しています。
この「不滅の絆」プロジェクトは、過去の記憶を未来へどう受け継いでいくのかを問いかける活動として、国内だけでなく海外からも注目を集めています。米・ワシントンが拠点のオンラインローカルニュースメディア「CB Herald」、英国の音楽カルチャーメディア「1883 Magazine」や、米国の音楽カルチャーメディア「Vents Magazine」でも、稀有な取り組みとして報じられています。語り部が少なくなる今の時代だからこそ、音楽という形に変えたバトンが、人々の心に静かな祈りとして手渡されていくのではないでしょうか。