秋の行楽シーズンに、ゆったり、のんびり船旅に浸りたい。こんな思いをかなえてくれたのが飛鳥Ⅱ「のんびり秋旅クルーズ」(2022年11月3日から11日)でした。現役世代にも乗りやすいよう、祝日と週末を利用した11月3日~6日の区間クルーズの設定もあったので、20歳代、30歳代のカップルや親子3世代の家族連れなど、年齢層も幅広く、旅は華やかにスタートしました。
■連載「クルーズへの招待状」は、クルーズ旅の魅力や楽しみ方をクルーズライターの筆者がご紹介します。
横浜、たそがれ、どらの響き
出港を知らせるドラマチックなどらの音。バンド演奏と無数のシャボン玉で船出を祝うセールアウェー。午後5時、飛鳥Ⅱは横浜港大さん橋を離れました。ベイブリッジをくぐりぬけ、後ろを振り返るとライトアップしたみなとみらいの向こうに、夕焼けを背景にそびえる富士山のシルエット。飛鳥Ⅱは、旅情豊かに秋の太平洋に繰り出していきました。
2日目の朝は、飛鳥Ⅱの名物露天風呂へ。潮風をほおに感じ、移り行く海景色を眺めながら温湯につかれば、極楽気分。体の芯まで癒やされました。
工芸会とコラボ、大作所蔵の「浮かぶギャラリー」
午前中はゆっくりと芸術鑑賞してみました。飛鳥Ⅱは2022年3月から、日本工芸会と飛鳥クルーズとのコラボレーションで、重要無形文化財保持者(人間国宝)や、気鋭の作家の作品を約140点常設展示。船上は浮かぶ美術ギャラリーの趣があるのです。しかも、横浜港から高松港までノンストップで進むこのクルーズでは、ゆったりと工芸作品を鑑賞する絶好のチャンス。
リドガーデンでコーヒーを飲むすぐ横に、十四代今泉今右衛門の「色絵薄墨墨はじき四季花文花瓶」が陳列され、イー・スクエアで読書の途中、ふと顔を上げると小森邦衞の「網代小丸箱」が目に飛び込んでくるといった、何ともぜいたくな時間が流れているということを実感。飛鳥Ⅱでは日本を代表する工芸作品の数々が、船上生活に溶け込みながら、美しさを放っていました。
目的地は香川、小豆島の食材オンパレード
ところで、これから向かう目的地とのコラボレーションも旅を盛りあげます。その一つが「飛鳥食めぐり」。今日のランチは、瀬戸内海に浮かぶ小豆島(香川県)の食材も使い、寄港地の新しい魅力を引き出そうという趣向です。そのため、フォーシーズン・ダイニングルームの入り口には、小豆島からやってきた色々な食材が展示され、生産者の方々から直接話を聞くこともできました。
昼食はオリーブを練り込んだオリーブそうめんや手延べそうめん、小豆島の漁師が釣ったサワラをエクストラ・バージンオリーブオイルと小豆島の御塩(ごえん)で仕上げたコンフィ、揚げちりめんなど、小豆島名産品のオンパレード。しかも味付けには木おけで仕込んだ小豆島の丸島醤油(しょうゆ)を使うなど、一足早く瀬戸内の味覚を味わいました。
午後は、イブニングハイティー。これは、2021年から開始した1日6セット限定の優雅な飛鳥スタイルのハイティーです。1セット(2人用)13200円の内容は、英国王室御用達ローラン・ペリエのシャンパン ラ キュベのハーフボトル。キャビアとガーニッシュ。サーモンのクロワッサンサンド。生ハムのミニバーガー。ストロベリームース。マカロン。そして、紅茶。陸上ではアフタヌーンティーが流行中ですが、飛鳥Ⅱのイブニングハイティーはスイーツ中心というより、シャンパンとキャビアなど、一段と高級感に満ちた大人の味わいでした。
秋元順子コンサートと、飛鳥クルーズ限定の甲州ワイン
2日目の夜のドレスコードはインフォーマル。男性は上着とネクタイなど、女性はワンピースやツーピースなどで、カジュアルより、もう少しおしゃれを楽しみましょうというドレスコードです。
今日の夕食は生ハムとマンゴー、ブリのカルパッチョ、イカ墨のスパゲティ、イサキのアクアパッツァ、黒毛和牛網焼きなどのイタリアンディナー。それに合わせ、ワインは「飛鳥クルーズ&駒園甲州」を開けました。これは、飛鳥Ⅱのソムリエやスタッフが、山梨県の駒園ヴィンヤードに赴き、ブドウの収穫や瓶詰めを行ったというとてもめずらしい飛鳥クルーズ限定のオリジナル日本産ワインです。実はこのワイン、昼間のイベント「ワインガチャ」で、5500円の参加費を払ってガチャを回したら、なんと9350円の「飛鳥クルーズ&駒園甲州」を引き当てた、ご褒美のようなワインでもありました。
今夜のメインショーは、そんな華やかな夜を彩る「秋元順子コンサート」。爆発的なヒット曲となった「愛のままで…」や、新曲「一杯のジュテーム」などを胸にしみいるようなハスキーボイスで歌い上げました。
瀬戸の島々をくぐり抜け、高松港へ
3日目は、瀬戸内海をクルージング。小豆島の前を通り、その昔、鬼が住んでいたという女木島(めぎじま)、モダンアートの島として海外にも有名な直島などを望み、瀬戸大橋を通過。プールサイドでは「飛鳥Ⅱ瀬戸内ハーベストガーデン」も開催され、多島海を望み、生バンドの演奏を聴きながら、ビールやワインを飲む、エーゲ海航行に勝るとも劣らない船旅らしいひと時となりました。
やがて、飛鳥Ⅱは高松港に到着。高松まつり総おどり参加連(スタジオトゥルー)による演舞の歓迎を受けました。もう一泊飛鳥Ⅱに宿泊し、6日の朝に下船しましたが、秋の海原を走り、のんびりと芸術の秋、味覚の秋を満喫したクルーズは、忙しい日々から一時逃れ、英気を養うにもぴったりでした。日本船籍最大の客船飛鳥Ⅱで心身ともにリフレッシュするクルーズはいかがですか。
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