日本を蝕む”朱子学”の闇 その58

 

 中国は26億台もの監視カメラで国民を監視する「デストピア」と化している。それはジョージ・オーウェルが描いた『1984年』そのもので、”ビッグブラザー”という支配者は習近平そのものとしか思えない。そして、「監視カメラ+スマホ+AI」による監視ネットワーク「天網(Skynet)」とは、ジェームズ・キャメロンの『ターミネーター3』に登場する人類監視コンピュータネットワーク「スカイネット」と偶然にも同じ名前が付けられている点を考えれば、『1984年』とは予言書だったのではないかと思えてくる。
 

 「天網(Skynet)」は、「天網恢恢疎にして失わず(天が張り巡らせた悪を捕らえる網は、粗く見えるが、決して逃がさない)」という言葉に由来し、犯罪者を逃さないという共産党政府の強い意思が込められている。中国全土に配備されたAI(人工知能)技術を駆使した巨大な監視カメラシステムであり、カメラは高精度のAI顔認証技術と連動、瞬時に個人を特定・識別できる。犯罪抑止、治安維持、そして市民の行動監視を目的として、政府主導で構築されたこのシステムは、中国が「世界最大の監視国家」と呼ばれる所以である。

 「天網(Skynet)」は、
1秒で13億人の顔を認識し、容疑者を7分以内に特定できる性能を持つと言われています。実際、犯罪者は30分以内に補足される。ここだけなら表向きの小さな犯罪がなくなるいい話だが、監視カメラのデータは、警察のデータベースや社会信用システム(個人の行動をスコア化する制度)と統合されている。 犯罪者の追跡だけでなく、共産党政府に楯突く反体制派やジャーナリストなど特定の人物の移動履歴を自動で追跡することが可能なのである。AI技術が公共空間の安全性向上に寄与する一方で、プライバシーや人権問題において強力な「監視」の道具にもなり得ることを示す典型的な事例である。

 

 

 このシステムには、中国のハイテク企業が深く関わっており、技術的には世界の先頭を走っている。まぁ、その他の国でもやりたいが、表向きにはできない。ハイクビジョン(Hikvision)、ダーファ(Dahua)らのメーカーは、顔認証機能付きの監視カメラ市場において世界トップクラスのシェアを誇っている。この監視カメラに通信ネットワーク、それにスーパーコンピューターが加わってシステムが構成されている。ファーウェイ、ZTEをはじめ、中国の名だたるハイテク企業が参加している。


 中国では身分証明書の携帯が義務付けられており、ベースとなるデータはすでに集約されている。これは中国を訪れる外国人も同じである。今後5Gの普及が進み、4K8K映像の伝送が汎用化すれば、精度はさらに上がる。ある専門家は「中国は圧倒的にデータ量が多く、ディープラーニングによる精度向上が容易だ」と語っている。中国政府は過去20年間で多くの監視システムを構築しており、問題のあるウェブコンテンツを検閲するグレートファイアウォール(Great Firewall,)もその一つである。

 

 グレートファイアウォールは、「防火長城」「金盾(きんじゅん)」とも呼ばれる中国政府が運営する世界最大級のインターネット検閲・規制システムである。1998年より運用され、SNS、検索エンジン、ニュースサイトなど約1万以上の海外サイトをブロックし、外部からの情報を遮断している。この「サイバー万里の長城」は、政治的に敏感な情報や政府に批判的なコンテンツを監視・削除し、国内のインターネット空間をコントロールしている。習近平に似ている「くまのプーさん」の画像は全て削除される(笑)。
 

 

 グレートファイアウォールはIPアドレスのブロック、DNS汚染、URLフィルタリングなどを組み合わせている Google、YouTube、Twitter(X)、Facebook、Instagram、Wikipediaなどの主要サービスを対象としているため、海外の声は国内には届かない。但し、これは中国国内のブロックシステムのため、香港やマカオでは海外のサービスも利用は可能である。こうした特定情報の遮断によって、世界の現実を直視させない仕組みなのである。だからこそ、反日教育を受けた中国人が日本に来ると、日本の現実が乖離していて衝撃を受けることが多い。話が全然違うじゃないか、と。

 

 中国は国内のネット接続全体をグレートファイアウォールと呼ばれるファイアウォールで囲んだ上で、さらにネットの検閲を徹底的に実行しており、Googleなどの各種検索結果も中国当局に不都合のある情報は表示されないようになっている。実際、何らかのサービスを行っている事業者や個人が、自分の持っているサイトのURLを入力するだけで、自分のサイトが検閲によって中国国内からのアクセスがブロックされているかどうかが分かるサイト「Great Firewall of China」が登場した。Googleもアメリカも中国に対してはクレームを付けたが、それが嫌ならサービスをやめればいいということとなり、Googleも閲覧を受けて入れている。

 筆者も北京へ行った際にはGmailは使用不可となった。上海では大丈夫だったが北京ではダメで、またその反対もあったりする。もちろん外国人が見ているものはチェックされている。一時期中国の国内からGoogleへのアクセスができなくなっているというのが話題になったが、実際のところどのような検閲を中国がGoogleに課していたのかという
検閲単語リストというのがある。

 democracy、rights、human、human rights、army、mao zedong、what google censors、tiananmen、bird flu、bbc、communism、commie、protests、freedom、jailed、dissidents、radio、communist revolution、hong kong、politics、uk、repression、chinese firewall、water pollution、yahoo、education、falun gong、chinese filters、tank man、⋯
 民主主義、権利、人間、人権、軍隊、毛沢東、Googleの検閲、天安門事件、鳥インフルエンザ、BBC、共産主義、共産主義者、抗議活動、自由、投獄、反体制派、ラジオ、共産主義革命、香港、政治、イギリス、弾圧、中国のファイアウォール、水質汚染、Yahoo!、教育、法輪功、中国のフィルター、戦車男、…

 

 

 なかなか興味深い結果である。「戦車男」は天安門事件の時に戦車の前に立ちはだかった男性のことだ。実際、日本にいる知り合いの中国人の女性に天安門事件のことを聞いても「映像は見たことはない」と言っていたので、その場で見せたら驚いていた。彼女は「反政府デモがあった」くらいの認識で、画像も無難なものしか見たことがなかったという。だから余計に「戦車男」の映像は強烈なインパクトだったようだ。だが、Yahoo!がなんでダメなのかは分からない。多分、Googleの敵だからかもしれない(笑)。

 

 トロント大学のグエン・フォン・ホアン氏らは、グレートファイアウォールがどのように国内外のドメインをブロックしているのかを測定するシステム「GFWatch」を開発。2020年4月から12月にかけて、1日当たり4億1100万個のドメインをテストして、グレートファイアウォールがどのドメインをブロックしているのか、ブロックは継続して行われているのかを調査した結果、Facebook、Dropbox、Twitterなど、約31万1000個のドメインを継続的にブロックしていることが判明。もっとも多くブロックされたウェブサイトのジャンルは「ビジネス」であり、次に「ポルノ」「IT技術」が続き、中にはグレートファイアウォールを回避するツールを配布するサイトや個人のブログ、ギャンブルサイトなども含まれていたとのこと。


 さらに、研究の実施中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが激化したため、COVID-19関連のウェブサイトがリアルタイムでブロックされていくのも確認したという。ブロックされたサイトの一部はパンデミックを非難するような内容の投稿を行っていたとのことで、グエン氏らは「ブロックされたサイトの約40%が新規に登録されたドメインであり、中国当局は新規ドメインをホワイトリストに登録するまでデフォルトでブロックしているようだ」と述べている。

 

 

 こうした国民を監視するシステムの1つが、前回書いた「シャープ・アイズ(雪亮)」と呼ばれる監視カメラを基盤としたシステムである。だが、シャープアイズは農村部や地方をカバーする監視システムであり、2013年に中国東部の平邑県で大量の監視カメラを設置したことが始まりだった。すぐに平邑県の監視カメラ台数は増加、2016年には合計2万8500台もの監視カメラが、平邑県のさまざまな公共空間に配備されたという。

 シャープアイズがその他の監視システムと異なるのは、単に法執行機関やAIが監視カメラの映像をチェックするだけではなく、
地元住民たちもカメラが撮影する映像を見ることができるという点である。住民らは自宅のTVやスマートフォンからカメラの映像をチェックし、何か問題があれば警察に通報することが可能となっているコミュニティ監視システムなのである。自宅にモニターが置かれ、村に見慣れぬ車や人物が入ると通報するシステムでもあるため、日本にかつて存在していた「隣組」のデジタル版と言ってもいい。悪い言い方をすれば「密告システム」ということだ。

 さらに「顔認証」と並んで人々の行動に変化をもたらしたのが
「信用スコア」だ。いわば人間の格付けシステムで、SNSでの発信履歴、友人関係、購買履歴、ルール違反や犯罪歴などをもとにポイントが決められる。ポイントが高いと融資やデポジットで優遇措置があり、低いと鉄道や航空機のチケットさえ買えない。アリババ・グループが始めた「芝麻ゴマ信用」のシェアが大きく、学歴や職業などの「身分特質」、支払い能力の「履行能力」、クレジット履歴などの「信用歴史」、交友関係などの「人脈関係」、消費の嗜好を表す「行為偏好」を独自のアルゴリズムで350点から950点の範囲で点数化する。場合によっては男女の交際や結婚相手の判断にも使われるという。中国の友人に聞くと普及度や利用度はそれほど高くないが、海外メディアは頻繁に取り上げている。
 

 

 信用度が低い男は結婚できない。筆者などは「芝麻ゴマ信用」にかかれば20点くらいかもしれない(笑)。たとえお金があろうとも、これだけ中国の悪口を書いていれば、完全にブラックリストに載っているはずで、もう一度中国に行ったら二度と帰ってこれないだろう。とはいえ、そうした現時点での信用スコアで厳しい評価を下されてしまうということは、「将来、この男は伸びるかも」なんて考える女性も減ってしまう。すると結婚できず、怒りに燃えてクルマで大量殺人⋯なんていうことが頻繁に起きる。やはりディストピアだ。

 

 中国中央部、陝西省の省都の西安市灞橋区の住民は、政府による「シャープ・アイズ(雪亮)」の監視への取り組みの初期の成果を目の当たりにしている。住民らによると、2018年10月以降、監視カメラの台数が急激に増加したという。全ての主要な道路と西安市に属する村々への入り口は「シャープ・アイズ(雪亮)」の建設地点になっている。一番近い距離では30メートル未満、一番長い距離では300から500メートルの間隔で監視カメラが設置されているという。

 交差点等の重要な領域では、以前と比べて監視カメラの数が倍増した。ロサンゼルス・タイムズ紙によると、
「中国四川省安溪 村 の住民が2年前に排水路で小さなゴミの塊に火をつけて燃やしたところ、拡声器がこの住民の名前と住所を大音量で叫び、すぐに消化するよう命じた。この住民は恐怖で飛び上がり、火を消して逃げた」と指摘している。また、ラジオ・フリー・アジアの報道によると、広東省の美電貝爾と呼ばれる会社が家庭のテレビとスマートフォンを利用して、市民の住宅に映像監視システムを組み込むことでプラットフォームを開発した。

 

 こうすることで全市民を監視し、あらゆるものを見た、リアルタイムで反応することが可能になる。要するに、中国共産党は家庭の電化製品や携帯電話などの他の端末を使って、市民の家での生活の様子を好きなときに監視できるのだ。また、この監視プラットフォームは人工知能とつながったことで、顔認識技術を用いて、入手したデータを分析可能となった。こうして一歩づつ着実に監視体制が強固になってしったのである。

 



 中国共産党の機関紙によると、「シャープ・アイズ(雪亮)」は治安維持と犯罪防止、および管理のために開発されており、中国共産党を信じるなら、家の内外の監視により、市民は安心感と落ち着きを得られるとしている(笑)。しかし、こうした田舎の村の住民の多くは「シャープ・アイズ(雪亮)」の強力な監視能力に恐怖心を抱いており、
「中国共産党は既に自宅内までも監視している。私たちにはどんなプライバシーが残されているのか?首にロープを巻かれ、鎖で引っ張られているようだ。顕微鏡の下で生活しており、恐ろしい」と懸念を示している。

 常時監視されることは、大きな問題に巻き込まれる危険性を抱えている宗教をもつ者に対しても、特別な恐怖を与えている。事実、監視カメラは、
政府公認の宗教施設の監視、および、非公認の教会の取り締まりと信者の逮捕に関し、ここ数年最も効果の高い手段として活躍しているからだ。中国共産党の内部文書「特別作戦の模範集」には、宗教をもつ者を監視するために当局が監視システムにいくら投じているのかを詳しく記している。河南省鶴壁市の浚県は90万人民元(約1,440万円)を投じ、53ヶ所の宗教施設に設置した結果、このうち、既に5ヶ所は恒久的に閉鎖されているという。

 監視カメラは中国全土の教会に設置され、一部の教会では施設の内外に6台から8台のカメラが設置されている。政府は説教の内容や集会の参加者の日常に関する情報を入手することが可能で、政府の要求に少しでも逆らえば、懲罰の対象となる。さらにこれだけでは済まず、中国全土の地域で宗教をもつ者の全ての基本情報を登録する取り組みを行っており、とりわけ法輪功や全能神教会の信者が対象となっている。上記のGoogleの検索では見れない法輪功である。

 

 

 政府の職員は登録済みの個人情報に添付する写真を強制的に撮影しているという。写真を撮影する理由を問うと、ある職員は犯罪歴を消去するためだと主張し、また別の職員は、生存し、健康であることを証明するためだと述べ、答えをはぐらかしたという。しかし、ほとんどの職員は説明せずに、黙々と写真を撮影する。公安機関の内部情報によると、宗教をもつ者たちの顔写真はインターネット上にアップロードされ、ファイルが作成されるのだという。

 

 中国の公安は地域の公安当局のウェブサイトに情報を載せるのだ。北部河北省の承徳市在住の全能神教会のキリスト教徒を逮捕した後、警察は過去11ヶ月にわたる監視映像をこの信者に見せたという。その中にはこの信者が接触していた教会の信者に関する情報も含まれていた。警察は1年近くにわたり、逮捕した信者が参加していた集会の場所や、借りている場所の状況等を明確に把握していたと主張した。このような恐ろしい監視が行われている中では、信者が集会を執り行うことは不可能に近く、地方のキリスト教徒は政府による教会への広範囲の弾圧により、キリスト教徒たちには隠れる場所がなくなり、一部の信者は山、森、小麦畑で集会を行わざるを得ない状況だという。

 このキリスト教徒は
「これ以上村に監視カメラが設置されたら、本当に行き場がなくなります。文化大革命 が行われているとき、一部のキリスト教徒は地下室を掘って、集会を行っていましたが、今後はそれすらできなくなるのではないかと危惧しています」と述べている。そう、習近平による「文化破壊大革命」は確実に宗教を根絶やしにすることになる。その宗教に代わるのが共産党であり、国家首席である習近平以外は拝ませないことになる。これは人類の歴史上、一度も存在しない本当のディストピアである。

 

<つづく>

 

 

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