トレーナーさんが目移りするから嫉妬して独占欲がでちゃうシュヴァルグランのお話
モジモジしながら嫉妬してくれるシュヴァルでしか得られない栄養素はあるんだよ
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シュヴァルグランは、深呼吸をした。
トレーニング後のウマ娘たちが帰っていく中、彼女はトレーナー室の扉の前で立ち尽くしていた。今ならまだ間に合う。今日こそ、勇気を出すんだと決めたのだ。シュヴァルグランはおそるおそる扉をノックし、扉を開けた。
「…トレーナーさん。あ、あの……その、えっと……」
「ん? シュヴァル? どうした?」
扉の先にはいつも通りの優しい笑顔のトレーナーだった。
「…あのっ、えっと……今度の休み、もし空いてたら……お出かけ、しませんか……?」
一瞬だけ時間が止まったように感じた。
でも次の瞬間、トレーナーの顔がふわりと綻んだ。
「いいね。行こうか、どこか行きたいところある?」
「! ……え、えっと……海、がいいです……!」
「よし、海に決定だな。楽しみにしてるよ、シュヴァル」
「……っ、は、はいっ……!」
⸻
そして、休日。
シュヴァルグランはいつもより早起きして、念入りに身支度を整えた。
たくさん質問攻めにされちゃったけど、お姉ちゃんとヴィブロスにアドバイスをもらって決めた、買ったばかりのお気に入りの私服。
水色のワンピースに、可愛らしいサンダル。
髪には可愛らしいシェルのピンを挿した。
こんなにおしゃれをして会うのは、今日が初めてかもしれない。
「……変じゃ、ないよね……」
鏡の前で確認を何度もして、胸の高鳴りを抱えながら、待ち合わせ場所へと向かった。
「おーい、シュヴァル!」
待ち合わせ場所でトレーナーが手を振っていた。
いつもジャージの彼が、今日はシンプルな白シャツにチノパンというカジュアルな服装だった。
「……トレーナーさん、カッコいい……」
「ん? なにか言った?」
「な、なんでもないですっ!」
かっこいいトレーナーさんと今からお出かけ!と考えてしまって、だんだんとトレーナーさんの顔を見るのが恥ずかしくなってきてしまった。
そう思っていた時...
「シュヴァル、その服……似合ってるな。可愛いよ」
「……えっ」
「すごく可愛いよ。夏っぽくて、涼しげで……」
「……っ……えへへ……そ、そうですか……?」
あまりの嬉しさに、頬が熱を帯びる。心臓の鼓動が一気に早くなって、うまく歩けない気すらした。
トレーナーさんの横を歩きながら、自然と距離を縮めていく。
目的地の海までは、電車で30分ほど。
移動中も、釣りの話、最近の出来事などを話しているうちに、シュヴァルの表情はどんどん柔らかくなっていった。
⸻
海に到着してからは一緒に砂浜を歩いたり、貝殻を拾ったり、釣り竿を借りれるところがあったので釣り竿を借りて釣りをしたり、近くのお店で食事をしたり。
ずっとこんな時間が続けばいいと、心から思った。
――だが。
その瞬間は、ふとした時に終わりを告げた。
食後のアイスを買いに行ったトレーナーが、列に並んでいた時のことだった。
すぐ近くにいた、美しい女性。涼しげな白いノースリーブに、落ち着いた麦わら帽子を被った大人の女性が、トレーナーに話しかけたのが見えた。
『えっ、トレーナーさん……あの人、知り合い……?』
声は出なかった。
遠くからでも分かる、彼の笑顔。
そして、シュヴァルが、思わず見惚れるほど綺麗な女性だったこと。
何かが、胸の奥でぎゅっと締め付けられた。
戻ってきたトレーナーに、シュヴァルは少しだけ視線をそらした。
「……さっきの人、誰ですか?」
「ん? ああ、前のイベントでちょっと関わったことがあるトレーナーさんだよ。偶然だな〜って、少しだけ話してたんだ」
「……へぇ……」
「ん? なんか機嫌悪い?」
「……いえ、別に……」
そのあとの時間、いつも通りに笑おうとした。
会話も途切れないように努力した。
でも、心はざわざわしていた。
胸の奥がモヤモヤする。
彼が別の誰かに優しく笑っているところなんて、見たくなかった。
⸻
帰り道。
海辺の夕焼けが彼女の背中を染める頃、僕はついに耐えきれなくなった。
「……トレーナーさん」
「ん?」
「……さっきの女性のこと、やっぱり……綺麗でしたか?」
「え?」
「僕なんかより、ずっと……大人で、落ち着いてて……。隣にいて、似合ってたと思います」
「……どうしたんだよ、急に...」
トレーナーが急に足を止めた。
「……シュヴァル。今日のお出かけ、すごく楽しかったよ。君が誘ってくれたから、嬉しかった。服だって、本当に似合ってた。誰よりも可愛かった。」
「……っ、でも……!」
「比べる必要なんてないよ。俺が見てたのは、君だけだから」
その言葉に、思わず涙がこぼれそうになった。
だって、嬉しかったから。
悔しくて、情けなくて、でもそれでも、嬉しかったから。
「……じゃあ、もっと……見てください」
「え?」
「僕、もっと可愛くなります。もっと頑張ります。……だから、お願いです……見ててください、ずっと……!」
「……ああ。ずっと、見てるよ。シュヴァルのこと」
トレーナーの手が、そっとシュヴァルの髪に触れた。
潮風に揺れるシュヴァルの髪は、優しくなでられるようにトレーナーの指先を受け入れた。
シュヴァルグランは、小さく頷いた。
「……ありがとうございます。トレーナーさん……」
その声は、波の音に消えるほど小さかったけれど、確かにそこにあった。
彼女はまだ、伝えられていない。
だけど、今日のこの気持ちが、きっと次の一歩につながる。
シュヴァルの瞳は、夕陽よりも眩しく輝いていた。
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- prayerDecember 18, 2025