芸能事務所283プロダクション────
そこには、様々な輝きを持つ7ユニット総勢25人のアイドルたちが所属している。
そのアイドルたちのたった1人のプロデューサーは今、この事務所の有能アルバイトである 七草はづき の前で自分のデスクに座り頭を抱えて悩んでいた。
P「…参ったな…。うーん…」
はづき「どうされたんですか〜?プロデューサーさん。ご休憩なされてはどうですか?」
P「あぁ、はづきさん。すみません、お見苦しいところを…」
はづき「いえいえ〜、悩み事があるなら周りの人を頼ってもいいんですよ?プロデューサーさんはなんでも1人で抱え込む悪い癖がありますから〜。アイドルの皆さんのことですか?」
はづきがプロデューサーに笑顔で問う。
P「いえ、それが実は…実家にいる娘がこっちに来ることになりまして」
はづき「………?むすめ…?」
P「…?はい」
はづき「ぷ、ぷろっ…、プロデューサーさんっ…お、おおおお子さんいらっしゃったんですか?!! 」
ガタッ!と、驚いたようにはづきが席を立ちプロデューサーの話を遮る。
P「まぁはい…あれ、言ってませんでしたっけ?」
はづき「聞いてませんよそんなこと!そ、そんな…大事なこと……聞いてませんよ…」
そう言ったはづきは、先程までの笑顔は消え失せ明らかに落ち込んでいた。
P「なっ…どうしたんですかそんなに落ち込んで…」
はづき「……いえ、今しがた私の初恋は成就することがなくなったってだけです〜……。…それで、娘さんがこちらにいらっしゃるんですか?」
P「そうなんですよ。仕事が忙しくて自分もなかなか家に帰れないので離婚してからしばらく実家に預けていたんですけど、明日から自分の両親が…」
はづき「ちょ、ちょっと待ってくださいプロデューサーさん!! 」
P「はい?」
はづき「……離婚してらっしゃったんですか…?」
またもや話を遮るはづき。
P「そうですね、お恥ずかしながら…」
はづき「その…理由を聞いても…?あ、答えたくなかったら全然大丈夫ですから!」
P「いえいえ話しますよ。何も面白い話じゃないですけど…。娘ができて結婚してしばらくたった頃、向こうが浮気をしていまして…出て行かれただけですよ、娘を置いて。ははっ、おかげでこの年でバツイチですよー!」
はづき「そう…だったんですね〜…」
やり場のない憤りを感じたはづきだったが、グッとこらえる。
P「(あれ、あんまり笑えなかったかな…楽しく話せなかったか?)」
はづき「…この事を知ってる方って他にはいらっしゃるんですか?」
P「この事務所には社長しかいないと思います」
はづき「…というか、なんで今まで何も言ってくださらなかったんですか!」
P「いやぁ、黙ってるつもりは全然なかったんですけど…。特に言うことでもないのかなって」
はづき「…そういう所ですよプロデューサーさん」
P「…すみません、でもやっぱりこれは自分の問題だったので…。はづきさんやアイドルのみんなには変に相談出来なかったんですよ」
はづき「…そうですか〜…(社長も言っておいてくれればよかったのに…)。あ、すみません何度も話を遮ってしまって。それで、ご両親はなんと…?」
P「両親の仕事の都合で明日から3日間海外に行くらしいんですよ。それでその間だけお願い、と」
はづき「なるほど、そういう事でしたか〜」
P「娘はまだ5歳ですし、自分の家に1人というのはできないのでどうしようかなぁと思いまして」
はづき「そうですね〜…。あ、事務所に連れて来ちゃえばいいんじゃないですか?」
P「え、さすがにそれはみんなの迷惑になっ…んむっ…?」
人差し指でプロデューサーの口を塞ぐはづき。
はづき「もうっ、さっき言ったばかりですよ?もっとみんなに頼ってください。いつもお世話になりっぱなしですから、私もアイドルの方たちもみんなプロデューサーさんの力になりたいって思ってますから!」
はづき「それに、プロデューサーさんも娘さんが目のつくところにいた方が安心してお仕事できるでしょうし」
P「ぷはっ…まぁ、確かにそうですけど…わかりました。でも一応社長にも連絡を…」
天井「その必要は無い。話は聞かせてもらった」
P「えっ社長?! いつからそこに?! 」
扉の前に居たのは、283プロダクションの社長である 天井努 であった。
はづき「盗み聞きは感心しませんよ〜社長」
天井「むっ…そういうつもりは無かったのだが…。コホン、事務所にお前の娘を連れてくるという話だったな?」
P「はい、よろしいでしょうか…?」
天井「まぁ問題ないだろう。しかしまだ幼い、アイドルたちには変に刺激しないように言っておいてくれ。あまり加減をしらない者も何人か居るだろう」
P「はいっ!ありがとうございます!」
天井「しかし惜しいことをしたな。出張さえ入っていなければ翼くんにも会えたということか…」
P「ははっ、大丈夫ですよ社長、また余裕が出来た時にでも連れて来ますので。娘もまた遊びたいと言っていましたし!」
はづき「あれ、ちょっと待ってください社長、プロデューサーさんの娘さんに会ったことあるんですか?というか一緒に遊んだりしてたんですか?なんで一言も言ってくれなかったんですか?! 」
天井「おっともう時間のようだ。無駄話をしている時間を許すほど私は甘くないぞ。では諸君達も仕事に励んでくれ。出張先へ全速前進DA!」
そう言いながらそそくさと出て行く天井社長であった。
はづき「逃げられちゃいました〜。…翼ちゃんって言うんですね、娘さんのお名前!すごい偶然ですね〜」
P「はい、俺も最初はビックリしましたよ!母親が名付けてくれたんです。…っと、しまったな…」
はづき「どうされたんですか〜?」
P「すみません、明日早朝から外せない仕事が入っていることを忘れてまして…もし良ければなんですけど、娘を事務所まで送って行ってもらっても大丈夫ですか…?」
はづき「ふふ、やっと頼る気になりましたか〜?おやすいごようです!」
P「ありがとうございます!昼前には事務所に戻って来れると思うので…すみません、よろしくお願いします」
はづき「(…プロデューサーさんにお子さんがいらっしゃったって知った時はすごく驚いたし正直に言って絶望もしたけど…)」
はづき「(“良かった”なんて言ったら最低なのかもしれないですけど…私にも…まだチャンスはあるみたいですね〜。諦めるのはまだ早かったみたいです)」
おらっ速く続きかけよ! 訳:速く続き書いてくださいお願いしますなんでもします(なんでもするとは言ってない)