おおしま・けんいち/龍谷大学教授。専門は環境経済学。脱原発社会を目指す「原子力市民委員会」座長、日本環境会議代表理事。著書に『原発のコスト』など(写真/大島教授提供)
おおしま・けんいち/龍谷大学教授。専門は環境経済学。脱原発社会を目指す「原子力市民委員会」座長、日本環境会議代表理事。著書に『原発のコスト』など(写真/大島教授提供)
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 福島第一原発事故から15年。廃炉作業は続くが、燃料デブリ取り出しは微量にとどまる。一方、柏崎刈羽原子力発電所が再稼働した。エネルギー政策の専門家である龍谷大学の大島堅一教授に話を聞いた。

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 東京電力の柏崎刈羽原発の再稼働には、経済的にも政策的にも合理性が全くない──。私はエネルギー政策の専門家として、そう断言します。

 東電は「再稼働により年間1千億円程度のコストが浮く」と主張しています。しかし、これは燃料費の差額のみ単年度で比較しての試算に過ぎません。

 例えば柏崎刈羽原発を2基稼働させると、年間の発電量は約158億キロワット時になります。これを市場調達すれば、2024年実績で約1900億円程度。対して、原発2基を再稼働させると核燃料費は約400億円、維持費は1千億円で、合計1400億円です。差額は500億円程度にとどまり、どこをどう見ても1千億円という話にはなりません。

安全面の課題も

 一方で、東電は柏崎刈羽原発に安全対策費として19年までに1兆1690億円を投じています。年間維持費は約1千億円で、15年間で少なくとも累計2兆8千億円以上を投資しています。投資の収益性を示す指標IRR(内部収益率)を試算すると1・3%程度に過ぎず、一般企業なら投資案件になりません。

 安全面の課題もあります。

 原発には常に事故のリスクがあり、安全が確保されていなければいけません。しかし、日本の原発は事故時の避難や退避の安全性が、十分に確保されていません。能登半島地震で明らかになったように、道路の崩壊や家屋損壊により、避難も屋内退避も難しくなります。また、柏崎刈羽地域は豪雪地帯で、冬季の避難は極めて困難です。

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