東シナ海の日中中間線付近で3月1日から3日にかけて、大量の中国漁船が南北約350キロにわたって反転した「L字型」に隊列していたことがわかった。昨年12月下旬と今年1月中旬に続く動きで、3月の場合は一部の漁船が100キロほど東に広がって日本側に近づいていた。漁民は民兵としても動員されることから、専門家からは、台湾有事にとどまらず、西太平洋からの米国の覇権排除と日本の影響力の封じ込めに向けた準備の一環との指摘が出ている。
昨年12月、今年1月と同じ場所
地理空間情報分析会社「ingeniSPACE」が発見し、産経新聞も船舶自動識別装置(AIS)を搭載した船舶の位置や操業状況を確認できる「グローバル・フィッシング・ウオッチ(GFW)」のデータで漁船団の動きを確認した。
3月上旬に確認された漁船団は約1200隻で東経125度、北緯29度線に逆L字型で並んでいた。昨年12月と今年1月よりも漁船の数は少なかったが、場所はほぼ同じだった。
複数の信号データや画像情報を組み合わせて解析するingeniSPACEの最高執行責任者・分析官のジェイソン・ワン氏によると、3月に確認された漁船のうち200~300隻ほどは過去2回でも確認されており、半数は浙江省の舟山から出港していた。
「指揮統制に労力と計画必要」
3月1~3日の東シナ海南部は強風と高波だった。ワン氏は産経新聞の取材に、「漁船は荒天であれば帰港すべきだが、漁もせずに海上で同じ場所にとどまっていた」と指摘。「問題は、大量の漁船が同時に同じ態勢で動いていることだ。これほど多くの漁船を特定の場所に向かわせる指揮統制には労力と計画が必要となる」と述べた。
一方、産経新聞がGFWのデータを過去にさかのぼったところ、2022年1月上旬ごろから大量の漁船が東経125度に集結する動きがあったことが判明した。これに続く24年8月中旬と下旬、25年8月中旬にも同様の動きがあったが、北緯上の隊列状態がはっきりせず、明確なL字型(反転)にはなっていなかった。昨年12月下旬以降は鮮明なL字型隊列になっていたことから、練度が上がったといえそうだ。