東京出身記者の郷土愛 地元のチーム・帝京に特別な思い 甲子園だより
東京出身者は郷土愛が薄いといわれる。甲子園は、いわば都道府県対抗戦の様相を呈しており、テレビの前にかじりつき、出身県のチームを熱烈に応援しているケースを目にする。 では、東京出身者は地元に対し愛情がないのか。そんなことはない、と断言できる。もっとも、東京出身者にとって「地元」という意識は東京全体の漠然としたイメージではなく、「自分が育ったエリア」である気がする。 今大会に〝東の横綱〟といわれる学校が16年ぶりに出場して話題になった。15度目の出場となった帝京だ。春1度、夏2度、甲子園の頂点に立ったことのある名門は、数多くのプロ野球選手も輩出してきた。帝京の所在地は、板橋区稲荷台。同区出身の記者にとって、まさに地元の高校で、身近な存在だ。旧中山道「板橋宿」があった場所としても知られる。仲宿商店街振興組合は「燃えよ帝京魂」などと書かれた横断幕を掲げた。 新聞記者は中立の立場で取材しなければいけない。フラットな感情で試合を見るべきなのは重々承知だ。だが、帝京に自らの心を持っていかれた試合がある。24日、中京大中京(愛知)との2回戦だ。同点のまま延長タイブレークに突入。十回表に5点を奪われ、その裏。「最後の最後まで諦めないでほしい…」と思いながらペンを走らせた。正直に言うと、応援団の一員の思いだった。敗れた帝京の金田優哉監督は「選手たちもこの悔しさを東京に持って帰る」と語った。 初めての甲子園取材は、日頃は自分の中で姿を現すことがない郷土愛を目ざめさせてくれた。 (長谷川あかり)