既婚男性が独身を装い女性と交際する「独身偽装」の実態が、被害証言によって次々と明るみに出るようになった。
ただ現状では、それで性交渉をしたとしても不同意性交等罪に該当せず、金品をだまし取る詐欺行為でもなければ刑罰に問うことができない。
被害者側が相手に「報い」を受けさせたくても手段は実質、被害者が相手の責任を問う民事訴訟に限られる。
被害者の一人は、こう訴える。
「被害者の立場が弱い法的な構造が変わらない限り、独身偽装の被害はなくならない」
<主な内容>
・職業がもたらした先入観
・家庭に入り込む
・ある出来事で関係悪化
・女性が思う独身偽装の理不尽さ
婚姻歴「一度もない」
「子どもだけは絶対に巻き込まないでほしかった」
怒りをあらわにするのは、東京都内で働く奈々美さん(仮名)。未成年の子どもを育てるシングルマザーだ。
奈々美さんは現在、元交際相手の男性を相手に553万円の損害賠償を請求する訴訟を起こしている。
既婚者であるにもかかわらず、自らを独身と偽って奈々美さんと交際するに至ったことについて、誰と性的関係を持つかを自由に選択する性的自己決定権(貞操権)を侵害されたと訴えたのだ。
「既婚者と知っていれば交際することはなかったし、性的関係を持つことはありませんでした。もちろん、子どもに会わせることも絶対にありませんでした」
男性とは1年ほど前、利用対象を独身者に限定したマッチングアプリで知り合った。
離婚歴やシングルマザーであることは、奈々美さん自身のプロフィルに記載していた。
向こうからコンタクトがあり、ほどなく2人で会うことに。すぐに意気投合した。
男性は大学病院に勤める医師だった。
「職業柄、堅いイメージがあったのですが、話しやすい人だった。自身を口下手と言っていて、実際に女性慣れしている感じは一切ない。医師になるまでの苦労も赤裸々に語っており、今思えば『遊んでいなそう』というバイアスがかかってしまったと思います」
初めて会った時…
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