衛宮古書店の事件録 ②
続いてしまいました某ホラー小説パロディ第2弾!
いやぁ、槍弓尊い…
最近FGOのガチャ運がとても悪い作者です。
私事ではありますがこの間ようやく念願のヘブンズフィール見てきました。
もう桜ちゃん尊いですね。そしてとてもエッチ((げふんげふん
たくさんのブックマーク、いいねありがとうございます!
コメントも本当に嬉しいです!
まだまだ続くと思いますが今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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衛宮古書店の事件録
最近知る人は知る少し有名な古書店がある。
名を衛宮古書店。
店主の青年の顔の整いように加え、接客も丁寧で古書好きな客は遠くからここへ通うことも希ではなかった。
先日常連客から買い取った数10冊の古書の分類をしているとカランカランと店のドアベルが音を鳴らす。壊れそうなくらいのベルの悲痛な叫びに衛宮は頭を抱えた。
「えみ」
「ランサー、君はいつになったら静かに入るという事を覚えるのだね?」
名前を呼ぶ前にお説教が始まってしまったことにランサーはしまったという顔をしながら扉を静かに閉め始める。
「ほ、ほら!悪かったって!」
衛宮は盛大にため息をつくとまた古書の分類に勤しんだ。
「それで?今日はなんの用だ」
またいつもの怪談話かと続けるとランサーはにんまりと笑った。
「道連れ岬って知ってるか?」
そのワードに衛宮がぴくりと眉を動かす。お、これはまた釣れるんじゃないかと期待を胸にランサーが話を続けようとすると衛宮の反応はランサーの想像とは真反対だった。
「君はそのワードを面白おかしく話そうとするがね、だいたい想像はつくし、予想通りなのだとすればそれを機器として語っている君を私は軽蔑せざるを得ないな」
あ、地雷踏み抜いた…
「兄貴ーいるー?」
救世主。まさにその一言で衛宮の怒りはどこへやら弟の方へと歩いていった。
「おかえり、どうした」
「ただいま、あのさぁ、道連れ岬って知ってるか?」
その言葉にランサーは見えないところでにやりと笑い、衛宮は盛大なため息をついた。
深夜11時、衛宮、士郎、ランサーは『道連れ岬』へと足を運んでいた。
車はギルガメッシュに貸してもらった。なんでも
「我を誘わず車だけ借りようなどと……」
いつもは気前よく何も言わず貸してくれるというのに、と思い秘書の言峰に目をやれば「仕事が片付かなくてな、息抜きでもしたいんだろう」と横にふんぞり返って座っているギルガメッシュを見て嘲笑していた。
そんなこんなで車は借りれたものの、いざ行ってみれば何の変哲もないただの自殺スポットのように見える。
「なんか、どうぞ飛んでくださいって感じだな」
「飛ぶか?」
飛ばねえよ!とランサーが叫ぶと衛宮はそれに構うことなく崖の先端へと歩いていった。
「兄貴!着物なんだから動きづらいだろ!そんな先端に行くなよあぶない」
「愚弟に心配されるほど衰えていないさ」
いつものような神経を逆撫でするような口調に士郎はぐぅとそれ以上何も言おうとはしなかった。
三角定規のような形の崖に数十分もいるがまだ何も起こらない。
「死にたくなったか?」
「そんな訳ないだろ!」
ランサーが戯れに士郎に尋ねれば唇を尖らせながらそれに反抗する。士郎の後ろでは衛宮が苦虫を潰したような顔をしていた。これ以上士郎にこのネタはタブーらしい。後ろのモンペが黙っていなさそうだとランサーは口をつぐんだ。
「なぁ、道連れ岬ってなんでそういうんだ?」
士郎の言葉にランサーがうーんと唸る。
「確かな、俺らみたいに三人でここに来たヤツらがいたんだよ。んで突然ひとりがおかしくなって崖から飛んだわけだわ、それを止めに入ったやつがそのままそいつと落ちた、と。」
「ふんっ、巻き込まれたやつはいい迷惑だな」
鼻を鳴らしながら嘲笑する衛宮。多分この話を信じていないのだろう。噂が勝手に独り歩きして大きくなりすぎるのはよくあることだが、この話には続きがあった。
「いやな、いい迷惑どころの話じゃねーんだわな、これが」
「…?どういう意味だ」
ランサーのしたり顔に怪訝そうな顔をしながらも律儀に聞き返す衛宮に士郎は苦笑した。
「実際死んだのはその止めに入ったヤツひとりらしいんだわ」
「…は!?じゃあその飛んだやつは?」
ポカーンと口を開けながら驚いている衛宮とは違い弟の方は興味津々のようだ。
「さぁ?そこまでは俺も」
それはそうだ噂なのだから。
それから更に待つが何も起こらない。士郎がお手洗いに立つ頃には30分は経過していた。
「『道連れ岬』…な」
ポツリと響く低音にランサーは小首をかしげる。
「衛宮?」
「二人が落ちて、一人が死んだ…どうにも引っかかるな」
「だから心霊スポットなんだろ?」
最もな返答に衛宮はゆっくりと目の前の自動販売機に歩み寄っていく。ランサーもそれについていく形でひょこひょこと歩いた。
「ただの尾ひれのついた噂話か…全てが最初から超常現象とでも言うのなら話は別だがな」
がこんっと落ちてきた缶コーヒーに手を伸ばしランサーに投げる。自分のももうひとつ買うとまた先ほどの崖に戻って行く。
それから暫くしてこちらへ向かってくる足音がするのに気がついた。
ふと振り向くとおぼつかない足取りで士郎がふらふらと戻ってきている。
「…?おーう、随分長い便所だったな坊主うんこかー?」
けらけらと笑いながら言うランサーに士郎は反論一つしてこない。流石に様子がおかしいと思い、様子を見ていたが何をするでもなく、崖に行くのを阻めるようにたっついるガードレールを跨ぎ始めた。
「…おい、坊主」
振り返ることもなくまだ崖の先端を目指して歩く士郎。もう止めなければそろそろ落ちる。ランサーは手を伸ばす。
「っ、おい!」
あと数センチ、それだけ手を伸ばせばつかめるというのに誰かに肩を掴まれ阻止される。
「衛宮!坊主落ちるぞ!」
「黙っていろたわけ、今は何時だ」
「っはぁ!?んな事どうでもいいだろうが!それより」
「今は何時だと言っている、早く答えろ」
意味のわからない問いかけに舌打ちしながらもランサーは答えた。
「11時40分!」
「ならあれは士郎じゃない」
ますます意味のわからないその言葉にランサーは口を開けたまま士郎ではないなにかを衛宮と共に見つめる。
その瞬間だった。あと1歩、あと1歩踏み出すと落ちる瞬間にソレはこちらを振り返ったのだ。首だけで、180度回転して。
顔の中の頬だけで気持ち悪い笑みを浮かべながらそいつは静かに落ちていった。
「とんだ…」
ランサーがあんぐりと口を開けたまま放心状態なのを構うことなく、また来た時と同じ様に崖から下をのぞき込む衛宮は至って冷静だった。
「行くぞ」
「どこにだよ…おい!衛宮!…っち」
足早に向かった先は坂を下っていった先にある、ギルガメッシュの車を停めた休憩所だった。その隣には公衆トイレがあり、迷うことなくそのトイレに足を踏み入れる衛宮に続き、ランサーも恐る恐るトイレの中へ入っていく。
そこには床に倒れて寝こけている士郎の姿があった。
「おい、起きろ愚弟」
かける言葉は雑なくせ、起こす動作はとても優しかった。ぽんぽんと頭を叩くと士郎は嫌そうな声をあげながら早々に起き上がった。
「おはよう、そして蘇生おめでとう」
「は?…何の話だよもう…」
士郎だった。呆れながらため息をつくさまは本物の正真正銘の士郎だった。ランサーは士郎の頭を軽く小突くと盛大なため息をついた。
「え?え?なに?」
困惑状態の士郎に事細かに説明してやればサーッと顔を青くしながら魚のようにパクパクと口を開閉していた姿がとても印象的だった。
帰ろうと士郎をランサーが起き上がらせると、男子トイレの出入口へと足を勧めた。
途端いきなり聞こえてくるガラスの割る音に振り返る。
「…?ああすまない、君たちを驚かせるつもりは毛頭なかったんだ。ただの憂さ晴らしだったんだが…ランサー、そう、気をあらだたせるな禿げるぞ」
「てめぇ!」
さあ、高校の頃の続きと洒落こもうか
帰る頃にはもう夜中。士郎は後部座席で熟睡状態に入っていた。
「なぁ、なんであれが違うとわかった。兄弟の勘と言われりゃそれまでだがお前さんの場合そんな不確かな理由で止めにははいらんだろ」
衛宮は助手席で先程まで自分たちがいた崖わ見つめていた。
「…時計が、左についていた。あいつはいつも右につけるんだ。それに、あいつはいつも右の後ろポケットにケータイをしまう、だが今回は左だったんだ」
鏡合わせ、ふとそんな言葉が脳裏をよぎる。
「腕時計の時間が2時20分だったのにも引っかかった」
それを鏡に移せば11時40分か…
衛宮のとてつもない観察眼に自然とヒュウと口笛がなった。
公共の鏡を何の理由もなしにこいつが割るとは思えない。衛宮の先程の説明ですべて合点がついた。
「ってことは俺はあのままアレを止めに入ってたら死んでたかも知んねぇのか…いやぁ怖いねぇ」
「それを笑って言える貴様の方が怖いわたわけ」
ちげぇねぇとけらけら笑うランサーに衛宮はため息をこぼした。
まだ死ねねえさ。
だってまだ伝えてないんだ。
ランサーは心の中でそう呟いた。
後日談…
「そういえば士郎、なんで道連れ岬のことを知っていた?」
古書を片付けながら手伝ってくれている士郎に衛宮はふと問いかける。
「あー、遠坂がな、美綴からこんな噂を聞いたって震えながら言うからそんなことあるわけないって言ったら怒られて」
「…なんて?」
「衛宮君!あなた言ったことも見たこともないくせによくそんなこと軽く言えたわね!ってさ遠まわしに見てこいって言われてるようなもんだよな」
衛宮は苦笑いを零した。
Comments
- そーNovember 3, 2017