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エンカウント/Novel by 蓮人

エンカウント

2,775 character(s)5 mins

サイトにて頂いたリクその3『他から見た槍弓(バカップル)』バカップル目指しましたが書いててどうなのかわかんなくなりまし、た……基本二人の世界すぎて他視点も四苦八苦。あと書いてて膝枕ネタが好きなことに気がつきました。ワンパターンサーセン。ではではリクありがとうございました!

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 衛宮士郎は前方の光景に頭を抱えてしゃがみこんだ。
 ここは衛宮邸の縁側。家主である彼がここに足を運んだことに特別理由はなかった。
 しいて言えば天気がよかったからなのだが、それは何人もいる居候の誰かが同じことを考えても不思議なことでなく。
 それが同一人物ならばその可能性は最早至らなかったことが不覚でもあった。
 もちろんこの場合それはどちらにも当てはまるが。

「……なにしてんだよあんたら」
「貴様の目は節穴か? 本を読んでいるだけに決まってる」

 視線だけ寄越した弓の英霊はしゃがんだままの士郎に言い捨て、どうでもいいとばかりにすぐに本へと戻って行った。大変むかつくが、これぐらいで根にもっていたらとても顔を突き合わせて生活などできない。
 流すのだって立派な対応の仕方だ。いちいち噛み付いていたらきりがない。それよりも問題はそこじゃない。

「お前こそ、その耳飾りか。俺はあんたらって言ったんだぞ」

 視線が戻る。さっきよりも鋭いが表情が苦い物でも噛んだ後のように渋い。

「……見てのとおりだ。私は知らん」

 知らんってなんだよ。
 近づきたくもないし、立ち去るにしてはそれはもう通り過ぎてしまったようで、落ち着きたくないがしかたなしに胡坐をかいた士郎は、改めて目の前の光景を観察する。
 いるのはアーチャーと、そしてランサーだ。なんでさっきからランサーは会話に加わらないかと言えば、寝ているからだ。
 アーチャーの膝の上で。体は板の間で頭は筋肉で硬いはずの膝で。なのに仰向けに寝転がってるランサーはどう見ても爆睡だ。気持ちいいとこって日差しくらいしかないだろ。コンクリートの上でも同じように眠れそうだけど。

「来たと思ったらこんな日は寝るに限るだの言って勝手にこれだ。同じ勝手なら布団で寝ればいいだろうに。これの考えることはさっぱりわからん」
「………………」

 なんか生暖かい気持ちになった。なら起こせばいいだろ。身じろいだだけで落とせるのに、それをしてない理由は知らない振りってことなのか。
 遠坂凛ことあかいあくまなら似たようなことをあっさり言えるが、衛宮士郎はそこをつっこむことはしなかった。
 光景だけで胸焼けしそうなのに、これ以上増量されたら更なる気疲れを起こしそうだからだ。
 それにしても、と今更な疑問に内心特大のため息で思う。
 きっかけは知りようがないが、居候としてランサーが居つくようになってしばらく――しばらく? そんなに経ってはいなかった気がする。
 初めてアーチャーを口説くランサーを見かけたとき、思わず持っていた皿を二枚割ったのは一番最近の失態だった(直しているときと終わった後の心境はとても口では言い表せない)
 しかも最初は態度も口調も辛辣だったアーチャーが徐々に徐々に徐々に軟化していき、一週間前とうとう相部屋になったときは、ああやっとかとか別に待ち望んでたわけでもないのに思ってしまった。
 偏見はない、と士郎は思う。思うというか、身近にいなかったのだから知識としてそういう形の誰かもいるのだぐらいだった。
 実際こういう光景を見ても抱くのは不快感でなくて、いちゃつくなら部屋でやれやってくださいという希望で懇願だ。
 女性陣が彼らのやり取りに寛容だったのもあるかもしれない。もっともセイバーとライダーはそういうのが普通の時代だったのだし。それはアーチャーに言い寄ったランサーも。

(あんた女好きじゃなかったのか?)

 人の同級生にまで声をかけていたのに、それがなんでアーチャーに向いたのか。
 聞いてみたいような気はするが、どう聞いても惚気を聞かされるのが目に見えてるのでそこまで野次馬根性は出せない。だから聞きたいのは宗旨替えの理由であって、アーチャーのことじゃないといくら言っても無駄な気がする。
 ……いや、うん、一緒なのか。ダメだやっぱり聞けない。俺の平穏のためにも。

「いつもと変わらぬ間抜け面だと思うが」
「は?」
「そんなものをじっと見つめるなど今日はよほど暇なのだな、貴様は」

 小馬鹿にしたような顔でなく、舌打ちでもしそうな不愉快だと書かれた顔で言われた言葉を噛み砕くのに少々時間がかかった。疲労困憊した。
 男の寝顔見てることに呆れるとか嫌そうな顔するのはわかる。けどアーチャーのそれは違うのもわかる。
 これはあれで。つまりランサーが無防備に寝てるところを見られるのが嫌だとか、そういう……って、なんでさ。あんたキャラ違うだろ!
 こんなときに同調したくない。未来でもどこまでいっても思考が似たり寄ったりなんて小さい方の英雄王じゃないけど憂鬱すぎる。
 ツンデレという言葉も浮かんだが士郎はそれはまるっと無視した。俺はツンデレにはならないとおかしな決意もしそうになったがやめた。

「……買い物行って来るから留守頼んだ」
「冷蔵庫の右奥にあるチーズをなんとかしろ。夕飯に使い切らないのならば使わせてもらう」
「ランサーにか?」

 アーチャーが見ててわかるくらい固まる。片手で支えていた本が零れ落ちかけるが、そこは英霊の反射神経。完全に手から離れた後でも間に合った。顔面に本の角コースだったランサーは回避された未来を知らずに寝ている。
 鼻で笑われる覚悟で言ったそれは見事図星だったらしい。

「…………衛宮士郎?」

 わなわな震えて低い声で呼ばれても、準備のためにさっさと立ち上がる。
 ランサーを落としてまで追ってくるわけない。散々あてられたんだから、これぐらいの仕返しがあってもいいと思う。
 蜂蜜漬けの果物でも齧った後のようだったべたべたした気分が多少すっきりした。
 案の定動かない後ろの気配から急ぐ必要もなかったが、足早にその場から離れた。


 しかし玄関を出るところでふといらないことに衛宮士郎は気がついた。
 隣まで行ってはいないが、あれだけ近づいたのに、ランサーはとうとう最後まで眠ったままだったなと。
 サーヴァントだからというのもあるが、基本他の彼らもそうだが寝ているところを見ることがない。あるのは自分のサーヴァントであるセイバーくらいだ。
 自分だから脅威にも数えず放っておいたのか、それともアーチャーがいたからか。
 けどそもそもあそこにアーチャーがいなければランサーは寝ていないわけで。

「……結局いちゃつかれただけじゃないか」

 逃げられなかった結論に項垂れた弾みで戸に頭をぶつけた。
 そしてがらがら開く音は引いた彼の心境を表すように自棄で乱暴だった。

Comments

  • そー
    October 14, 2017
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