2026/02/18 18:00
基本はメロですね。インストとしてのメインになる音から作ります
──2026年2月11日には、「eau de parfum ~extended play~」というEPがリリースされます。EPのタイトル「eau de parfum」は、香水を意味する言葉が、このタイトルを付けた理由は?
今回のEPの楽曲のテイスト自体がバラバラなんですよね。「香水」っていろんな成分が混ざった結果のものだと思いますし、そういうバラバラなものがひとつのものになっている、という意味合いで、「eau de parfum」というタイトルにしました。
──作品全体を通して、すごくカオスな印象も受けました。これは作るうちに結果的にカオスになったのか、それとも最初からぐちゃぐちゃなものを目指して作ったんでしょうか。
ちゃんとまとめようとしていたら、こんなにバラバラにはならなかったと思います。それが最初からわかってやっていたから、想定通りですね。それぞれいろんな方向性で試した結果なので、全部を一枚にまとめたら、バラバラになるのも自然だと思います。

Aiobahn +81 feat. FUWAMOCO - side by side (Official Music Video) 【Ending Theme for NEKOPARA After】
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──楽曲制作について伺いたいのですが、制作の際に最初に決めるのはどんな部分なんでしょうか。
作る流れ自体は、普段やっている音楽とそんなに変わらないです。基本的な流れとしては、まずトラックを作って、そこにメロをつけて、次に作詞の方に渡して、歌詞が上がったら誰に歌ってもらうかを決めて、レコーディングして、最終的に仕上げる、という感じです。これは昔から変わっていません。
──作り方自体は普段は変わらない、と。
そうですね。強いて言えば、「こういう方向性で作りたい」というざっくりしたイメージを軽く決めるくらいです。ビジュアルとか、目で見るものを最初にイメージすることはあまりないですね。それは歌詞がついてから考えることが多いです。最初は音をどうするか、というところから入ります。
──ということは、曲ができてから徐々にコンセプトが固まっていく?
そうですね。まずはインストのトラックを作って、歌詞をつける段階でコンセプトを決めていく。そこからビジュアル周りの方向性を考える、という流れです。最初はとにかくトラックメイクに集中しています。
──楽曲はどこから作り始めるんですか?
基本はメロですね。トップラインのことじゃなくて、インストとしてのメインになる音から作ります。そこから徐々に音を重ねていく感じです。
──言われてみるとメロディも強いですよね。どの曲も耳に残る印象がありますが、そのあたりは意識しているところなんでしょうか。
僕がルーツとして聴いてきた音楽って、だいたいメロが強いものが多いんですよね。アニソンもそうだし、ダンスミュージックもそう。基本的に僕自身が「メロ優先」で聴くタイプなんです。もちろん曲による部分はありますけど、結果的にはメロ優先になっているんじゃないかなと思います。
最近は、自分の世代より前の、90年代とか2000年代初期のダンス・ミュージックにも興味が出てきていて。そういう昔のダンスミュージックって、今よりもメロディがすごくはっきりしていて、音の使い方もシンプルなんですよね。そういう音楽が、今は自分の中でマイブームになっているので、それをインプットしつつ、自分なりにどう解釈するかを考えながら作っています。

Aiobahn +81 feat. 名取さな - 太陽の楽園~Promised Land~ (Official Lyric Video)
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──歌詞についてはどのように作っていくんですか?
作詞担当の方にキーワードやイメージをある程度投げることも多いです。今回の作品では、IOSYSの夕野ヨシミさんに“天天天国地獄国”、“歯無歯無歯無歯無”、“ずぶ濡れ魔法少女 阿比留ミズキ”の3曲に書いてもらったんですけど、これは夕野さんからイメージを出してもらうことが多いですね。夕野さん個人のイメージがベースになっているものが多くて、その中から「これは合いそうだな」と僕が判断して選んでいます。
──夕野さんと作るときは、共同制作に近い形なんですね。
夕野さんはコンセプトやイメージを出すのがすごく上手い方なので、ほぼ任せている部分もあります。でも別の作詞家の方とやる場合は、僕からイメージやキーワードを投げることもあります。その場合は「こういう方向性で」というイメージやキーワードをある程度共有していますね。もちろん本当に曲によるし、誰と組むかがポイントですね。
──この名義において、歌詞は重要な要素ですか?
重要ですね。イメージの出しやすさって、すごく大事だと思うんです。ただ僕は歌詞を書く側ではないので、やっぱり一番集中しているのは音です。自分の中では、音が一番で、その次に歌詞、という感覚ですね。
──今作は歌っている方のラインナップも幅広いですね。“天天天国地獄国”は、ななひらさん、P丸様。さんとのコラボ楽曲です。今のネットカルチャーでもかなり人気のあるアーティストとの共演だと思いますが、このあたりのオファーのきっかけは。
オファーしたのは、単純に曲に合うと思ったからですね。楽曲をつくるなかで、ふたりの掛け合いというのは決めていて、その中でななひらさんをまずイメージしました。それで曲の1分40秒あたりにソロになるパートがあるんですけど、そこに一番合う声をイメージしてP丸様。さんに依頼しました。
トラック自体は昔のダンスミュージックを意識して作っていて、なんとなく「この曲は2人で歌ってもらった方がいいな」というイメージが最初からあったんです。直感的に「これは2人にしたほうがいいな」という感覚ですね。完全に意識の流れだったんですけど、それが結果的に正解だったんじゃないかなと思います。
──今のネットカルチャーの文脈ですと、Mori Calliopeさん、名取さなさん、FUWAMOCOさんといったVTuberのアーティストの方とのコラボレーション楽曲も収録されています。
そうですね。ただVTuberだから選んでいるということは全然ないです。やっぱり音楽観点で声質的に合っていると思った方、というのがオファーの決め手ですね。

Aiobahn +81 feat. Mori Calliope - 独立独歩 (Official Music Video)
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2026/02/18 18:00
その人がどんな音楽に影響を受けてきたのか、ルーツを知りたい
──さまざまなネットカルチャーを内包する今作には、桃井はるこさんという、オタクカルチャーのレジェンドも“ずぶ濡れ魔法少女 阿比留ミズキ”で参加していますよね。このオファーのきっかけはどういうところだったんでしょうか?
この曲はSAWTOWNEというアメリカのボカロPと作ったんです。それで誰に歌ってもらうか、という話をしていて、VTuberの方の名前も出したり、ボカロでいくとか、いろいろ考えたんです。でも彼もルーツとして昔の電波ソングに触れているタイプで、桃井はるこさんがすごく好きだったんですよ。僕も桃井さんの曲はすごく好きだったので、じゃあもうお互いが「良い」と思っている人を選んでいいんじゃないかという話になりました。
──“plug n pray”では重音テトを、“歯無歯無歯無歯無”では初音ミク、重音テトといったボーカロイドを使ったダンスミュージックですね。
その2曲は僕自身、いわゆるボカロPかと言われると、別にそうでもないので何とも言えないんですけど、ちょっと試してもいいかな、というノリで作りました。ボカロというジャンルとして形にしよう、という意識はあまりなくて、ボーカルの一つの選択肢として使った、という感じですね。ただ“plug n pray”は重音テトを使っているだけなので、ボカロ曲として成立しているかというと違う気がしていて、よりボーカロイドっぽいのは“歯無歯無歯無歯無”かなと思います。

Aiobahn +81 & Explorers of the Internet - plug n pray (feat. 重音テト) 【Official Audio】
Aiobahn +81 & Explorers of the Internet - plug n pray (feat. 重音テト) 【Official Audio】
──この2曲は、特にダンス・ミュージックの要素も強いですが、クラブのフロアやDJユースを意識して作ったりはしますか。
箱を意識して作ることは特にないですね。まずは「聴く」ことが大前提だと思っているので。低域の鳴りは気にしますけど、だからといってクラブを意識して作っているかというと、それも違います。もちろん低域には気を使っているので、そこはちゃんと鳴ると思います。でも強くクラブを想定しているわけではない。音楽って、みんながクラブで聴くわけじゃないじゃないですか。多くはAirPodsとか、家でスピーカーで聴くと思うので、そこが一番大事ですね。
──ご自身も、クラブよりは家やイヤホンで聴くタイプですか。
ルーツ的に、クラブで音を聴くのも全然好きですし、聴こえ方が違うのもわかりますし、クラブにはクラブの、フェスにはフェスの鳴りがあると思っています。ただ実際に一番多いのは、AirPodsや家のスピーカーで聴くことですね。
──制作の段階でも、そのあたりは意識しているんですか。
昔からそうですし、今もそうですね。このEPでも同じです。音量が大きい箱の鳴りに頼るより、普通のスピーカーやイヤホンでどう聴こえるかが大事だと思っています。
──このEPをリリースして、今後やってみたいことの構想は生まれていますか?
その時その時で、自分が興味を持っている音やジャンルが違うので、「これからこうしたい」みたいなことはあまり考えたことがないですね。音楽活動において、細かく長いプランを立てるタイプかというと、全然そうじゃない。その時「これやろうかな」みたいなノリでやっている感じです。正直、今どうするかで精一杯なので、その時その時で変わると思います。
──ちなみにいま興味がある音楽って何かありますか?
今は、特定のジャンルに偏って聴くことはあまりなくて。今のダンスミュージックの流れをチェックしたり、昔のダンスミュージックを聴いたり、アニソンや電波ソングも昔のものを探ったり、結構いろいろ聴いています。配信されていないものはCDを買ったりもしますね。CDだとだいたいアニソンが多いです。90年代とか、配信されていないものも結構ありますから。
──3月には東京・名古屋の2箇所で〈Aiobahn +81 debut EP "eau de parfum 〜extended play〜" Release Party〉が開催されますね。
正直、どうなるかはまだ分からないですが、イベントとしては「ハブ」的な場にはなりそうだなと思っています。イベントに足を運ぶ理由は人それぞれで、アーティスト目当ての場合は「ヒット曲が聴けるかな」と期待して来る方も多いですよね。でも、個人的にはそこにあまり惹かれなくて。自分自身も箱に行く立場ではありますが、同時に作る側でもあるので、その人がどんな音楽に影響を受けてきたのか、ルーツを知りたいんです。DJというのは、その人の「好き」が凝縮されたセレクトだと思っていて、だからこそ、流れる曲すべてに興味を持って聴きたい。
僕のイベントでも自分の曲はかけますが、それ以上に、自分が本当に好きな音楽に触れながらやりたい。DJはまず自分自身が楽しめていないと意味がないとも思っています。出演者の方にも、ヒット曲や有名曲に寄せる必要はないので、自分のルーツを存分に出してほしいですね。お客さんにも、そうした音楽をきちんと「音楽として」受け取ってもらえたら嬉しいですし、結果的にイベント全体を楽しんでもらえたら、それが一番だと思っています。
Aiobahn +81、初のEP

EVENT INFORMATION
〈Aiobahn +81 debut EP "eau de parfum 〜extended play〜" Release Party〉
2026年3月1日(日)
16:30 OPEN / 17:00 START / 20:30 CLOSE
会場:王城ビル(東京都新宿区歌舞伎町1-13-2)
出演者:
Aiobahn +81
D-YAMA
DJ Heero Yuy
KARUT
mondaystudio
Tatsunoshin
TeddyLoid
原口沙輔
まろん
桃井はるこ(LIVE)
and more
VJ: おちゃ
◎入場料
Adv. ¥1,300 (+2D)
Door ¥2,500 (+2D)
https://iflyer.zaiko.io/item/378598
*入場時に2drink代¥1,200必要
*2月11日発売EP『eau de parfum 〜extended play〜』(数量限定生産盤)に付属するINVITATION CARDをお持ちの方は入場無料(別途2drink代¥1,200をいただきます)
2026年3月22日(日)
13:00 OPEN / 21:00 CLOSE
会場:club JB'S(愛知県名古屋市中区栄4-3-15 丸美観光ビル B2F)
出演者:
Aiobahn +81
D-YAMA
DJ Heero Yuy
Tatsunoshin
WATARU
西郷・DJ・いろり
まろん
and more
VJ:
しんいち
◎入場料
Adv. ¥3,500(別途1ドリンク代600円いただきます)
Door ¥4,000(別途1ドリンク代600円いただきます)
https://ss-vol23.peatix.com/view
*名古屋公演には数量限定生産盤のINVITATION CARDは有効ではありませんので、ご注意ください。
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Aiobahn +81 ディスコグラフィー
PROFILE:Aiobahn +81
エレクトロニック・ダンスミュージックをルーツに持ち、日本のサブカルチャー・シーンにコネクトする唯一無二の音楽プロデューサー / DJ、Aiobahnが、2025年より本格始動させる別名義。 電波系/インターネット・ミュージックやアニソン、ゲーム音楽をはじめとしたオタクカルチャーとセッションするための名義で、Aiobahn名義とは一線を画すオリジナルアートを表現する、通称“別人”。