light
The Works "衛宮古書店の事件録" includes tags such as "Fate", "槍弓" and more.
衛宮古書店の事件録/Novel by ち

衛宮古書店の事件録

3,638 character(s)7 mins

某怪談話のパロディのようなものです。

槍弓風味にしたかったのにとても士郎×弓のような雰囲気が出ています。

槍弓です!

文才がないのでところどころ日本語がおかしいかも知れません。生暖かい目で見守ってください。

fate知ってる人とお友達になりたい…( ´・ω・`)

1
white
horizontal

衛宮古書店の事件録




彼の話をしよう。
彼は誰にでも好かれる気質があった。高校の頃に部活のキャプテンどうしということでよく武道場を取り合う争いごとをした。そこから小言やらなんやらのオンパレードだったが、大学に入れば高校の時の血の気はどこえやら親友という称号を与えられるようになった。
そこからというものの、成人してもう三年も経つのに彼との縁は一向に切れない。





冬木市には一つの有名な古書店が存在する。名を衛宮古書店と言う。
そこには顔立ちの整った青年が接客をしてくれることで有名で、文庫が好きな女性客は近くに本屋があったとしても必ずここにくる。隠れ有名スポットにもなっていた。
だが、その古書店の有名な理由は青年だけではない。
そこへ行くと体のだるさがなくなったり、頭痛がふっと消えたりと不思議なことが起こることでもそこそこ有名になっていた。
店主は三年前から白髪のその青年になっているが、店主は健在で今では夫婦で世界一周という大規模な旅行へと足を踏み出していた。
そんな有名でレトロなその古書店にとても似合わない青空色の髪をなびかせた青年が入っていった。
「衛宮!」
バンッと勢いよく入ってきた青年に衛宮と呼ばれた店主はこめかみを押さえ、大きなため息をつきながら読んでいた古書を静かに閉じる。
「君、何度言えば静かに入ってくるということを覚えるのかね。君は存外賢いと記憶していたが、訂正しよう。君の頭はそこらの犬より悪いらしい」
「てっめ!…っていやそうじゃねえ、聞けって」
カウンターを勢いよく叩く姿に客がいない時間帯でよかったと着ている質のいい着物の腕をたくしあげていた紐を解く。
「またオカルト好きの友人の戯言か?聞き飽きたぞ。ランサー、君そんなものに構っている暇があったら趣味の一つでも見つけたらどうだね」
席を立ち上がり本の整理をし出す店主、衛宮にランサーと呼ばれた青年はすぐさま話を続けた。
「まぁ、聞けよ。首あり地蔵って知ってるか?」
その言葉にぴくりと眉を動かす。
「なし、ではなく?」
食いついた衛宮にランサーは口角を上げる。
「あり、なんだよ。なんでも最近そこで人が倒れてることが多いらしくてな、全員狂ったように首、首って言うらしいぜ?」
だからなんだとでも言い出しそうな衛宮を制しランサーは続ける。
「その首あり地蔵な、冬木にあるんだ」
「ほう、くれぐれも変な気は起こさないことだ」
話は終いだと続けて店主は本棚の並ぶ店の中心部へと歩いていく。終いにしたはずの話をまだ続けたりないのか、ランサーはその後ろをパタパタと着いていく。
「へぇ、行く気ないのか?被害者多数だぞ?」
手つきが少し遅くなる。衛宮の迷っている時のくせだ。それに漬け込むようにランサーはあれよあれよと言葉をかける。
「……わかった、行こう」
「よっし!じゃあ行くぞ!」
そう言って電車を乗り継ぐこと三十分。ついた頃には日は沈みかけていた。そこは四、五年前には縁結びで有名な神社で石段が多く、登るのが大変なことで有名だった。
入口には寂れた鳥居が今にも崩れ落ちそうに佇んでいる。その鳥居に恐れることなく寄りかかっている青年のそばへと歩み寄る。
「…兄貴、なんで俺も呼ぶんだよ」
やっと来たと言わんばかりの不満気オーラを全開にしてスマートフォンをポケットにしまう青年に兄貴と呼ばれた衛宮ははっと嘲笑をこぼす。
「お前は憑かれやすいからな、祓うのにはもってこいだ」
「弟を道具扱いかよ!」
衛宮の弟である士郎はがっくりと項垂れる。その様子を隣で見ていたランサーは士郎の肩を叩き、小さく謝罪をした。慣れているようで士郎は溜息をつきながら頷いた。


階段を上っていくと中腹部に目的のものが四つ並んでいた。士郎はそこで首をかしげている。
「なぁ、兄貴、ここってーーー」
その言葉が続くことはなく、衛宮によって士郎の言葉は塞がれた。
「士郎、首あり地蔵の説明はランサーから受けたのか」
「ああ、軽くな」
そうか、と短く返答して衛宮は地蔵を順々に見ていく。ランサーはそばにより、一つだけ首のある地蔵を眺めていた。
「…なーんも起こんねぇのな」
「おい、不謹慎だぞ。むしろ起こらなくていいだろ…俺あれ疲れるんだよ」
士郎がぶつぶつと文句を言うのも構わず衛宮は考えることを止めない。
「でも何で三つの地蔵は首がないんだ?」
士郎の疑問に衛宮は深いため息をこぼした。
「ランサー」
「わ、悪かったって!」
地を這うような低音にランサーが慌てながら士郎の背後に隠れる。
士郎はなぜランサーが怒られているのか検討が着いたようで苦笑いをこぼしていた。
ここの地蔵は元々五つあり、頭を撫でながら願い事をすると叶うという言い伝えがあった。いつしか人の願いを叶えすぎた地蔵は首か落ちていくということが起こったそうだ。
「…ここにはもともと首がある地蔵が二つあったんだ」
いきなりの衝撃発言に士郎とランサーは驚いていた。
「なんでお前がそんなこと知ってんだよ」
「決まっているだろう。来たことがあるからだ」
そんなこともわからないのかと言いたげな視線にランサーは不満気な表情を浮かべる。
「…私はその時願い事をした」
静かに一つだけ首のある地蔵の頭を撫で、衛宮はその手をピタリと止めた。
「なんて?」
ランサーの問いかけに衛宮は自嘲した。

「もげろ」

そういった瞬間、地蔵の首がズズッと石の擦れる音を立て、ごとりとエミヤの足元に重たい頭が落ちた。
「…え、あ、はぁ!?あ、兄貴何して」
「…ただの劣化だ。それがたまたま今と重なっただけだろう」
さあもう用は済んだと言うように衛宮は踵を返し、石段を下り始める。
「あ、おい、衛宮」
「何も起こらなかったんだ。これで本当に終いだ」
不服そうなランサーを見ないふりして衛宮は再び石段を下り出す。
「おい坊主、帰んぞー」
自分も石段に足をかける数段下ってもまだ後ろから足音がしない。
「坊主ー?」



「いらん首、ないか」


思考が停止する。士郎の手には先程落ちた地蔵の首があった。
「いらん首、ないか。あれば貰うぞ」
喉が渇く、嫌な汗が背中を伝う。

「ここにはいらん首はない」

安心する低音が響く。
それを聞いた途端、ランサーの全身から力が抜ける。士郎はごとりと首を落としたあと倒れ、気絶してしまっていた。衛宮は士郎を乱雑に担ぎ上げるとランサーに目配せをする。
すぐに立ち上がり、士郎を担ぐのを変わり、石段を下っていく。
ぽつりぽつりと衛宮が語る話をランサーは静かに聞いていた。
「昔、それが2歳の頃、私は13だった。それは今では考えられんくらい病弱でな、父をよく困らせた」
ランサーの背で眠っている弟の頭を優しく撫でる衛宮は兄そのものだった。弟が起きている時もそうしてやれば少しは仲睦まじいというのに、士郎を見るその目は優しくて、真正面から見ることが何故かできず、士郎を背負い直すことで返事の代わりを済ませた。
「俺はそれが許せなかった。一人でここに来て、願ったんだ。まさに神頼みだな」
自重をこぼす衛宮にランサーは首をかしげる。
「そんときにとったのか?」
「いや、そのときはただ純粋に願ったんだ。弟の体を健康にしてくれってな……今思えば黒歴史だな…」
こめかみを押さえる衛宮にランサーはくつくつと笑う。
「んで?そんな可愛いお願い事は叶ったのか?」
「…いや、だから家族でここに来た時にああ願ったんだ」
「ああ、もげろ?」
衛宮は照れた顔を隠すように少しだけ足早にランサーの前を歩いた。
「ああいう願いはすぐ叶うらしいな、それのは随分かかった」

そういう衛宮の声色はとても優しかった。





後日、衛宮古書店では怒号が鳴り響いていた。
「だから俺嫌だって言っただろ!まる一日寝て過ごすなんてまた慎二に怒られるだろ!」
「ほう、断れるものを断らなかったのはお前だろう?」
「俺が兄貴の頼み断らないのわかってるだろ!」
「ああ、兄思いの弟をもって、俺は幸せ者だな」
ふわりと笑った顔にまた負ける弟を兄は愛おしそうに見つめるのだ。
「くそぉお…」
カランカランと店のドアベルが鳴り、衛宮は席を立つ。
「この話は終わりだ、今日は凛とどこかへ行く約束をしていただろう、遅れるんじゃないのか?」
士郎は時計を見ると大慌てで古書店を出ていった。
「衛宮!」
青空色の青年が入店してくる。


ああ、今度はどんな怪談話だろうか。

Comments

  • そー
    October 31, 2017
  • October 31, 2017
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
© pixiv
Popular illust tags
Popular novel tags