北海道旭川市でいじめを受けた市立中2年、広瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳)が2021年に自殺したのは、市や学校がいじめを認めず、適切な対応を怠ったためだとして、遺族が市に約1億1500万円の損害賠償を求めた訴訟は26日、旭川地裁で和解が成立した。いじめ再発防止に向けた市の取り組みを遺族が評価し、市が賠償金7000万円を支払う内容。
訴状などによると、広瀬さんは19年の中学入学直後からいじめを受け、自殺未遂を起こすなどしていたが、中学校や市教育委員会で適切な対応が取られず、21年に自殺した。
遺族側は訴訟で、学校や市教委はいじめを早期に認知し、心身の苦痛を軽減・解消できたにもかかわらず、事態を漫然と放置して注意義務を怠り、いじめで追い詰められ自殺することを予見しなかったと主張していた。
和解を受け、遺族は「娘の気持ちを理解し、寄り添った和解案を提示した裁判官に感謝を申し上げたい」とコメントした。今津寛介市長は記者会見で「爽彩さんに哀悼の意を表すとともに、長きにわたり深い悲しみを背負われてきた遺族の皆様に心からおわびを申し上げる」と謝罪した。
原告弁護団の石田達也弁護士は「遺族側の主張に沿った勝訴的な和解」とし、「いじめ自死を巡る賠償水準としては異例の高額で、いじめの早期発見と対応を怠った学校が負う責任の大きさ、命の重さを反映させたもので、全国の学校関係者に警鐘を鳴らすものだ」と評価した。
この問題を巡っては、市教委の第三者委員会は22年9月の最終報告で、上級生らによるいじめを認定。遺族の要望を受け設置された再調査委員会は24年6月、いじめによる心的外傷後ストレス障害(PTSD)の長期化を指摘し、「いじめが主たる原因であった可能性が高い」と結論付け、自殺との因果関係を初めて認めた。【横田信行】