京大「吉田寮」寮生が3月末に一時退去、学生と大学の対話は再開する? 築113年「現棟」を歩く
●6年半の裁判で寮の存続勝ち取る
吉田寮には「現棟」のほか、2015年に建造された「新棟」と、1889年建造で2015年に大規模補修された「食堂」がある。 寄宿料は月額400円で、水道光熱費や自治会費を含めても寮費は月額約2500円と格安だ。2015年まで、寮自治会と大学との間で「運営について一方的な決定は行わず、合意の上で決定する」などとする確約書が交わされていた。 ところが大学側は2017年、「老朽化」を理由に方針を転換し、新規入寮の停止と全寮生の退去を求めた。完成したばかりの「新棟」の寮生にも退去を求める不可解な内容だった。 寮自治会は話し合いの継続を求めたが、大学側は応じず、2017年12月19日に退去通告をおこなった。通告書は現在も寮の看板の横に貼られたままだ。 大学側の強硬な姿勢に対し、寮自治会は2019年2月、食堂の使用継続を条件に安全対策として現棟での居住を停止する譲歩案を示した。 しかし、それでも大学は受け入れず、2019年4月と2020年3月の2回にわたり、「現棟」と「食堂」の明け渡しを求めて寮生と元寮生45人を提訴する異常な事態となった。 一審・京都地裁の判決では、すでに卒業などで退寮していた寮生については明け渡しを命じたものの、現棟に在寮していた17人のうち14人については退去の必要はないと判断された。寮自治会の法的主体性を認めるなど、寮生側の主張を大きく認める内容だった。 判決後、寮生たちは「勝訴」を掲げた。 その後、双方が控訴し、昨年8月に大阪高裁で和解が成立した。和解内容は「現棟」に住む寮生に「在寮契約」を求めること、3月末までに一時退去すること、大学が耐震工事などをおこなった後に再入居を認めること、そして食堂の継続使用を認めること──などだ。実質的に寮の存続を勝ち取った。 ただし、この和解内容は寮自治会が2019年2月に提示した譲歩案とほぼ同じものであり、6年半の裁判の末に当初の提案に近い形へ戻っただけともいえる。