築113年の楽園、人も汚れも受け入れて 切り捨てない暮らしの末に

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有元愛美子 大山貴世

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 玄関に入ると、壁一面に重ね貼りされたビラが目に入る。無造作に散らばる段ボールや本。割れてガラスが抜けた窓枠は、誰かが階段を下りる度にガタガタと震える。

 築113年、現役の学生寮では国内最古とされる京大吉田寮。老朽化した寮の耐震工事のため、今年度末に寮生全員が「現棟」から一時退去する。

「きれいが善とは限らない」吉田寮の掃除議論

 自治寮である吉田寮は、生活の決めごとを寮生同士で話し合い決めてきた。そんな中、寮生の鈴江義之さん(23)は2年前の議論が印象に残っている。

 「寮が汚いから掃除をしてきれいにしよう」。ある寮生の提案に別の寮生が反論した。「きれいであることが必ずしも善とは限らない」。理由は、昔からある商店街の再開発で土地の文脈が失われるように、寮の壁に貼られたビラを掃除で剝がしてしまえば、かつての寮生の考えや主張、時代の文脈が失われてしまう、というもの。ビラはイベント告知や生活上の決まりごとを書いたものなどの他に、個人の考えや意思を発信したものがある。剝がさずあえて重ね貼りされた汚さは歴史の蓄積だと主張した。

「京大吉田寮」のビラ=大山貴世撮影

 学校や家庭で「きれいにするのが当たり前」と教えられてきた鈴江さんは、掃除をしたくない気持ちを正当化しているように感じ納得がいかなかったが、反論は新鮮に感じた。議論の末、個人の考えを尊重しつつも、掃除を一律の義務とはしないという結論に落ち着いた。

日常に思いがけない出会いと会話

 対話を尊重する吉田寮で、た…

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この記事を書いた人
有元愛美子
映像報道部
専門・関心分野
写真・映像、矯正教育、閉鎖空間

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