【初めて】
「でも、オーガストと手を繋いだり頭を撫でられるのは気持ち良いです……」
オーガストが初めてノエくんを吸血するお話
オーガストの頃にノエくんが生まれていて出会っていたらと思って書いています
あまりにも初々しくて眩しくてくらくらしそうになりました
ところで、朝から夕方までオーガストに預けられていて、夕方から朝方までは卿と過ごす
双子か歳違いの兄弟なふたりとノエくんのお話がとっても読みたいです
- 57
- 57
- 2,462
「大丈夫。怖くないよ、ノエ」
その優しい声と頭を撫でる手付きに、緊張で震えていたノエの体はようやく和らいでいく。大丈夫、大丈夫と繰り返すオーガストの唇が目尻に触れて、ノエの睫毛の先は震えた。
「ん……も、……大丈夫 です」
手と手を深く絡ませると、暖かい春の陽に似たオーガストの体温を感じてノエは目を細める。手の大きさが違うせいで、関節が少しずれる痛みも愛おしい。ノエは少しだけ頭を傾け、オーガストが噛みやすいよう首筋を差し出した。
「オーガスト……、初めて なので……優しくしてください……」
泣きそうな声で伝えると、絡むオーガストの手に力が篭る。心臓が煩く鳴っていて、強がりをきっと見透かされていると思いながらもオーガストは穏やかに笑い、「力を抜いて」と耳許で囁いた。
「……っ! …、ぁ」
過敏な皮膚を柔く甘噛みされ、強く吸い上げられる。肌に残ったその鬱血痕の上から、オーガストは優しくノエに噛み付いた。びく、と反射で震えるノエの身体を、空いた腕で抱き締める。
「ぁ ……ん、く」
ごく、と血を嚥下する音に、ノエの口からは喘ぎに似た悲鳴が漏れた。肌を赤くさせながら涙に下瞼を濡らし、繋がる手をきつく握る。牙が肌を突き破った瞬間の痛みは確かにあったものの、オーガストの舌や唇の動きにノエの身体はすぐに別の反応を見せ始めた。呼吸は上がり、腰から這い上がる情欲に膝を擦り合わせる。
最後にちゅ、と浅く血を啜り上げたオーガストが、唇に付着した血を舐め取りながらノエの表情を覗き込むと、その鮮やかな金眼は今は血色に染まっていた。
「ノエ、大丈夫かい?」
全身に力が入らないノエが甘えるようにオーガストの胸元へその頬を押し付けると、あやすようにもう一度優しく頭を撫でてくる。
「血はじきに止まる、良く頑張ったね」
「ん …あの、オーガ、スト… おれのからだ、…な んか …へん、…です」
「変?」
「……なんだか、むずむずして……熱くて……」
恥ずかしいのか、それ以上は口籠もってしまったノエの普段見せない性に熟れた反応に、オーガストは胸苦しくなる。伝染したようにオーガストも目元を少し赤らめながら、「ノエ、気持ちが良いことは変なことじゃないよ」と囁いた。
「……むずむずするのが、気持ち、良いんですか?」
「そう。それは気持ちが良い、って言うんだよ」
言い聞かせても理解できずに頭を傾げるノエに、苦笑いをするオーガストはそれでも嬉しそうで。ノエの丸い額と額を合わせて手を取りながら「君にはまだ早いな」と柔らかく笑った。
2022.01.30. hr.