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世界30万本を超えたSteam版goghを振り返る - マーケティング編

はじめに

私たちが開発するSteam版goghの販売本数が30万本を突破しました!日本発でありながら、海外ユーザー比率が70%と高く、世界中のユーザーにプレイいただいています。

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goghは、自分でカスタマイズしたアバターとルームで一緒に作業に集中できるプロダクトです。元々はスマホ向けに開発しましたが、「PCでも使いたい」という声を多くいただきPC版の開発を決定しました。それにあたって、グローバルで広げていくことを目指して、Steamというプラットフォームを選びました。

そんなSteam版goghのこれまでを振り返っていきたいと思います。本記事はリリース前までのマーケティング編とし、代表の西村が担当します。今後、ディレクター番匠による開発編を予定しています。

インディーゲーム開発者にとってはSteamでの事例のひとつとして、goghユーザーにとってはプロダクトの裏側として楽しんでいただければ幸いです。

マーケティングの基本方針とSteamの特性

Steam版goghのマーケティングを考えるにあたって、最初に強く意識していたのは、Steamというプラットフォームの特性です。Steamはアルゴリズムが非常に強力で、各ユーザーに対しておすすめのゲームを自動的に露出してくれます。

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そのため、Steamのアルゴリズムに乗ることができれば、多くのSteamユーザーに見つけてもらえるようになります。一方で、そのアルゴリズムに乗れなければ、なかなか露出されず、売上が伸びにくいという厳しさもあります。売れているゲームがさらに売れ、逆にほとんど売れないゲームもあるのは、この構造が大きいと思います。

だからこそ、Steamでは発売前にどれだけ準備できるかが非常に大切です。その中でも重要な指標になるのがウィッシュリスト数です。発売前にどれだけユーザーのウィッシュリスト登録を積み上げられるかが、その後の初動に大きく影響します。

goghでも、発売前のウィッシュリスト数を明確な目標として置き、いくつかのタイミングと施策に集中して取り組みました。

重要タイミング4つでの具体的施策

Steam版goghで特に重視して取り組んだのは、4つのタイミングでの施策です。まずは、その4つのタイミングと、ウィッシュリストの変遷の図を公開します。ここからそれぞれ説明します。

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1. アナウンス

まずは「Steamでgoghというものが出る」ことを認知してもらう必要があります。このため、最初にアナウンストレーラーを用意しました。また、同時にウィッシュリストを蓄積するためにSteamページも用意しました。

アナウンストレーラーがどれだけ再生・拡散されるか、その結果としてウィッシュリストを獲得できるかは非常に重要だと考えています。ここでトレーラーが再生されないのであれば、もしかしたらゲームコンセプトにニーズがないか、トレーラーがそれを伝えられていないかのどちらかです。トレーラーに問題がある場合は、トレーラーを作り直すのが良いでしょう。

しかし、残念ながらゲームコンセプトを見直す必要もあるかもしれません。ゲームコンセプトが受け入れられないのであれば、その後頑張って開発を続けても、ヒットさせることはかなり難しくなると思います。そこを見定める観点でも、アナウンストレーラーは非常に重要だと考えています。

goghの場合は、アナウンストレーラー公開から2週間でウィッシュリスト10,000件を突破することができました。

また、ありがたいことに、このタイミングから国内の複数の大手ゲームメディアにも取り上げて頂くことができました。日本では、ゲームメディアの発信力が強く、特にXにおける拡散力が高いため、初期の国内での認知・ウィッシュリスト獲得にとって非常に大きな存在だと思います。


2. Steam Next Fest & デモ版

Steam Next Festは、とても重要なイベントです。Steamの中で、リリース前のタイトルとデモ版が大きく注目されるタイミングです。イベント中にSteam内のランキングに入れれば、一気にウィッシュリストを増やせる可能性があります。

ただし、そのためにはSteam Next Festの前までに、ある程度のウィッシュリストが積み上がっている必要があります。そうでないとデモ版を公開しても、体験してくれる人数はあまり見込めません。(よっぽどデモ版がおもしろくて話題になれば別ですが。)だからこそ、まずは上のアナウンストレーラーでしっかりウィッシュリストを獲得していることが重要になります。

また、Steam Next Festは一タイトルにつき一回しか出られません。十分なウィッシュリストと、面白さを理解してもらえるレベルのデモ版が準備できた後に参加するのが良いと思います。

goghの場合は、ウィッシュリスト2万件のタイミングでSteam Next Fest直前を迎えました。また、Steam Next Festの3日前にデモ版を公開し、不具合などを確認した上でSteam Next Festに臨めるようにしました。結果として、デモも多くの人にプレイ頂き、Steam Next Fest終了時点ではウィッシュリスト4万件を突破することができました。

また、Steam Next Fest終了後すぐに、ユーザーの声を踏まえた今後の開発計画を策定して公開しました。例えば、もっと広いルームが作りたいという声を受けて、Largeルームの制作を決定しました。


3. リリース直前期

リリースの一ヶ月前に、リリース日をアナウンスしました。新規にトレーラーつくりました。プレスリリースも配信し、デモ版と製品版の比較表もつくり、新たにアップデートされる点を強調してお知らせしました。

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リリース5日前からはソーシャルメディアでのカウントダウン投稿を行いました。リリース日に上位を獲得することが、初動期間の売上に影響すると考えました。また、リリース2日前からは、日毎のウィッシュリスト獲得数も急増しました。Steam上の「近日登場」に掲載されたからだと思います。


4. リリース

最後がリリースです。もちろんトレーラーを準備し公開しました。リリース前日時点のウィッシュリストは8.5万で、元々目標としていた7万本を超えることができました。その結果、リリース時にはSteam内の「注目&おすすめ」のトップや、「話題の新作」にも掲載されることができました。

一方で、リリース時点の製品版としては不具合や操作性など未熟な部分も多かった反省があります。その結果、リリース初期は望んでいたほどは販売数が伸びなかったのが事実です。しかし、その後の継続的な改善と、約半年後のマルチプレイ機能による大規模アップデートによって、一気に販売が加速していくのですが、その話は開発編で触れられると思います。

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注目&おすすめのトップに掲載
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話題の新作のトップに掲載

今回、4つの重要タイミングでの取り組みを紹介しました。ただ、これらはそれぞれが独立しているのではなく、ウィッシュリストというKPIに対して一つずつ積み重ねていく必要があるものです。そのため、Steamでゲームをリリースするときには、リリース直前から考えるのではなく、企画時点から設計することをおすすめします。

他の施策と反省

ウィッシュリストの海外比率

ウィッシュリスト数の中で、海外比率も重要な指標として見ていました。Steam利用者全体の中で、日本人ユーザーの比率は2-3%と非常に小さいです。国内だけだと販売本数に限界があります。そのため、ウィッシュリストも日本国内だけで積み上げるのではなく、海外からどれだけ獲得できるかが大事だと考えていました。具体的には、全体のウィッシュリスト目標数に対して、地域ごとの目標数を設定してトラッキングしていました。

展示会

展示会にも出展しました。発売前にはTokyo Indie Games Summit、リリース後にはBitSummitに出展しました。正直、出展によってウィッシュリストが大きく増えたことはありませんでした。ただ、実際にユーザーや楽しみにしてくれている人たちと話せたのはとても嬉しいのと同時に学びにもなりました。また、いくつかとても貴重な繋がりも生まれました。展示会は、Steam上の数字を直接伸ばす場というより、ユーザー理解を深めたり、将来につながる接点を作ったりする場として、参加して良かったと思います。

ゲームメディア

国内のゲームメディアにも取り上げて頂きました。トレーラーやプレスリリースを公開するときに、主要ゲームメディアの問い合わせフォームやメールにご連絡させて頂きました。日本のゲームメディアは、Xでの発信力・拡散力が強いことが特徴だと思います。伝わる紹介文とトレーラーのカットで、何度もXでの拡散を生み出して頂きました。日本のゲーム開発者にとって、非常にありがたい存在だと心から思います。

一方で、海外のゲームメディアにはほとんど取り上げてもらえませんでした。いくつか連絡もしてみたのですが、うまくいきませんでした。

ソーシャルメディア

ソーシャルメディアとしては、X・Discord・YouTube・Bilibili・Rednoteを中心に運用しました。これらはフォロワー数も蓄積していくことができました。中国語圏のプラットフォームの運用は、中国出身の大学生のアルバイトに担当してもらっていました。
一方で、TikTokやRedditは全然活用できませんでした。どちらもゲームマーケティングにも効果的だと聞くこともあるので、もっとうまくトライできると良かったかもしれません。

多言語のプロモーション動画

また、上で紹介したもの以外にもいくつかプロモーション用の動画を公開しました。例えば、ゲームプレイ動画は、日本語、英語、中国語、韓国語の4ヶ国語のナレーション付きで制作したのですが、声優さんを起用するのではなく、チームのメンバーにそれぞれナレーションを担当してもらいました。また、クロダ42というペット紹介動画については、リードエンジニアが良い声だったので日本語ナレーションを担当してもらいました。このように、なんでもできるだけ自分たちでやってみよう、という形でトライしていきました。

Steamゲーム分析サイトの活用

Steamゲーム分析サイトもよく活用しました。気になるゲームがあったときには、Steamゲーム分析サイトで過去のウィッシュリストや販売本数の推移予測を調べながら分析していました。自分は当時はVideo Game Insightsを活用していたのですが、買収されてプラン内容に変更があったので、今だとGamalyticなどでしょうか。

最後に

こう長々と書くと、Steamゲームマーケティングは大変に思えるかもしれません。

しかし、goghチームでは実は、マーケティング専任の社員はいません。開発ディレクターの番匠が全体を主導し、トレーラーの企画やXの投稿、Steamページの整備を全て行いました。また、海外マーケティングについても、中国のソーシャルメディアは大学生インターン、韓国・英語のソーシャルメディアは副業のメンバーが運用しました。

上記のような自分たちがやってきたような、トレーラーとソーシャルメディアを中心としたマーケティングであれば、小さな開発チームでも、予算が小さくてもチャレンジできるのではないかと思います。また、それでも十分にSteamのバッターボックスに立てます。

一方で、Steamではマーケティングだけで勝つことは難しいと思います。面白いゲームがあってこそのマーケティングです。面白くないゲームであれば、そもそもトレーラーが注目を集めることも難しいです。また、仮に事前にウィッシュリストを集めることができたとしても、発売後の評判やSteamでの低評価レビューによって売れ行きは伸び悩むでしょう。第一優先は間違いなく面白いゲームをつくることであり、その上でマーケティングに取り組む順番が良いと思います。

ただし、実はマーケティングのプロセスは面白いゲームを作り上げていくためにも重要です。アナウンストレーラーは、初期のゲームコンセプトの検証になります。デモ版の配布は、多くのユーザーフィードバックを集める非常に良い機会になります。マーケティングに取り組むことは、面白いゲームを作り上げられる可能性を上げることにもなるのです。開発とマーケティングを分離したものではなく、開発プロセスの一環として、マーケティングも設計するのが良いのではないかと思います。


また、今回こうしてシェアさせてもらったのは、自分たちがSteam版goghを開発するときに、分からなかったことがとても多かったからです。自分たちもSteamでのリリースもまだ一本目ですし、goghもまだまだではあるのですが、できるだけ具体的に紹介させて頂きました。日本のインディーゲーム開発者の参考に少しでもなれば嬉しいです。

最後に、goghチームでのプロモーション担当を含む各種ポジションを採用中です。ここまで書いてきたように、自分たちも手探りの中で色々チャレンジしてきました。goghを世界中に届けていくという挑戦を、一緒に試行錯誤しながら楽しんでいける人だと嬉しいです。詳細は下記をご覧ください。


近日、ディレクターの番匠が担当する開発編を公開予定です。そちらもお楽しみにお待ちください。

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VIRTUAL WORLD STUDIO. 仮想世界をつくる会社。 世界200万DLを突破したアバター作業集中プロダクトgoghをはじめ、世界に向けて独自のプロダクト/ゲームを開発しています。
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