第22回本渡楓に刺さった、たんプリのテーマ 「小林」と呼びたくなる理由は
本渡楓のキュアット解決!
放送中のアニメ「名探偵プリキュア!」(ABCテレビ・テレビ朝日系、日曜朝8時30分)のキャストが月に1度、思いを語る連載「キュアット解決!」。3月末は、1999年のまことみらい市で名探偵を目指す少女・小林みくる、そしてキュアミスティックを演じる本渡楓さんの登場です。
オーディションでは、キュアアンサーに変身する主人公の明智あんな役も受けたそう(あんな役は千賀光莉さん)。2役と向き合って分かった、みくるの魅力、たっぷり語っていただきました。
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心のままに自然に
「名探偵プリキュア!」のオーディションでは最初、キュアアンサーの役を受けました。
スタジオでのオーディションの際にキュアアンサーを演じさせていただいてから、「キュアミスティックも聞かせてもらっていいですか」とお声がけいただきまして、キュアミスティック役も受けさせていただいた形です。
プリキュアのオーディションは、スタジオで初めてキャラクターのイラストを目にすることができるのですが、キュアアンサーのイラストを見たときの印象は、私の想像よりもおしとやかでした。
反対にキュアミスティックはかわいらしい子かと思っていたら、太めなまゆげの印象やパッツンな前髪から、少し強気な子に見えると感じました。
皆さんがいる場で大きな声で練習するわけにもいかないので、ぶつぶつと「方向性を変えるか?」「いや逆か……」といろいろ試行錯誤を重ねながら準備していました。
実際に演じてみると、キュアミスティックが自分の中でとてもしっくりくる感覚がありました。自分の気持ちにまっすぐで、グッと一歩踏み出しそうな力強さがありつつ、実は行動する前に、いったん踏みとどまって考えるタイプでもある。私と心の構造が近いと感じました。そのようなところから、キュアミスティックは素直な心のままに自然に演じることができました。
どうしてもキュアアンサーを演じるときは、自分の中の何かをコントロールする必要があり、いつも元気でありながら、周りの人を惹(ひ)きつけるカリスマ性もある彼女。私にとっては理性をきかせながら演じることが必要な役で、それは簡単ではありませんでした……。
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人間らしさに親近感
みくるちゃんのかわいらしさは、絵がいかんなく表現していると思っています。
髪形はツインテールで、髪色もピンク色を基調としていて、本当にかわいい。変身後のキュアミスティックもリボンやフリル、ティアラのような髪飾りもあり、女の子があこがれてしまうような姿で胸が高鳴ります。
また、キャラクター名として参考になっているのは、名探偵明智小五郎のそばにいる、小林少年という弟子だそうです。
キュアアンサーとキュアミスティックの間に、明智探偵と小林少年のような上下関係はありませんが、明智あんなちゃんがカリスマ性のあるキュアアンサーに変身するのであれば、小林みくるちゃんが変身するキュアミスティックには、小林少年のように親近感を持ってほしいと思っています。
ですから、単に「かわいい」だけを目指すのではなくて、おっちょこちょいなところもあるし、根性を見せるところもある……、そんな人間らしい部分を意識して演じています。
たとえば第1話で、キュアット探偵事務所にやってきたみくるちゃんの頭上に、あんなちゃんとポチタンが空から降ってくる場面。ここは収録の段階で、みくるちゃんが「あわわわ」となっている絵が入っていて、「こんな表情をするんだ」と思いました。
であれば、他の場面でもちょっと遊んでみて、みくるちゃんの人物像に幅を持たせていいのかなと思うようになり、彼女の魅力をもっと引き出せるようにいろんな角度から挑戦できるようになりました。
続いて、みくるちゃんがあんなちゃんに対して探偵について説明しているシーン。みくるちゃんはキュアット探偵事務所に入れるかどうかが決まる「探偵テスト」の最中だと思い込んでいますから、受かるために必死です。「夢がもう少しでつかめそうだ」という熱い熱を込めて演じました。
呼びたくなる、愛を込めて
ここまでの放送回を振り返ると、みくるちゃんは結構打たれ弱い面もあるのでは、と感じています。
第1話でも、名探偵を目指しているみくるちゃんは、怪盗団ファントムのニジーから「偽物だ」と言われて、言い返すことができませんでした。他にも色々なエピソードで、怪盗団ファントム側から投げかけられた言葉に対して、言葉に詰まってしまう場面もあります。
そこですかさず、キュアアンサーが「そんなことない!」と言ってくれる。言いたかった言葉を言ってくれるのがあんなちゃんであり、キュアアンサーなんです。
その対比を見ていると、みくるちゃんは元気はつらつで感情が豊かで熱量のある子だけれど、本当の素の自分というのはそんなに強い子ではないのかもしれない、と思いました。
自分自身に弱い部分があるからこそ、探偵として困っている人を助けたいと思っているのかな。しっかりしている部分もあるけれど、まだ中学2年生の子ども。年相応で、まだまだこれから成長していく子なのだなと思っています。
「ミスティック」と呼ぶ時もありますし、「みくるちゃん」と呼ぶことももちろんあります。でも演じている自分から見る彼女は、やはり人間らしさをすごく感じられる。私にとってのバディに近いような、クラスメートのような、隣の家に住む幼なじみのような、そんな存在として感じています。
「小林」と呼びたくなるんです、愛を込めて。
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アドバイス、返していきたい
私が声優として初めてオーディションに受かったのが、10年ほど前に放送されたお子さん向けのアニメでした。声優になって2カ月ほどで、台本のめくり方も分からず、うまくめくれなくて指サックを買ったのを覚えています。
現場にはベテランの皆さんがたくさんいらして、台本へのメモの仕方もマイク前の立ち方もすべてそこで教わりました。
いつか私も余裕が持てたら、誰かに返していけたらと思っていました。やっと今ドキドキしながらですが、やってみています。
キュアアンサーを演じる千賀光莉さんが、毎話のサブタイトルを読み上げてくれるんです。あるとき、千賀さんへ「ちょっと元気が足らなく聞こえるかも……」というディレクションが何度か続いたことがありました。
彼女が「うーん、どうしたらいいんだろう……」と隣で考えていたので「私だったら、って話をしていい?」と聞いてから、こんな話をしました。
「もっと元気に」と言われたとき、つい「元気にしなきゃ」という理性が演じる側には生まれる。でも、その理性で演技すると「元気にしなきゃ」という思いのこもった声になる。ただその場面では、キュアアンサーはきっと「元気にしなきゃ」とは思っていない。
ならばキュアアンサーが元気な時って、どんな顔なのか、何をしているのか……ということを考えて、キュアアンサーの気持ちや状態を考える。これを大事にすれば、緊張も解けるのではないかなと。
毎週、キャストみんなで変わらず会える温かい現場だからこそできたアドバイスかな、とも思っています。皆さんのおかげです。
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大事にしてきたこと
「名探偵プリキュア!」の掲げるテーマは、「自分で見て、感じて、考えて、〝本当〟の答えを出す」こと。その言葉を聞いて、うれしくなりました。子どもの頃から私自身がすごく大事にしてきたことだったので。
誰かが他の誰かのことについて話していても、反対側の方の話も聞かないことには、本当のところは分からない。
もちろん「あの人のお芝居、すごく素敵なんだよ」のような「良い話」なら、たくさんしたい!と思います。でも、そうではない話であれば、そのままうのみにはしない。うわさ話はエンタメにしてしまうこともあるけれど、それによって傷つく方もいらっしゃいますから。色々な立場の方の考えや気持ちを想像しながら、自分自身の発言や行動に責任をもって動けたらいいなと考えています。
「自分で考えて答えを出す」というのも、難しいテーマのようでお子さんたちはきちんと受け取ってくれると思っています。
私も幼い頃から「先生はこう言ってほしいのかな」「親はこうしてほしいだろうな」という期待は感じながら過ごしていた気がします。小さな子も賢いし、きっとたくさんのことを見て、考えて、本当のことを見抜いていると思うのです。子どもも大人も、誰かの期待に応えたいとか、誰かのために自分自身何ができるのだろうかとか、色々なことを考えながら生きている。
でもそこは一度置いて、自分は本当はどうしたいのか、何を求めているのかを大切にしよう。そんなメッセージも作品から感じており、私自身にも刺さっています。
私としては、みくるちゃんが感じていることを「みくるちゃん」としてマイクを通してまっすぐ届けたいと思っています。
第9話の段階では、まだまだこれから彼女の知らない一面も出てくるはず。オーディションで読んだ紹介文には、まだ描かれていない秘密も書いてありました。私が知らないけれど、みくるちゃんが知っていることもたくさんあると思います。私自身も皆さんと一緒に、みくるちゃんの新たな一面を受け取って、感じて、確かめていきたい。
私がキュアミスティックを演じて、それを受け取ってくれる皆さんがいる。「名探偵プリキュア!」という作品が、皆さんが自分自身を大切にして、自分の人生に自分で答えを出すきっかけになれたらうれしいです。