その棒グラフの読み方に重大な落とし穴があります。
あのグラフが示しているのはナフサの「調達先」であって、原料の「起源」ではありません。
2024年の調達先内訳は
・国産 39.4%
・中東直接輸入 44.6%
・その他輸入 16.0%
一見すると「中東は半分以下じゃないか」と読めます。
しかしここが罠です。
「国産39.4%」は日本の地下から湧いたナフサではありません。
輸入原油を国内で精製したナフサです。
そして日本の原油輸入先は95%超が中東です。
つまり原料起点で追跡すると、
中東起源ナフサ ≒ 直接輸入44.6% + 国産39.4%の大部分 + その他輸入の中東原油由来分
控えめに見ても84%超が中東起源です。
そして「その他輸入16.0%」に含まれる韓国からのナフサですが、韓国は3月27日付でナフサ輸出を全面禁止しました。
契約済み分も含め全量を国内供給に振り向ける5ヶ月間の措置です。
韓国自身が在庫約2週間分まで逼迫し、LG化学のクラッカー停止など自国の石化工場すら止まり始めている状況です。
非中東の「逃げ道」はすでに塞がっています。
川下在庫についても正確に読む必要があります。
資料が「約2ヶ月分」としているのはPE・PP(ポリエチレン・ポリプロピレン)等の在庫です。
しかし医療現場で不可欠なPVC(輸液バッグ、血液回路)、ポリカーボネート、その他の樹脂の在庫状況は開示されていません。
「川下在庫がある」という文言が、あたかも全素材に当てはまるかのように読まれるのは危険です。
また「国内需要の約2ヶ月分」とありますが、これは平時の消費ペースが前提です。
代替調達が止まった状態で取り崩せば、さらに早いペースとなるでしょう。
しかも医療用途に優先配分する法的根拠は現行法上ありません。
経産省の資料は「どこから買っているか」を示した調達フローであって、「どこに依存しているか」を示したリスク評価ではありません。
中東依存は実質9割前後。韓国ルートは遮断済み。川下在庫はよくて2ヶ月。医療優先の法的担保はなし。
不安を煽りたいのではなく、時間が限られているからこそ、正確なリスク認識を共有したいのです。