中国が仕掛ける認知戦、2月の衆議院選挙も照準か…英語発信強め国際世論工作に重点
読売新聞社と新興企業サカナAI(東京)によるX(旧ツイッター)などSNSの共同分析で、中国が昨年11月7日の高市首相の国会答弁を機に仕掛けた認知戦が、今年2月8日投開票の衆院選に合わせても行われた可能性があることがわかった。英語の発信を強めて国際世論工作に重点を置いたことも判明した。 【グラフ】一目でわかる…投開票日に向けて大きく増えたX上の対日批判
AI(人工知能)で首相が衆院解散を表明した今年1月19日から2月中旬にかけて、Xの全アカウントの投稿から中国の対日批判に沿ったナラティブ(言説)を抽出し、解析した。中国は昨年11月、台湾有事が集団的自衛権行使の対象となる「存立危機事態」になり得ると首相が答弁したことを受け、答弁から「沈黙の6日間」を経て対日批判の認知戦を本格展開させたことが本紙とサカナAIの共同分析で判明している。
解析の結果、中国の対日批判に沿ったナラティブの累計件数は1月19日に約1400件だったが、衆院解散の23日には約1700件、衆院選公示日の27日には約1800件と増え続け、投開票日の2月8日には4000件でピークとなった。衆院選期間中の認知戦の規模は、昨年11月の大規模認知戦時ほど大きくはなかった。
ナラティブの内容は、昨年11月には「日本政治・指導者批判」や「台湾問題・内政干渉」が中心だったが、衆院選期間中は「軍事化・軍国主義復活」「日本の衰退・経済的脆弱(ぜいじゃく)性」など、日本の内政に関連付ける批判が目立った。特に「日本政治・指導者批判」は投開票日が近づくにつれて増加した。
また、昨年11月から今年1月の中国共産党系アカウントの対日批判の投稿を言語別に分析したところ、英語の発信が急増していたこともわかった。大規模認知戦が展開された11月14~20日は英語による批判が日本語の約4倍で、12月も約900の投稿のうち、英語が560程度を占めた。1月も約300の投稿のうち、英語が半分強を占めた。
日本政府関係者は、衆院解散・総選挙を巡る対日批判の投稿について、「投票行動に影響を与えようと、台湾有事を巡る威圧的な発信をした可能性がある」と指摘した。中国が昨年11月に大規模認知戦を仕掛けた後も日本の報道機関各社の世論調査で高市内閣は高い支持率を維持していたことから、「中国は日本の世論への効果が小さいと判断し、国際世論への認知戦に注力したのではないか」との見方を示した。
中国政府関係筋は衆院選期間中の2月の対日方針について、「高市氏への攻撃を継続し、戦術的には圧力をかけ続ける」方針だったと明らかにした。昨年11月13日以降の対外方針を巡り、「中国を支持していない国を日本側に立たせないようにする狙いがあった」とも語った。中国の主張を国際社会に浸透させるため、英語での発信に力点を置いたとみられる。