主張

高校教科書検定 偏向記述に驚くばかりだ

社説

教科書検定に合格した、歴史(戦争)について記載されている国語の教科書=18日、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)
教科書検定に合格した、歴史(戦争)について記載されている国語の教科書=18日、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)

文部科学省が来年4月から主に高校2年生以上で使う教科書の検定結果を公表した。検定に合格した教科書でも歴史や沖縄の米軍基地問題などで偏向した記述が目立つ。

日本の高校生が学ぶ教科書としてふさわしいとはいえない。極めて残念である。

日本史探究の科目では、合格した6冊が先の大戦末期の沖縄戦に関し、住民の「集団自決」を取り上げた。「日本軍が住民をスパイとみなして殺害し、『集団自決』を強いたところもあった」との記述が検定を通ったことに首をひねる。

日本軍の命令による集団自決がなかったことは実証的研究ではっきりしている。命令という言葉を避けつつも、日本軍が強制したと誤解を生む記述だ。それが検定をすり抜けた。

平成26年に検定基準が改正され、政府見解や確定判決を踏まえることが義務付けられた。その後の検定で日本軍による「従軍慰安婦の強制連行」といった記述はなくなった。しかし、主語をぼかした形で「強制」「連行」の言葉は残っている。

国語でも、日本軍の加害行為を扱う内容が増えたことには驚くほかない。

日本兵がフィリピンで住民を殺害する場面が出てくる小説を掲載した教科書もある。別の教科書は「日本は戦争の加害者なんです」と訴える沖縄戦経験者の話を載せた。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画については、反対派の視点に立った記述が目立つ。例えば政治・経済で「国側の強硬姿勢に県側の反発も強まって」いるとし、「国は県を訴える裁判を提起して、基地建設を強行した」と書いている。

移設問題では国と県の双方が複数の裁判を提起したが、いずれも国が勝訴している。なぜそれを書かないのか。

先の大戦では、多くの日本軍将兵が沖縄を含む祖国を守るために戦い、命を落とした。辺野古の米軍基地も、日本を守る抑止力として機能する。だが「守る」という視点からの記述はほとんどなかった。実際の授業では適切に指導すべきだ。

学習指導要領では生徒が学んだ知識をもとに自ら考える狙いで「探究」科目が設けられている。公正さを欠く記述は、偏った見方を導きかねない。

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