light
The Works "ロマンスのカケラもない" includes tags such as "槍弓", "現パロ" and more.
ロマンスのカケラもない/Novel by gyoree

ロマンスのカケラもない

14,733 character(s)29 mins

事実婚している槍弓のなんてことない日常シリーズ。現パロです。ツイッターで時々呟いているもののまとめ。増えたら随時追加します。

ロマンチックな恋よりも
ただくだらないことで笑えればいい。

私とキミとの暮らしには
そんなものはなくたっていいんだ。

1
white
horizontal

しじみの味噌汁


二日酔いの朝にはしじみの味噌汁が良いらしい。
しじみの中に含まれる成分が血中のアルコールを分解する助けになるのだとか。
「う〜〜ん」
居間に転がる布団の塊から呻き声が聞こえた。
朝、目が覚めた時。
空っぽの右隣を見て同居人は朝帰りかと肩を竦めたのだったが、どうやら己の身体から漂うアルコール臭にこちらを気遣い客用の布団を引っ張り出してきたようだ。
ザルかウワバミかと水のように酒を飲む男がこれとは、いったいどれだけの量を飲んだのやら。営業マンとして都合があるのは分かるが、いい加減、節度というものを覚えるべきだ。
「ランサー起きろ、朝食だ。休日の午前中を二日酔いで潰して後悔するのはキミだぞ」
ぐるりと巻きついた布団のヘリをひっ掴み強引に引き剥がすと、藍色の糸が布団の上でぐちゃぐちゃに絡まり合っている。
出会った頃は、なんて美しく非の打ち所がない男だろうと思っていたが、もうすっかり、こんな姿も見慣れてしまった。
「ほら、はやく顔を洗ってくるんだ」
ボサボサの頭を手で梳いてやると、同居人は呻きながらもどうにか顔を上げる。
「……おはようのキスは?」
「酒臭いのは嫌だ」
ちぇっ、とむくれた顔をさせウンウン唸り起き上がった彼は、どうにか立ち上がると壁にぶつかりながらふらふらと洗面所へ消えていく。
水の流れる音。うがいの音。
相手の発する音を聞き流し、味噌汁を碗に注ぎ、胃の負担にならぬよう柔らかく炊いた米とおかずがわりの浅漬けをテーブルに並べる。
解いていた髪を一括りにまとめて戻ってきた彼は、くあ、と大きな欠伸をこぼし、ボリボリと腹を掻いて配膳された席に座った。
「昨日は何時に帰ってきたんだ」
「分かんねえ、終電なくてタクシーだったから……多分2時ぐらいか?」
ダイニングの時計を見る。9時。7時間も寝ればまあ十分だろう。
「学生では無いのだから、きちんと自分の限界を把握したまえ、酔って醜態を晒すなど……」
「へいへい、悪かったよ」
以ての外だと言いかけた私の小言を遮るように、ずずず、と味噌汁を啜る音が響く。
「あ゛ー、沁みるわあ」
「……それはよかった」
大学で出逢って丁度10年。同棲を始めて6年経つが、美しい彫刻の中身が只のおっさんだと気がついたのは何年目の頃だろう。
私は急須から二つ並べた湯飲みに番茶を注ぐと、少し遅めの朝食に手を付ける。
「なあ、毎朝オレに味噌汁作ってくれよ」
ポツリとこぼされた言葉に彼の顔を見る。ずずず、としじみの味噌汁を啜っていた。
「今飲んでるじゃないか」
それとも、そのセリフはお決まりのアレか?
「プロポーズの意味で言ってるなら、せめて指輪くらい用意したらどうかね?」
「用意したら受けてくれんのか?」
「そうだな」
まあ、付き合いも長いしな。別に断る理由も思いつかない。
私はもうすっかり彼が目の前にいる事に慣れてしまっていて、だからきっと、一人で飲む味噌汁の味など思い出すことは出来ないだろう。
じゃり、と目の前で音がする。
「砂入ってた」
「砂抜きはしたのだがね」
たまに君のようにしぶとい奴が紛れているのだ。私の料理だって、いつも完璧というわけではない。
「なあ、午後から買い物行こうぜ」
「いいだろう」
「あと、レストランも予約するか」
「今から予約できる良い店があるのならな」
ずずず、としじみの味噌汁を啜る。
砂抜きは失敗したようだが、なかなかいい味にできているじゃないか。
今日も明日も、明後日も。
これから先ずっと。
私は彼のために味噌汁を作る。



爪切り



「痛っ……!」
土曜日の朝。洗濯物を干そうと居間を横切って、硬くて尖ったモノを踏んだ。
何かと思って足の裏に食い込んだそれを指先で摘む。
次いで、先程から鼻歌交じりにパチリ、パチリと単調な音を響かせている同居人に目をやった。
同居人は長い足を折り曲げて熱心に足の爪を切っていた。
パチリ、パチンッ。
爪切りに弾かれた彼の親指の爪が、足の下に設けられたティッシュペーパーを飛び越えて畳の上に転がる。
「ランサー、飛んでいった爪はちゃんと回収しろ」
「おう」
私の言葉に生返事を返して、パチリ、パチリと作業に没頭している。
全く、一つのことをすると直ぐ周りが見えなくなるのだ。
私は摘んだままでいた彼の老廃物をゴミ箱に投げ入れた。
「よし」
何かを納得したような声に顔を上げる。
足の爪切りを終えた彼が、今度は手の爪に取り掛かっているところだった。
小指から順番にパチリ、パチリと切っていく。
昔から手の爪を切る時は小指からだったなと、ふと、彼が大学の講義室で爪を切っていた時のことを思い出した。

『爪なんて家で切ってくるものだぞ』
『いや、なんか急に気になっちまってさ』
『その爪切りはどうしたんだ』
『百均で買った』

切れ味の悪い爪切りで切るものだから、切った爪があちこちに飛んでいて、切り口も毛羽立っていた。
そうだ、その講義を終えた後、少し驚いたことがあったのだ。
「昔、君が大学の講義室で爪を切ってた時……」
「ん? なんだ急に」
「いや、思い出したんだがな。ゆかに飛んでった爪を君は回収せずにそのまま放置して帰っただろう?」
「あー、うん?そうだっけ?」
「そうだったんだ」
私の話を聞きながらも、彼は爪を切る手を止めはしない。
「君の後ろの席に座っていた女子が、君が教室を出た後、爪を拾って財布に入れていたのを見た」
パチン。
軽快なリズムがそこで止まった。
「え、すげえ怖えんだけど」
「私もびっくりしてな、怖くてとても君に言えなかったよ」
「できれば一生黙っててほしかったわ」
残念だが言ってしまった。
少し青ざめた顔になった彼は私の言いつけを聞く気になったのか、飛び散った爪を摘んで回収し、ティッシュペーパーの上に落とした。
まあ、私には彼の老廃物を保管して眺める趣味など無いのでその態度もどうかとは思うのだが。
そういえば、私の爪も最近伸びてきただろうか。気になって確認する。
長いというほどでは無いがほんの少しだけ指先から爪が飛び出している。
「お前はまだ切らなくていいんだよ」
「何故キミが私の爪の長さを決めるんだ」
彼の謎の指示に首を傾げる。
「引っ掻かれた方が興奮するから」
その一言で納得する。
ああ、だから爪を切っていたわけか。
そういえば、大学の時のあの後も……
思い出しかけて首を振る。
こんなことをしている場合では無い。早く洗濯物を干さなければ。
ベランダのガラス戸を開けると太陽が眩しい。
今日は夕飯は少し早めに準備しようか。


いつもと同じ



いつもと変わらない朝。
白米、アジの開き、だし巻き卵と昨晩残った茄子の味噌汁。
「今晩食べたいものはあるか」
突然の私の質問に、同居人は味噌汁の椀に口付けたまま、目線だけで首を傾げた。
「今日はキミの誕生日だ」
「ああ」
そうか。と納得した彼は暫く考え、「肉」と簡潔に要望を告げた。
「分かった。少し奮発して良い肉を買ってこよう」
「おう」
彼は子供のようにニカっと笑って、だし巻き卵を頬張った。
付き合ってもう十年以上経つ。同居を始めて七年だ。
付き合いたての頃はお互いの記念日だなんだと盛大に祝っていたが、最近は慎ましやかに過ごす方が良いのだと気が付いた。
誕生日は記念日だが、祝日ではない。
祭りの如くはしゃいで翌朝に響けば仕事に差し支えるし、何より身体に負担がくる。
「よし、じゃあ行ってくるわ」
食事を終え顔を洗った彼が、食器を洗う私の腰に手を回した。
ちゅ、と頬に触れる薄い唇。
何年経とうとも、出掛けのこの行為だけは欠かさない。
マメな男だと思う。少し照れくさいし未だ慣れない行為だが、私も悪い気はしない。
朝の儀式を終えて離れていこうとする彼の腕を濡れた手で引き止めて、夏物のスーツを着た肩に腕を回した。
驚く目を覗き込むように顔を寄せて、先程私の頬に触れた唇に噛み付く。
夜の寝室でするような深いキス。
腰に回された彼の手が私のエプロンの紐を解いた。
キスを終え、追いすがってきた唇を指で差し止める。
「ランサー、愛してる」
「アーチャー……」
「肉を焼いて待っているから、早く帰ってきてくれ」
「誕生日じゃなくても、普段から言ってくれよそれ」
「馬鹿を言え、私のプレゼント代節約術だぞ」
たまに言うから価値があるのだ。
そう答えた私に彼は不満気だが、考えを変えるつもりはない。
出会ってから十年以上経つが、彼を愛さなかった日は1日だってない。
毎日毎日、彼が生まれてきてくれたことに感謝している。
常に心にあるそれを口に出して形にするだけ。
誕生日とはただそれだけの日だ。
私はそう思っている。
「くそ、今夜は覚悟しとけよ」
「いいからさっさと行きたまえ」
玄関で管を巻く男を蹴り出した。
会社に遅刻するだろう。
「ああそうだ、ランサー」
振り返った彼の眼前に、アジの残骸が入ったゴミ袋をぶら下げる。
「愛してるから、コレ、途中で捨ててきてくれ」

夜の決まりごと


「皿は俺が洗うから、先に風呂入ってこいよ」
 夕飯を終え、流し台の前に立った私に同居人はおもむろにそう言った。
 とりあえず、手にしていた二人分の食器をシンクに置く。彼は「早くいけって」と急かすように、私の腰に腕を回して引っ張った。
 これはいわゆる、二人の間で決まった合図だ。ゆっくり風呂で準備をしろと、遠回しに誘っている。
 夕飯を食べていた時はそんな素振りは見せていなかったように思うが、どのタイミングでその気になったのか。
「なあ」
 短い言葉と首筋に埋まる鼻先。息が当たってくすぐったい。すっかりやる気の同居人だが、私は首を横に振った。
「今日はダメだ」
 明日はいつもより1時間早く出社するのだと言っていただろう。そう指摘すれば、でも、だってと、あからさまに不満を訴えてきた。なんと言おうとダメなものはダメだ。
 私の強固な意志に、諦めた彼は肩を落として浴室へ向かった。

「なあ、やっぱだめか?」
 それから数時間後の寝室。共同のベッドで強引に腰を引き寄せられた。
 ぴったりと背中に感じる体温は、尻に当たる部分だけがやたらと硬くて熱く感じる。なんだキミ、すっかり臨戦態勢か。こうなってしまっては治らないのが男というものだ。気持ちは分かる。だがここで流されてしまっては、明日の朝、確実に後悔する羽目になる。
「わかった、口でするから」
 準備だってしていないし、それが最大の譲歩だった。けれど彼は納得しない。
「何が不満だ」
「いや、なんつーか、違うんだよ、そういうんじゃなくてよ」
 お前にさわりてえ。
 吹き込まれた口説き文句に、カッと頬が熱くなった。
「俺の手でお前のこと気持ちよくしてやりてえの。あんあん言ってるとこ見てえわけよ」
「なっ、馬鹿かね、キミはっ!」
 改めてそんなことを言われると、生娘でもあるまいに、無性に恥ずかしくなってくる。
 彼の手はパジャマ越しに私の腹や太腿を撫でさすり、尻の谷間に硬いものを擦り付ける。首筋に乳飲み子のように吸い付いて、ちゅうちゅうと態とらしく音を立てた。
「な、あーちゃー」
 甘えた声で強請る男は私のツボを心得ている。伊達に長年連れ添っているわけではないということか。
「らんさ……」
 私は今にも陥落しそうな理性を必死でかき集めて、なんとか言葉を絞り出した。
「やめないなら、私は居間で寝る」
 不埒な手がピタリと止まった。
 ぐるぐると、悔しそうな獣の唸り声が耳のすぐそばで聞こえるが、私の考えは変わらない。ここで流されてしてしまえば必ず後悔することになるのだ。何故なら、同じような失敗を私たちはもう三度、いや四度は経験しているのだ。いい加減学習すべきだろう。
 直ぐ後ろで、ぴすぴすと悲しげな鳴き声が聞こえる。くんくん言ってもダメなものはダメだ。知らぬふりを決め込んだ私に、とうとう諦めてくれたらし。彼は私を抱きしめたまま、大人しく眠りについた。
 かに思えた。
「なあ、アーチャー」
 ごそごそと、背後で何やら身動ぐ気配。遠慮がちに小さな声で囁かれる。

「やっぱり、口でしてくれね?」
 本当に馬鹿だな、キミは。


牛乳2パック


『酒買いにスーパー来てんだけど、なんか欲しいもんあるか?』
『そうか、ではついでに、牛乳と卵を2パック買ってきてくれ』
 そんな会話をしたのが、一時間ほど前。

 テーブルの上を見る。卵が2パックと、牛乳が2パック。
「キミは、買い物もロクに出来ないのか?」
「悪かったって」
 腕組みをする私に返ってきたのは、同居人のむくれた顔と言葉だけの謝罪。
 たしかに、私の伝え方も紛らわしかったかも知れない。牛乳の数をきっちりと指定しなかったのは私のミスだ。しかし。
「牛乳が2パックあることに対しては不問だが、この日付だ。ランサー、今日は何日だ」
「十月五日……」
 そう、その通りだ。そして、この牛乳のパックに表示された賞味期限は二つ揃って十月七日。
「君は二日で牛乳を2リットルも飲めるのか」
 成長期の男子中学生でもあるまいに。
 私の言葉に彼はむくれた顔をしたものの、何も言い返してこなかった。
 おや、と思う。いつもなら耳を塞いで、うるせえだのなんだの人を小姑みたいに扱う癖に。なんだか少し調子が狂う。
「仕方ない、夕飯の献立は変更だ。鮭のホイル焼きはやめてクリームシチューにするぞ」
 幸い、材料に大した違いはない。冷蔵庫にあるキノコはマッシュルームではなく椎茸だが。
「おう」
 私の提案に彼は素直に頷いた。やはりおかしい。
 なぜなら、彼は今夜の献立を聞いてスーパーに酒を買いに行ったのだ。冷蔵庫でビールが冷えている。クリームシチューにビールは合わないだろう。
 不満の一つでも言うかと思ったのに、やっぱりなんだか様子がおかしい。
「いいのか? クリームシチューで」
「お前のクリームシチューは絶品だからな」
 違和感は感じるが、そう言われて悪い気はしない。細かいことを気にし過ぎるのは私の悪い癖だ。それ以上の詮索をやめて、私は夕飯の支度に取り掛かった。

 彼は出来上がった料理を買い物の失敗など無かったかのように上機嫌で食べ、私の料理を普段以上に褒めちぎり、おかわりもした。
 やっぱり今日の彼は何かおかしい。隠しごとでもしているのだろうか。
 疑問を抱きながら、食べ終えた食器を片付けるためにシンクに置く。
「なあ」
 背後から伸びた手が、私からスポンジを奪い取る。
「皿は俺が洗うから……」
 風呂入ってこいよ。
 耳元の囁きに、ああなるほどと合点がいった。
 つまり、キミは私のご機嫌をとっていたわけか。
 ほんとうに。君のそういうバカで単純で分かりやすいところが、なんというか、可愛らしいな。
 私は呆れて笑いをこぼす。
 振り向いて彼の両頬を片手で挟み、押し潰す。ひょっとこのように唇を突き出した顔ですら端正で美しいとは。
 私は了承の意味を込めて、突き出された彼の唇にキスをした。

 仕方がない。今日のキミの頑張りを讃えて、今夜は特別にサービスしてやろう。
 もし明日の朝、私がベッドから起き上がれなくなっても、シチューの残りを温めるくらいキミにだってできるだろうから。

シメの肉まん


 ふらふらとした足取りで、夜の商店街を歩く。
「美味い店だったな」
「ああ、機会があればまた行こう」
 人のまばらな夜道は男二人が少々広がって歩いたところで邪魔にはなるまい。
 金曜の夜。たまには外食でも、と言い出したのは彼の方だ。
 商店街を抜けた先にある小さな店は、年嵩の店主が一人で切り盛りしていた。どこの店でも見かけるラベルの焼酎と定番のつまみ。
 ありきたりなメニューだったが、だし巻き卵も唐揚げも、どれも丁寧に作られていて、二人でゆっくり語り合えるいい店だった。
 私より数歩前を歩く彼は、人気がないのをいいことに機嫌よく鼻歌を歌っている。
 あまりにも店の居心地がよくて二人とも少し飲み過ぎたのだ。
「アーチャー」
 不意に、彼が足を止めてこちらを振り向く。どうしたのかと首を傾げた私に、「ん」と差し出された左手。
 秋の夜は昼との気温差が大きくて、背中に受ける風は少し冷たい。
「まったく、酔っ払いめ」
 自分のことを棚に上げて、私は右手で差し出された彼の手を握った。
 手を繋いで並んで歩く。風除けができたから右半身が暖かい。
 人気は少ないが、まったく人がいないわけではない。四、五年前の私なら向けられる奇異の目に怯えて、こんな事は出来なかった。今はあまり気にならない。酔っているからかも知れないし、神経が図太くなったからかも知れない。
 彼の手は暖かいから、だからそれで構わないのだ。
 彫刻みたいな見た目のくせに私よりも体温が高い。そういえば、犬は人よりも体温が高いのだったか。
「何笑ってんだよ」
「さてな」
 私の顔をのぞいて、彼は繋いだ手をぶんぶんと振り回した。
「コンビニ寄ろうぜ。肉まん食いてえ。あと、鍋焼きうどんと、アイスと……」
「飲むと気が大きくなるのは、君の悪いところだぞ、ランサー」
 買うだけ買って食べずに寝るのはいつもの事だ。正しく無駄遣いというやつだ。
「じゃあピザまんだけ」
「肉まんじゃなかったのかね」
 酔っ払いめ。
 繋いだ手の甲に爪を立ててやった。
 彼は、いてえ、いてえと、ケラケラ笑った。


 結局、コンビニに寄った私たちは、肉まんとピザまんを半分ずつにして食べ、うどんとアイスも二つずつ買ってしまった。
 飲むと気が大きくなるのは、どうやら彼だけではなかったようだ。

くだらない喧嘩


 同居人と喧嘩をした。
 喧嘩の原因は、そもそも彼が脱いだ靴下を裏返しのまま洗濯機に入れていたことだ。それを注意すると、口うるさいだのと文句を言われ、口うるさいのは誰のせいだと私が言い返した。そこからどんどん口論がエスカレートして、夕飯を終えてベッドに入るまで一言も口をきかなかったのだ。
 本当に腹が立った。昨夜は居間で寝てやろうかと思ったくらいだ。けれど、悪いのは彼の方なのに何故私が居間で寝なければいけないのかと、そう考えると更に腹が立って、意地になって寝室で寝た。
 隣を見る。私に背を向けたまま、ぐーすかヨダレを垂らして寝ている間抜けな姿が目に入った。相変わらず朝が弱い。
 寝汚い姿にまた腹が立ったので、頭に枕を投げつけてやった。そんな事をされても目が覚めないとは心底呆れる。

 ベッドから降りて洗面所で顔を洗い、服を着替え、エプロンを身につける。
 冷蔵庫の中を見た。夕飯の残りの南瓜の煮付け。下ごしらえをした揚げる手前のエビフライ。カットしておいたキャベツと豚肉。卵を三つ。それらを取り出して机の上に並べた。
 予約しておいた炊飯器は先ほど炊き上がったばかりのようだ。食器乾燥機から取り出した弁当箱に、炊きたての米をよそった。湯気を立てた米を冷ます間に詰めるおかずを作らなければ。
 エビフライを揚げ、キャベツと豚肉は回鍋肉に。どちらも適度に冷ましてから、南瓜の煮付けと合わせて弁当箱に詰めていく。
 カベの時計を見る。そろそろ彼が起きだす頃だ。昨夜残った豚汁の鍋に火を入れた。
 卵三つは卵焼き。焦げ目がつかないよう丁寧に巻き、分厚い大きな卵焼きに。六当分にして二切れずつ皿に盛り付け、最後のふた切れは弁当箱に詰めた。
「ふぁ〜、ねみぃー」
 大きな欠伸をした彼がボサボサの頭でやってきた。まったくもってだらしがない。
「…………はよ」
「おはよう」
 口を聞くつもりはなかったが挨拶くらいは返してやろう。最低限の礼儀だ。なのに彼は何が気にくわないのか、ムッと口をへの字に曲げて、「顔洗ってくる」と宣言をして洗面所に消えた。勝手にするがいい。
 適度に中の冷めた弁当箱に蓋をして、大きめのハンカチで包む。温めた豚汁を椀によそい、炊きたての白米を茶碗に盛った。冷蔵庫の浅漬けは小皿に盛ってテーブルへ。そうこうしているうちに身支度を整えた彼が戻ってきた。
 彼を無視して席に着く。彼も黙って席に着いた。
「いただきます」
 手を合わせて、もそもそと朝食を口にする。会話はない。耳に届くのは二人分の咀嚼音と、隣接する居間のテレビから聞こえるニュースキャスターの声だけだ。

「ごちそうさま」
 ほぼ同時に食べ終える。私はすぐに立ち上がった。食器を手にすると彼に背を向けて、水栓のレバーを上げる。
 ジャバジャバとうるさい水音。だから今は、何か話しかけられても気がつかないぞ。誰に言うわけでもなく心の中で言い訳をする。
「アーチャー」
 すぐ耳元で名前を呼ばれた。
 振り返るより先に、ちゅ、と頬に触れる感触。
「…………」
「……行ってくる」
 ムッとした顔のまま、それでも日課をかかさないとは、律儀な事だ。
「ああ。気をつけて」
 だから私も仕方なく、彼に対して返事を返した。
「弁当を忘れるなよ」
「おう」
 彼は包みをぶら下げて、鞄を持って出て行った。ああ、まったくもう腹が立つ。朝になっても謝ってこないとは、本当に腹が立つ。
 今日は残業なんてせず、さっさと帰ってきてほしいものだ。
 そして君が私のご機嫌とりに、二人分の大判焼きを買って帰ってくれたなら、まあ、昨日のことくらい、水に流してやってもいい。
 大判焼きの中が粒あんだったらの話だがな。

大人の雪合戦


 近年稀に見る寒波が本土を襲った。そのため、日本海側に面するこの土地は、北からの風も相まって、記録的な豪雪となった。
 ふくらはぎの高さまで積もった雪を見て、同居人は年甲斐もなくはしゃいでいる。電車も動かないし、流通もままならない現状では会社は休み。思いがけない休日と一面に広がる銀景色に、大の男が子供のように声を上げて飛び込む。
「うっわ、冷てえ〜!」
「当たり前だ、たわけ」
 人型に穴の空いた雪。ガバリと這い出した彼は四つん這いのまま、ブルブルとかぶりを振って頭についた雪を払い落とす。
 うむ、完全に犬だ。
「雪の下に尖ったものが落ちていたらどうするつもりだ、ランサー。運が悪ければ怪我では済まないかも知れないんだぞ。まったくキミはいつも考えなしに、ひゃっ!」
 注意を促していた私の顔に、バシャ!っと、硬くて冷たい塊が当たる。
「はは! 可愛い声だなあ、アーチャー」
 一瞬なにが起きたのか分からなかったが、ニヤニヤと笑う相手の様子ですぐに理解した。彼が私に雪玉をぶつけたのだ。
 人が心配をしているというのに、粗相した上、揶揄うとは……いい度胸だ。
 私は足元の雪をすくい上げて固めると、阿保面で笑う彼の顔目掛けて投げつけた。
「わぶっ!! なっ……てめえ、やりやがったな!」
「先に仕掛けたのは貴様だ、馬鹿者!!」
 相手に反撃の機会など与えるものかと、私は立て続けに雪をすくい、未だ雪の中に埋もれたままの彼に向かって投げつける。
「わっ! まて、ちょっとまて、ストップ!」
「ふん、無抵抗の相手でなければ戦えないとは、とんだ腑抜けだな!!」
「んだと! 上等だ、オラっ!!」
「うぐっ」
 低い姿勢のまま、彼は地面の雪を腕で巻き込んで、目くらましのように飛散させた。驚きに目を閉じる。その隙に立ち上がった彼は、ようやく反撃ができると両の手に雪玉を握りしめている。いいだろう、受けて立つ。
 顔の雪を払った私は足元に広がる無限の"武器"を拾い上げて、目の前の"敵"を睨みつけた。


「むり、やべえ、寒い。死ぬ、凍死する」
「ランサー、早くシャワーを……」
 馬鹿だった。
 年甲斐もなくはしゃぎ過ぎた。
 泥沼の如き雪合戦の末、頭からつま先までビショビショになった私たちの身体は芯まで冷え切っていた。大の男が二人で何をやっていたのか。雪玉をぶつけ合って騒ぐ姿を隣近所に見られていたのかと思うと、このまま死んでしまいたい気分だ。
「おまえ先に入れよ」
「いや、キミが先にいけ」
 彼は真っ青な唇をしてガチガチと歯を鳴らしている。このままでは風邪を引いてしまうぞ。いや、私も同じか。
「ラチがあかねえ、一緒に入ろうぜ」
「スケベな事をするつもりじゃないだろうな」
「はあ?」
 彼の意見には賛成だったが、冗談半分で聞いてみたのだ。そんなに驚かなくてもいいだろうに。
「そんなもん、するに決まってるだろ」
「…………」
 そうか、するのか。
 冗談のつもりだったのだがな。
「シャワーだけより、その方が温まるだろ」
「確かに……」
 妙な説得力に負けた私は、彼と二人で熱いシャワーを浴び、まあ、色々とあって身体の芯まで温まった。



ホワイトデーのお返しは


 世間はすっかり行楽シーズンだ。花見に賑わう昨今、持ち寄りの弁当などで食事をすることも多いだろう。世の奥方は料理を振る舞う機会も増える。
 私は週に三日ほど料理教室で講師をしている。今の時期は見学に来る生徒が増えるので教室も賑わいを見せている。ここ最近では、幕内弁当に使えそうな煮付けやお浸しといった一品物を指導している。
「そういえば先生、先月教えていただいたお菓子、旦那様にもとても好評でした」
 そう言ってたおやかに笑うのはこの教室に通う生徒の一人、メディア女史だ。彼女は、いつまでも新婚のように夫を慕う良き妻である。愛する夫に少しでも美味しい料理をという理由で長年この教室に通ってくれている。
「それは良かった」
 私も彼女に笑みを返す。
 先月教えたお菓子というのは、ホワイトチョコのガトーショコラの事だ。ホワイトデーの時期だったので、お返しになるものをと望まれてのレッスンだった。
「先生も、お相手の方に作って差し上げたのかしら」
「いや、私のパートナーは甘いものが得意ではないのでね」
 毎年この時期は、同居人と少し特別な外食をしてそれで済ますのが通例だった。
「その代わりというか、彼はかなりモテるようで、毎年バレンタインにはかなりの量のチョコレートを持って帰るから……」
 言葉を区切り、その時のことを思い出す。
 営業職の同居人は、毎年抱えきれないほどのチョコをデパートの袋に詰めて帰ってくる。義理チョコもあれば、本命ではないのか?と思うような高価なものまで様々に。本人は断りたいと思っているらしいが、営業の一環と思うと中々できずにいるらしい。仕事なのだからと諦めるしかあるまい。運ばれてくるチョコは、彼が甘いものが苦手故に私がありがたく頂戴しているので、彼の口に入ることは殆どないのだが。まあ、それはいいとして、とにかくそんな量のチョコレートに市販のお返しなど買っていては金がいくらあっても足りないのだ。しかし営業の一環として受け取ったものにお返しをしないなど言語道断。というわけで、特に懇意な顧客は相応のお返しを買うとして…
「毎年ホワイトデーには、私の作った菓子を持って行って貰うようにしている」
 同居人も無駄な出費がないと上機嫌だし、一応はプロとして料理をしている私の菓子は、そこそこに好評らしい。
「ホワイトデーのお返しに、先生の手作りを?」
 メディアが訝しげな視線を向けてくる。何か変なことを言っただろうか。
「ああ、これも毎年の事だ」
「そう、それは、また、なんというか」
 そう言って彼女は肩を竦めた。
 よくは分からないがそれ以上は聞けそうにないので、私は次の授業の準備に取り掛かることにした。

 そういえば同居したての頃は、バレインタインデーの日、チョコレートを抱えきれないあまり同居人はタクシーで帰ってきていたのを思い出す。その頃に比べると、今は袋も二つほどに収まっている。
 やはり男女問わず、ちやほやされるのは若いうちだけという事だろう。
 私は少し張りのなくなった手の甲を見つめて、なんとなく、切ない気持ちになったのだった。



ヒゲ剃り


「い……ってえ!!」
金曜の朝。洗面所から同居人の悲鳴が聞こえた。何事かと配膳の手を止めて、洗面所へ意識を向ける。ガタガタとした物音と、水の音。
「アーチャー、絆創膏くれ」
ドタドタと廊下を踏み鳴らす同居人は、渋い顔で頬を抑えている。
「カミソリで切ったのか」
「すっげえ痛え。絆創膏どこだ?」
大方、切れ味の悪くなった刃をそのまま使ったのだろう。こまめに新しいものへ変えろと言っているのに、まったく。私は、居間の押入れから救急箱を取り出すと、消毒液とガーゼ、絆創膏の箱を持ってキッチンへ戻った。同居人は落ち込んだ様子で、頬を抑えたままダイニングの椅子に座っている。
「ほら、見せてみろ」
傷口から手を退けさせる。1センチほどの掻き傷から、じくじくと血が滲んでいた。確かに痛そうだ。消毒液をガーゼに染み込ませ、傷口にあてる。
「泌みるか?」
返事はなかったが、眉間のシワが物語っていた。
「お前が舐めてくれたら治るかも」
「消毒液くさいのは嫌だ」
冗談を言える元気があるなら大丈夫だろう。傷口に中サイズの絆創膏を貼って処置は終わりだ。
「カッコわりぃ」
「これに懲りたらカミソリの刃をマメに変える事だ。ほら遅刻するぞ、早く食べろ」
中途半端になっていた配膳を再開し、朝食の準備を終える。おから、味噌汁、煮魚とご飯。全部昨日の残り物だ。いただきますと手を合わせる。
食事中、咀嚼が顎の傷に触るのだろう、同居人はしきりに絆創膏を気にしていた。確かに、目立つことこの上ない。漫画の中のガキ大将のようだ。せっかくの美形が台無しだなと、様子のおかしさにクスリと笑った。
「笑うなよ」
「今日一日その顔で得意先を回るのだろう。今のうちに慣れておけ」
「いいよな、お前は体毛薄くて」
確かに、私はヒゲがあまり伸びない体質だ。しかし、だからといって、剃らなくていいわけではないので大差ないと思うのだが。
「剃るの面倒だし、脱毛でもするか」
「それは駄目だ」
同居人の思い切った発言を私は即座に否定した。
「たまにはヒゲ面の君も見たい」
連休中にだけ見れるヒゲ剃りをサボった顔。見た目だけなら線の細い男が、心身共にワイルドになるのも悪くはない。味噌汁を飲む私の顔を凝視する同居人。
「なに、お前ヒゲ好きなの?」
「嫌いじゃない」
無精髭、カッコいいじゃないか。
「ふぅん?」
同居人は不思議そうに頷いて、しばらく黙って食事をした。
「お前ってさ、ファザコンだよなぁ」
「殴るぞ」
突然の豪速球に、おからを喉に詰まらせそうになった。思わず手が出そうになったのをなんとか堪えたのは褒めてもらいたい。別に、父親が無精髭だからとかそういうのは関係ないだろう。確かに憧れとかそういうのはあるかも知れないがそれとこれとは話がちがう。
「わっ、私は君の話をしてるのであって、ち、違う、断じて違う。キスした時にちょっとチクっとするのとか、特別感があるとかそういう事を言いたかっただけで切嗣の事は関係な」
「はいはい、分かった分かった」
ぜーぜー肩で息をする私の手に、同居人はお茶のコップを握らせた。くそ、話はちゃんと最後まで聞け。
「特別感ねえ」
ニヤニヤとにやける顔が腹立たしい。慌てるあまり言わなくていい事まで口走ってしまった。
「今日、帰りに薬局寄って帰るわ」
にやけた顔のまま告げる男に、必要なものはないと首を振る。
必要はないから、カミソリの替刃以外、くれぐれも余計なものは買ってくるんじゃないぞ。



扇風機と保冷剤


「あ~~~~~~~~」
 同居人が扇風機に向かって叫んでいる。その後ろ姿はとても成人男性のものとは思えない。小学生だ。あそこにいるのは小学生男子だ。
「あっちぃ……」
「仕方ないだろう。我慢しろ」
 真夏の深夜十時半。さて寝るかというタイミングになって、唐突にエアコンが壊れた。こんな時間からでは修理も呼べないし、新しいエアコンを買うこともできない。押入れから慌てて引っ張り出した扇風機の風は少し生ぬるい。
「いい加減、寝室にもエアコン付けさせてくれって大家に言おうぜ」
「そうだな。明日聞いてみる」
 今住んでいるのは2DKの借家だが、居間とダイニングキッチンとで併用されているスペースにしかエアコンがついていない。寝室に利用している部屋には空調がないので、夏になると私たちは居間に客用布団を敷いて寝ていた。エアコンをもう一台となると費用が嵩むし、今迄特に不自由を感じずにやっていたのでそのままにしていたが、こういう事態を考えると、やはり二台あった方が良いのかもしれない。
「とにかく今夜はこれで我慢するしかない、おい、扇風機を占領するな」
 私は扇風機に張り付いて動かない同居人を押しのけて、首振りのスイッチを押した。部屋の空気が動いて、蒸すような暑さも少しはマシに感じる。
 こういう時はさっさと寝てしまうに限るのだ。私はタオルケットを腹にだけ掛けて布団に横たわる。朝になったら大家に連絡して、エアコンを取り替えてもらって……思考を巡らす私の背に、ぴったりと人肌が寄り添った。体温の高い男の腕が腰に回される。
「……あつい、ひっつくな」
「なんでだよ、いつもやってることだろ」
 正気か貴様は、エアコンが壊れているんだぞ。いつもやってるからとかそういう問題じゃないだろう。
「ランサー、キミ、肉体だけは欧米人なんだぞ。自分の体温の高さを自覚してくれ」
「おまえちょっと、アレだ。オレへの愛情が足りないんじゃね?」
「愛でどうこうなる問題じゃない」
 熱中症で殺す気か、寝苦しいことこの上ない。
 とにかく離れろと抵抗する私に、同居人はようやく諦めたのか身を解放してくれた。やれやれ、これで落ち着いて寝られるな。目を閉じて眠ることに意識を集中する。
 しばらくすると頭上でなにやらごそごそと音がした。足音だ。キッチンに向かっている。同居人がなにかやっているらしいが、扉の音は冷蔵庫か? いったい何をやっているのか。足音はあっちへ行ったり、こっちへ来たり。扇風機は変わらずヴーンと音を立てて首を振る。
 ぎしり、と畳を踏みしめる音がした。腹に掛けていたタオルケットが引っ張られ、背中に人肌が戻ってくる。当然のように肩に鼻先が埋まり、腰に手が回される。だから暑いと言っているだろう。そう口を開きかけた私の背中に、ひんやりとした硬いものが当てられた。
「――!」
 ひっ、と冷たさに悲鳴が上がりかけた。一体何かと思って背中に意識を向ける。四角くて硬くて冷たい大きな塊。うん、これはアレだな。レジャー用の保冷剤だな。今週末にバーベキューへ行くからと、冷凍庫に入れていた大きめのやつだ。ご丁寧に湿らせたタオルで巻かれているそれは、私の背中から熱を奪っていく。
「これなら良いだろ」
 ボソッと耳元で囁かれた不満げな声。
 まあ、これなら確かに暑さは軽減されたけどな、君はこれで良いのか。確かにくっ付いて寝てはいるが、こんなに馬鹿でかい保冷剤が間に挟まっているのに、くっ付いている事になるのかどうなのか。そうまでして普段通りの体勢で寝たいのか。同居人の拘りは私にはよく分からない。
 背中はひんやりしているのに、腰や肩が暑いし、驚く速さで寝てしまった同居人の寝息が耳元で煩い。
 全く、寝苦しいったらない。
 けれど、そんな寝息につられたのか、目を閉じれば身体が重くなり、保冷剤のひんやりした感触が心地よく感じられて、私は同居人と保冷剤と仲良く引っ付いたまま、ぐっすりと眠ったのだった。
 


Comments

  • しいたけ

    延々と読みたいぐらい好きです!

    May 20, 2022
  • nunu
    April 27, 2021
  • April 27, 2020
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
© pixiv
Popular illust tags
Popular novel tags