性被害者である私が、大内彩加さんと谷賢一さん裁判を傍聴して

2024年10月28日に、原告・大内彩加さん、被告・谷賢一さんの裁判傍聴に行きました。
すでにお二人は和解(裁定和解)をしていますが、あの日の裁判に立ち会った者として、インターネットに残しておきたいと思い、書いていきます。

※私は芸能業界のハラスメント被害者です。そのため、大内さん寄りな意見になってしまうとは思いますが、あらかじめご了承ください。

この件を詳しくない方のためにまとめると、2022年12月に女優の大内さんが、所属していた劇団DULL-COLORED POPの主宰である谷さんを告発し、その後裁判へと進展した事件です。
告発の第一報は8000RTがついているなど、主に演劇業界を中心として話題になりました。

私が裁判傍聴に行こうと思った経緯は、「あれ、あの件ってどうなっているんだろう?」と気になっていたタイミングで、たまたま大内さんの発信で公開裁判が行われることを知ったからです。
裁判の前に投稿されたこのnoteでは、意見陳述に対しての意気込みや、法廷の日時場所が書かれていました。

同時に、谷さんもブログを更新。

そこには強気な反論の数々がありました。

(一部抜粋)

「原告は劇団入団当時から「性は世界共通の笑い」「おっぱいどうぞ」「当ててんのよ」など性的な接触を含む言動を稽古場で繰り返しており、これには複数の目撃証言が提出されている」

「当時の私は精神科・心療内科に通院しており、性機能不全(勃起できない)の副作用のある向精神薬を常用していました。身体的にも性交は不可能です」
※これは後で出てくるので覚えておいてください

「これは、本当は自分から身体接触をともなう交流を繰り返していた女性が、自身の問題行動が原因でキャスティングを外されたことを根に持って訴えを起こし、絶対不可能なレイプ被害を訴えている裁判です」

「SNSを利用して公演を潰して話題にし、注目を集めるキャンセルカルチャーの手法に、大きな恐怖と怒りを感じています」

当時の私は、この記述からとても自信がある姿を感じ、何か大きな証拠があるのかと思いました。
一方で、大内さんも嘘を言っているように見えない。どんな裁判になるかと少し怖い気持ちもしていました。

○裁判の当日

法廷は満席で、外に5〜10人くらい並んでいました。
客層は老若男女いましたが、劇団員なのかなと思う方がちらほらいたのが印象深かったです。

詳しいことを書くと名誉毀損になるらしい(※)ので、他の方の感想を引用しつつ書いていきます。

※裁判が裁定和解として終結したのは2024年11月27日ですが、谷さんは2024年12月18日に一方的に大内さん側の意見を取り上げたとしてたかまつななさん、政経東北に名誉毀損訴訟を開始しました

①谷さんの弁護士から大内さんへの尋問

いくつかの感想ツイートと同意見で、谷さんの代理人弁護士から大内さんへの質問は本当に酷いものだと感じました。

例えば、代理人弁護士が大内さんに対して「この地図にあなたが当日XXした場所とXXした場所を書きこみなさい」と言った場面。
3Dのものを2Dに落とし込むのは難しく、大内さんは「車の進行方向ってこっちでしたっけ?進行方向のこっち側がこうだから、道のこっち側は、、」と悩んでいる様子でした。
その「悩んでいる」ということだけを切り取って、代理人弁護士はそれみたことかと「なんでわからないんですか?」と責め込んでいて、見ていて気分が悪かったです。

②セカンドレイプについて

他にも、許せなかったことがあります。

大内さんが「彼女のプライバシーを守りたい」と言って「B子さん」と仮称で呼んでいた友人の本名を数回出しました。
「なんであなたは田中さん(仮名)……あB子さんですが」「それでもあなたは田中さ……B子さん」とわざとらしく、それを言われるたびに友人の匿名性を守りたかったであろう大内さんは傷ついたように俯き奥歯を噛み締めていたように見えました。
あまりに連呼するので、傍聴席にいた女性が「あの弁護士、頭おかしいんじゃないの?」とボソッと呟いた声が聞こえました。

③「やったやらない」ではなく、大内さん本人の人格否定に

議題はXデー(劇団の飲み会帰りに谷さんが大内さんの家に行き、ベッドの上でトラブルがあった日)から少し離れ、大内さんの私生活や人格に移っていきます。

谷さんと大内さん以外の人間関係を引き合いに出しました。もしかすると、谷さん側の弁護士はこのように言いたかったのかな……と思いました。→
『大内さんがどうしようもなく私生活がだらしない人間だったから、劇団主宰者に対してもおっぱいを自ら押し当て、自ら喜んで体を差し出していた』

「この世にそんな卑猥な女性がいるのか……?!いたらすごいなあ?!A Vの世界なのか?!」という人物像の設定だと思って少し笑いそうにもなりました。
しかし、そんな品のないやり口で、自身の名誉毀損を直接言われている大内さんのことを思うと、腹が立ちました。

この方のブログにもこのように書かれています。

"大内さんのパーソナリティに問題があるから男性と揉めるんじゃないか、女性に相談しなかったのは出し抜いたような気持ちがあったからじゃないか"、

こんな的外れなことを本当に法廷で威圧的に言ってくるんですよ???

④谷さんの意見陳述での持論

その後、谷さんの意見陳述のターンに移ります。

谷さんはかなり話し過ぎていると印象を受けました。
本人が雇っているはずの、味方であるはずの弁護士からも「一言でいいんですよ」と嗜められていました。

例えば「告発から現在まで2年間何をしていたか」という質問に対して、マラソンや四国巡礼など自分がやってきたことを事細かに語り始めました。
和解後、谷さんはこれと同じ内容のブログを連投しています。

⑤反対尋問は喋りすぎてボロが出るタイプ

谷さんに対しての反対尋問は、私が今まで見た中で一番「逆転裁判っぽいな」と思いました。神聖な法廷という場を陳腐な表現をしてしまい恐縮ですが、いの一番に出てくる感想はこれです。
「裁判はドラマほどヒートアップしない」というのは裁判傍聴人の中で言われてきていることですが、今回は白熱しました。

大内さんの代理人弁護士は語尾に「☆」がつく喋り方なんです。重くて暗い空気の会場内に(耐えきれずに外に出る女性もいた)、明るく飄々とした雰囲気を連れてきてくれた場面でした。
かたやホモソーシャルの演劇業界のトップに君臨した谷さんと、かたや語尾に☆がついて歌うように話す飄々とした女性弁護士のバチバチの言い合い。ドラマみたいでした。

谷さんはおしゃべりなタイプです。自分を弁明しようとすればするほど「え、その考え方自体が古くてやばいんじゃないの?」と思ってしまうような、緊張感が走る場面がありました。

⑥勃起不全の薬の副作用

谷さんの主張「当時の私は精神科・心療内科に通院しており、性機能不全(勃起できない)の副作用のある向精神薬を常用していました。身体的にも性交は不可能です」についての反論がありました。

この薬の説明書には、勃起不全の副作用があると同時に、制欲増進の副作用があると記載がされていたとのことでした。

弁護士「ここの副作用の欄になんと書いていますか?」
谷さん「…制欲亢進」
弁護士「尋問は以上です」
のやり取りはスカッとジャパンでなのでは?というくらいにスッキリしました。

⑦謝ることはない……らしい

谷さんは「大内さんに謝ることはないです」といいました。
その瞬間、大内さんの目から大粒の涙(誇張なしで本当に私が今まで人間で見たことがないくらいの大粒)をボロボロと流していて、見ているだけで本当に苦しくなりました。

○裁判で思ったこと

泣き寝入りしても辛いし、闘っても辛い。

民事事件の性犯罪の和解金なんてたかが知れています。大内さんも金目当てではなく、名誉のために裁判を起こしたと言っていました。
結局は裁判の場でセカンドハラスメントのひどい言葉を浴び、大きな精神的な負荷がかかったに違いありません。大内さんのブログには和解直前に裁判所からの連絡が来ることで息が詰まり、冷静な判断ができなくなり、限界を感じていたと書かれていました。

また、自死を考えるほどに追い詰められていたようでした。

私は今回の舞台が千穐楽を迎える前日、自死を選ぼうとしていました。お風呂の中で、気付いて、悟ってしまいました。被害を告発し、その告発が色んな人達の耳に、目に届き、拡散され、広まったその後に自死を選んでいった俳優達を何人も見てきました。彼女ら、彼らが何故自死を選んだのか、同じ気持ちになることは絶対に出来ません。理解することも出来ません。分かることなんて一生出来ません。でも、でも。
私はその時、死にたくなってしまった。

和解後の谷さんのムーブ(ブログの連投や、名誉毀損の訴訟)を見ると、谷さんが
復帰する日も近いのではないか
と感じます。何事もなかったかのように戯曲を書き、演出している姿を私はまた見る日が来るのかと思うと恐怖で仕方ありません。

法廷に入られた際の、大内さんのカバンについていたヘルプマークが脳裏から離れません。大内さんは精神的に疾患を負い、その辛い記憶は一人の健康な人間に一生の障害を残すのだと思いました。私もそうだから、自分と重ねてやるせなくなりました。

谷さんは裁判終了後にやりたいことの一つとして「芸能界にまつわるキャンセルカルチャーの撲滅」を掲げていました。この言葉を聞いたとき、私はこの人が野に放たれるのが心底怖い、と思いました。

大内さんは、自分の名誉を取り戻すために、演劇界のハラスメントについて問題提起をするために、泣き寝入りせずに実名で闘いましたが、結局は法廷でも(もしかするともっと色々なところでも)セカンドハラスメントを受けていて、この二次被害でもさらに心を砕かれてしまうのだろうと感じました。
裁判当日、傍聴席で私は何度もため息をつきました。他の方も、谷さんや谷さん側の弁護士の行きすぎた人格攻撃のタイミングで、ため息や頭を抱えるような仕草をされている方がいました。それしかできませんでした。

性加害やハラスメントは立証が難しいのはみなさんご存知の通りでしょう。
全部録音していくわけでもないし、最悪なことがあったらその瞬間は最善の行動が取れず、日数が経って冷静になってから「あのときこうしておけば」と思うことばかりなのが人間というものです。今回の場合、もしも明確な証拠があったとしても、今度はそこに同意があったかどうかの認識の問題を争うことになったんだろうと思います。

谷さんの弁護士は、大内さんを精神的に痛めつけて潰すために裁判をやっているようにも見えました。

これは、和解後に出された、谷さんのブログの一編です。

去年からちょうど本厄の年だったし、実際リアルにつらいことが起き続けていた。

ブログはここから四国お遍路八十八ヶ所参りに行ったということにつながりますが、この文章からも、大内さんの告発も厄年に起こった災難のうちの一つのように思っている可能性を感じます。

勝利的な和解でした。
裁判所からは「迎合的態度があったとしても身体接触は不適切」「団の主宰者と劇団員という立場の差に鑑みると、 原告の真摯な同意があったとは認め難く、一定の不法行為責任が生じ得る行為であったといえる」と言う言葉を受け取ったとしても、大内さんの気が晴れる日はまだ遠いのだと思います。

いまだに谷さんは何が悪かったのかわかっていないのではないでしょう。
この世は地獄です。最悪です。

ここでは自分の性被害については書かないようにしますが、
この業界には本件以外にも酷いことがたくさんあります。
大内さんのせいでも、大内さんの個人の問題でもないです。


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