<主張>当番弁護士の減少 司法担う使命感あるのか

社説

逮捕された直後の容疑者のもとに駆け付け、無料相談に応じる「当番弁護士制度」に登録する弁護士の割合が昨年は全国で約30%と、統計開始以降で最低になった。

日本弁護士連合会によると、令和7年に当番制度に登録した弁護士は全国で約1万4千人で6年より800人以上減った。

容疑者にとっては、逮捕直後に法的助言を得られる貴重な機会だ。意に沿わない供述調書を取られることを防ぐなど、当番制度は冤罪(えんざい)防止につながるものとして評価されてきた。

登録率低下には、接見までの待機や移動時間の長さ、当番弁護士からそのまま受任することの多い国選弁護人の報酬の低さが指摘されている。刑事事件を「割に合わない」と避ける傾向もあると聞く。それで良いと思っているのか。

弁護士には、人権を守り、社会正義を実現するという使命がある。当番制度は弁護士以外のだれにも代わることができない役割だ。弁護士への指導監督を唯一行うことができる日本弁護士連合会と各都道府県の弁護士会は、強い危機感のもと全弁護士に参加や貢献を課す制度設計を進めていく必要がある。

当番制度は平成2年に大分などの弁護士会で始まり、全国に広がった。刑事事件では、逮捕から勾留の可否が決まるまでの最長72時間は国選弁護制度の対象外となる。当番制度はこの期間を埋めるため設けられた。

各弁護士会が費用を負担し、登録している弁護士の中から毎日の割り当てを決める。出動の手当は1万~2万円ほどだ。

負担を軽減する施策も必要である。留置施設のある警察署が弁護士会の所在地から遠く、車による往復で8時間以上かかる北海道の例などもある。

対面の接見を原則としつつ、弁護士が最寄りの警察署などに赴き、被疑者がいる留置施設とオンラインで接見できるシステムの構築も検討してほしい。

登録率の低さは大都市部で顕著だ。最も登録割合が低かったのは、第二東京弁護士会の9・2%で全国で唯一、1割を切った。第一東京弁護士会は13・0%、大阪は21・9%だった。対照的に福井や愛媛、福島では8割を超えている。事件数の違いなど、都市部と地方で異なる事情があるだろうが、大変恥ずかしい数字である。

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