日本ハム・新庄監督が語る、選手を1億円プレーヤーに変える育成術「短所はほとんど無視します」
◆アドバイスは「調子が落ちてきた時に言う」
また、新庄監督といえば、選手とのコミュニケーションでも一線を画してきた。 南原:「齋藤友貴哉選手と話したら、監督から『ゆっくり動作しなさい』とアドバイスされたと言っていました。これにはどういった意図があるんですか?」 新庄:「小心者の選手ほど、マウンドでバタバタするんです。自分でも無意識にいろんな動きをしているから、その時点でもう負けていると思ったので、たとえ四球を与えたとしても『ゆっくり1球1球を集中して投げる』ということを癖付けさせたら、とんでもないボールを投げ出しました。そこからさらにパワーアップさせようと思って、あるピッチャーの映像を送ったら、2日でできたんですよ。球速が3キロも上がりました」 南原:「そのピッチャーは新庄監督が見つけてきたんですか?」 新庄:「現役の時に対戦していたピッチャーの中に、齋藤くんに似たタイプのピッチャーがいたんです。『このピッチャーのこのボールを投げなさい』って言ったら、器用な子なので161キロ投げられるようになった。『これだ』って掴んだみたい」 南原:「そういうことを全部頭に入れて、『この子はこれをやればいい』と明確に指導するんですね」 新庄:「例えば五十幡(亮汰)くんだったら、ドジャースのフリーマンの映像を送って『パンチ力があるんだから、この打ち方をしてみなさい』と言いました。いろんなコーチからは『三遊間にゴロを転がして足でいかせたらいい』と言われていたけど、僕は引っ張ってほしいんです。『フリーマンみたいに、右中間気味に大きなフライを打ちなさい』と言ったら、1・2塁間に転がってヒットになることが多くなりましたね」 南原:「(監督の頭の中には)めちゃめちゃ詰まっているんですね」 新庄:「まだまだ引き出しはあるんですけど、全部言うと混乱しちゃうので、ちょっとずつ伝えています」 南原:「言うタイミングも考えているんですか?」 新庄:「バッチリありますね。調子が落ちてきた時に変えます。あとはインスタのDMでモチベーションから変えていきます。『大丈夫だ。(二軍に)落とさないから。三振してもいい』という一言があるだけで、全然違うんですよ。バッティングフォームが変わらない。『落とされる』と思うと、当てにいって全部が崩れていくんです。 去年の松本剛くんもめちゃくちゃ調子が悪かったんですけど、FAを取らせたかったから、『落とさない』と言い続けました。『安心しなさい。必ず見てくれる球団はあるから』って(※松本は国内FA権を行使し、今季から巨人に加入)」 南原:「なるほど。だから起用させていたんですね」 新庄:「ファイターズでは出る機会が少なくなっていたので、ジャイアンツに移籍して、阿部監督から『1番センターで使う』と言われていたので、すごく嬉しいです。剛くんには伝えました。『守備はお前がいちばんうまいから教えるな』って。ライバルが増えるから、俺が教えてきた守備は教えなくていいと(笑)」 南原:「愛情を持っていますね」 新庄:「他の球団にいった選手、一緒にファイターズでプレーした選手には、誰だろうが気づいたことはDMします。『ここが悪いよ、ここ直しなさい』って。アドバイスしたから抑えられていることが多いんですけど(笑)。でもいいんです、プロ野球が盛り上がれば」