light
The Works "炊きたてのお米が食べたい" includes tags such as "槍弓", "現パロ" and more.
炊きたてのお米が食べたい/Novel by にょろり

炊きたてのお米が食べたい

2,452 character(s)4 mins

炊きたての美味しいお米食べて〜ってなってたので。エミヤさんはどんな炊飯器使うんですかね。むしろ土鍋か…?

ここまで読んでくださって感謝感激!ありがとうございます!!
ブクマ等ありがとうございます!!

  • 6
  • 7
  • 611
1
white
horizontal


今日は疲れた。
「今日中にね。」と言われた仕事は一体いくつあったのだろうか。

今日は金曜日。
残業なんてしないつもりだった。

今日のご飯は、
すこし張り切る予定だった。
遅くなるからとお米を炊くのだけをお願いした。おかずは作り置きでなんとかなる。

帰ったら、美味しい炊きたてのご飯が待ってたんだ。


「待ってないじゃないか!!」
「お、帰ったか。おかえり、アーチャー。」

部屋の奥からひょっこり青い頭が覗いた。待っていたぞと言わんばかりの顔で出迎えられる。

「ただいま、ランサー。」
「なんだ不貞腐れて。お疲れ様だな。」
ランサーが駆け寄ってきて、抱きつかれる。普段のただいまの挨拶だ。
「……お米は。米は炊いてくれたんだろうな。」
「おっ!バッチリだぜ。ちゃんと炊いたっての!」
自慢げな顔を向けられたがこちらはそれどころではない。
「ちゃんと、炊いた。だと?」思わず声が漏れた。
どこからも米の匂いがしない。いや待て、炊きたてのとは行かないかもしれない。4時間程前にランサーに連絡したのだ。
ランサーを剥がし急いで炊飯器の元へ駆け寄り、蓋を開けた。

「あぁ……。」溢れる蒸気に顔を近づけ湯気を吸い込む。炊き立ての歯の裏がうずうずするような---ー香りがしない。

何故だ。機械任せなのだから何もしなくても僅かながらにも感じれるはずだ。ランサーは一体何をしたのだ?

「なぁ、炊けてたろ?」早くご飯をと言わんばかりの顔を覗かせにきた。気持ちは分かる。自分も正直お腹と背中がくっつきそうな程度に腹が減ってる。
ま、まさか…!
ゆっくりと炊飯器を閉じ、電子表示をみる。やはりそうか。と溢れた言葉。そう、私は気がついてしまったのだ。ランサーが、『早炊き』をしてしまっていたことを。

ゆっくりとランサーを睨む。意味がないのはわかるがしなければ気が済まなかった。
「……貴様………。」
「あ?何?どうしたんだ。」
「貴様、お米を早炊きモードで炊いただろう!!!」
「炊いた!時間なくてよ。なんかダメだったか?」
頭を掻きながら悪びれる様子もなく答える。
ダメに決まってるだろう!!叫びそうなのを堪えて疑問をぶつける。
「なぜ、だ。連絡したのは4時間程前の筈だ。その時君は家に居たはずだ。何をしていた…?」
「連絡きたのは家着いた直後だったんだけどよ。こー思わず、あー疲れたーって伸びてたらちょっと寝ち待ってよ。」
炊けてたんだから問題ないだろ?と表情が返ってくる。彼も疲れていたのだ。仕方がない。そう、きっと仕方がないのだ。
「仕方なくない!!貴様、早炊きなぞしおって!このクソ狗!!」
「んだと?頼まれたからこちとら炊いたんだろ。俺は早く飯が食いてぇんだけど!?」
腹が減って互いに気が立っているが言い出してしまったからには止められなかった。
「貴様に頼んだ私が悪かった。お前にはわからないのだな…早炊きされたお米の気持ちが…。」
「何言ってんだてめぇ…。」ランサーが若干引き気味なのを感じ取れたがまくし立てる様に続けた。
「そのままの通りだよ。君にはわからないんだ。折角、食べてもらえるというのに早炊きされてしまつては普段の力おいしさの半分も出ないだろう!時間がなかったというのであればやむを得ないとは思うが、…何故三合も炊いたのだ…!!一合でいいだろう!冷凍行きだ!冷凍のご飯も全力の力が出せないだろう…!!」
「いつも……」
語尾が小さくて聞き取れなかった。
「なんだ?」
「いつも、お前は三合炊いてるだろ!?だから、同じようにしたんだ!わりぃかよ!!」
いつも、炊いてる合数を知っていたのか。注がれたご飯を待っているだけだというのに。
思いがけない言葉に胸が苦しくなる。思わず膝から崩れ落ち、手で顔を覆った。
「わる、くはない…。だが、…作るからには、美味しいものを作りたいし、何より美味しいものを食べて欲しかったんだ…。」
だからお米の炊き方にも拘りたい。なにせ今日は金曜日だ。美味しいご飯が食べたい。
「…お前の作るもんはなんだってうまい。」
「だが……。」
正直泣きそうな気分だ。何故こうなっているのかよくわからない。どうしたらいい。
「だーー!!もぅ!食べてぇもんのリクエストしてもいいか、アーチャー!?」
「な、なんだ。」
「オムライス!」


***

「狗にしては良い考えだと思う。」
そんなことを口にすると飯が不味くなると言われかねなかったが彼は何も言わなかった。

美味しさが減ってしまったのであれば調味料の力で覆えばよかったのだ。炊きたてのごはんに対しては邪道かと思いかねないが今回ばかりは腹の虫を収めるためにも必要なことだったと思う。

ふわとろも良いが買い置きの卵が足りなかった為、溶いた卵に牛乳を少量加えるに留め薄皮のオムライスを作った。牛乳をすこし入れるだけでも気持ちふわっと仕上がる。
ケチャップライスを卵で包み形を整える。ケチャップは---自分でかけてもらうのがいいだろう。

「お待ちどうさま。」
今か今かと待つランサーの前に出来立てのオムライスを置く。律儀に私が座るのを待つ。
「召し上がれ。」
「い、いただきます!」
食い気味言い放ち、頬張り出した。よほど腹が減っていたのだな。美味しそうに食べる彼を見ると正直色々なことがどうでもよくなってきた。一口食べるがいつもの味だと思う。
あー、だが今日は。
白い米が食べたかったなと静かに思った。

***

実は後で気がついたのだが炊飯器の釜が少々限界を迎えていたらしい。美味しいお米を食べるためにもと、ランサーがこの土日に新しい炊飯器を買いに行こうかと提案してくれた。
家計も厳しいのだが、とは思ったもののやはり食べるものは良いものがいい。美味しく食べてもらいたい。どんな炊飯器がいいだろうか。
思い耽りながら次の日を思い描いた。


あぁ!やっぱり炊きたての白米はいいな!


Comments

There is no comment yet
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
© pixiv
Popular illust tags
Popular novel tags