名大祭への参加を拒否された経緯
私たちは、名古屋大学のクレープ同好会です。
この1年間、名大の学園祭である「名大祭」にクレープの屋台を出すことを目標に活動してきました。
しかし先日、名大祭実行委員会から、私たちの企画は「著しく名大祭に不利益となる企画」にあたるとして、出店を認めない判断を受けました。
その後やり取りをする中で、実行委員会の担当者と連絡がつかなくなり、2週間以上音信不通になっています。
さすがに問題提起するべきだと思ったので、今回の経緯を詳しくまとめます。
出典拒否の理由
今回の判断について、現時点で私たちが受けている説明は、「クレープ」を取り扱う企画であること自体が問題だ、というものです。
それ以外に理由はない、とのことでした。
名大祭では過去、2008年に学園祭で提供された模擬店のクレープが原因で集団食中毒事件が発生しました。
原因は、学生が食品取扱規約を守らずクレープを作り置きしたことで、黄色ブドウ球菌が発生したためです。
この事件が原因で、名大祭は一時存続の危機となりました。
現在でも、名大祭の参加者には毎年必ずこの事件の説明がなされ、食品の取り扱いには細心の注意を払っています。
私たちの企画内容
今回私たちが計画していたのは、その場で生地を焼いたり、具材を仕込んだりする形のクレープ店ではありません。
冷凍・未開封の既製品をそのまま販売する、という企画でした。
名大祭の模擬店出店要項では、取り扱う食品について、「調理を含む食品」と「未開封既製品」とに分けられています。
このうち、「調理を含む食品」はメニューリストからの選択制で、リストにない食品は取り扱うこと自体ができません。
これは、2008年の食中毒事件を受けての施策です。
一方で、「未開封既製品」にはメニューの制限はなく、自由に取り扱うことができるはずでした。
大学と実行委員との食いちがい
私たちとしては、
・食中毒事件から18年が経過した今、
・「未開封既製品」という最も安全性の高い形で
クレープを販売することは、名大祭の規約・社会通念に照らし合わせても問題ないと考えていました。
一方で、名大祭が食品の取扱に注意を払っており、その中で「クレープ」が繊細な立ち位置にあることは理解していました。
そのため、私たちは2025年7月に、名大の副総長を含む大学関係者と意見交換を行いました。
名大祭でクレープを扱う上で、実行委員会の学生たちが大学との板挟みにならないよう、事前に大学側と意向を調整意図がありました。
その際、大学側と次のような内容で合意を取ることができました。
・名大祭の食品取扱規制は自主規制(保健所等からの要請ではない)
・大学側として「クレープ」を名指しで規制する意図はない
・過去に発生した食中毒事件において問題だったのは、取り扱い品目(クレープ)ではなく取扱工程である
・意見交換の内容は、実行委員会にも共有・周知する
わざわざ時間をとってお話しいただいた副総長ほかの方々には、感謝しています。
一方で、実際に実行委員会から通達された内容は、これと全く食い違うものでした。
この件について大学側に確認したところ、次のような返答をいただきました。
・名大祭は学生が主体的に行っている活動であり、模擬店の出店申請は基本的に名大祭実行委員会の学生に任せている。
・今回の模擬店出店申請に関する承認/非承認の判断に、大学側は介入していない。
・本件については、自身で名大祭実行委員会へ交渉してほしい。
そこで、指示を受けた通り、実行委員会に直接交渉を行いました。
私たちが大学側と行った意見交換の内容を共有したところ、実行委員会から次のような返答をいただきました。
(前略)
NU Crepe Lovers様が過去に大学側と協議を重ねてこられた事実につきましては、私どもも承知しております。また、前年度以前にも名大祭における「クレープの提供」が認められなかったことに対し、不当であるとしてご主張されてきたことについても把握しております。
そのうえで、名大祭実行委員会といたしましては、先日ご説明申し上げました理由に基づき、今回のご出店につきましては見送らせていただく判断をいたしました。
名大祭において企画を実施するためには、原則として「大学側」と「名大祭実行委員会」の双方の理解を得る必要がございます。本件につきましては、立場の違いにより問題意識に相違が生じているものと認識しております。
名大祭は現在その存続に関わる重要な局面にあります。そのような状況下においては、一部からでも信用を損なう可能性のある企画や行為につきましては、慎重に対応せざるを得ないという方針を取っております。
基本的には、所定のメニューリストから品目をお選びいただけましたら出店は可能となっております。次回以降、そちらの方向でご検討いただけましたら幸いです。
大変心苦しいお願いではございますが、何卒ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
以後、現在に至るまで
これに対し、私たちは判断が妥当ではないと感じました。
そこで、次のような質問をしました。
(前略)
1. 決定手順(検討フロー等)について
(1) 本件「出店不可」判断に至るまでの検討フロー(誰が、いつ、どの会議体・手続で、どのように審査・決裁したか)
(2) 参照した規程・解釈(名大祭模擬店出店規約、名大祭参加規約第7条1項2号の具体的な解釈運用、その他内部基準・過去の取扱い)
(3) 「著しく名大祭に対し不利益」と評価した具体的内容(想定したリスクの内訳)
(4) 上記リスクの根拠(過去事例、学内・学外からの指摘、近隣対応上の懸念、大学当局との確認内容等、客観的根拠の提示)
2. 2025年7月17日の意見交換内容の取扱い(確認)
貴委員会からは、当方が大学側と協議を重ねてきた経緯について「承知している」とのご認識を示していただいております。
そのうえで、本件判断との関係を明確にするため、2025/7/17の意見交換(大学副総長ら同席)について、以下をご回答ください。
(1) 貴委員会が「承知している」対象は、当該意見交換の開催事実・概要(論点と結論)まで含みますか。それとも「協議を重ねてきた」という経緯一般に留まりますか。
(2) 当該意見交換で確認された内容(当方理解:品目名指し規制の意図はない/問題は品目ではなく工程 等)を、貴委員会はどのように把握していますか(把握している範囲の説明)。
(3) その把握内容は、本件の出店不可判断(「クレープであることのみ」を理由とする判断)に際して、どのように考慮されましたか。考慮した場合は具体的に、考慮していない場合はその理由をご説明ください。
以上、よろしくお願いいたします。
そこから18日が経過しましたが、LINEに既読がつかず音信不通となっています。
昨日、名大祭実行委員会の執務室に直接お邪魔し、担当者と連絡が取れない旨を相談しました。
5日以内に連絡を返していただくと約束をいただき、今は返事を待っています。
私たちの問題提起
ここまでの経緯があり、今回の文章を書くに至りました。
私たちが主張したいことは次の通りです。
①撲滅すべきなのは、「クレープ」ではなく「食中毒」ではないのか
2008年の食中毒事件では、たしかに「クレープ」が発端となりました。
しかし、実際に反省する必要があったのは食品取扱のずさんさであって、「クレープ」という表面的な品目ではないはずです。
これは大学とも合意しています。
今後名大祭では、何か問題が起こるたびに1つずつ品目を減らしていくつもりなのでしょうか。
②存在しないクレームを理由に、学生を軽視していないか
名大祭実行委員は、私たちの企画を
「著しく名大祭に不利益となる行為」
「名大祭の評判や信頼を損なう」
「地域住民とのトラブルを生じさせる行為」
であると認定しました。
確かに、私たちがクレープを取り扱うことでトラブルが起きる可能性はあります。
一部の方が名大祭の悪評をふりまいたり、クレームを入れたりする可能性はゼロではありません。
しかし、可能性がゼロでないことと、それだけで「著しく名大祭に不利益となる行為」と断定することは別問題です。
2008年以降、実行委員会の努力の甲斐あって、食品関係でクレームが届いたことは1度もないと伺っています。
つまり私たちの企画は、「クレープ」という品目名だけを理由に、実態ではなく過去の印象に基づいて出店拒否の判断がなされたことになります。
クレームを入れるかもしれない一部の外部者の反応を先回りして過大評価し、その一方で、規約に沿って企画を準備してきた学生側の説明や工夫を顧みない判断ではないでしょうか。
③名大祭の運営方法が不適切なのではないか
やり取りの中で、実行委員から次のような言葉をいただきました。
名大祭は現在その存続に関わる重要な局面にあります。そのような状況下においては、一部からでも信用を損なう可能性のある企画や行為につきましては、慎重に対応せざるを得ないという方針を取っております。
名大祭は、コロナ禍を経て恒常的な赤字となっています。
金銭的な問題で、現在は存続の危機にあります。
それを踏まえたうえで、今回のような判断を下すのが適切なのでしょうか。
今回の一連のやり取りを見る限り、名大祭実行委員会は「学生の企画を社会通念に沿って公正に審査する組織」ではなく、「外部からの苦情を避けるため、少しでも不安のある企画を学生側に十分な説明もなく切り捨てる組織」に見えます。
それは、本来守るべき名大祭の信頼を、かえって内部から損なう対応ではないでしょうか。
担当者が音信不通になるのも、いくら学生がボランティアで運営しているとはいえ考えられません。
当初、私たちは実行委員と対話し、可能なら改めて出店をさせていただけないかと考えていました。
しかし、担当者と連絡がつかない期間が長かったため、現時点でスケジュール的に出店は不可能です。
これまで私たちが行ってきた準備は全て無意味なものとなってしまいました。
蛇足:ただのお気持ち
以上が、今回起きたことの経緯です。
今後、続報があれば追記します。
ここまで、可能な限り事実関係に即し、感情を排して文章を書いてきました。
ここからはお気持ちです。
ブラウザバックして結構です。
私は、名大祭が今存続の危機に陥っているのは当然だと感じています。
コロナ禍のせいではありません。
本質的な名大祭実行委員会の体質のためです。
実行委員会が言っていた、
一部からでも信用を損なう可能性のある企画や行為につきましては、慎重に対応せざるを得ないという方針を取っております。
の「一部」には、私や、このサークルのメンバーや、クレープが好きな他の学生たちは含まれておらず、代わりに存在すらしない仮想上のクレーマーが含まれます。
知人の名大OBに今回の件を話したところ、
「クレープの一つも出店できない赤字でつまらん名大祭なんぞ潰れてしまえ」
と言っていました。
その時は言いすぎだと思いましたが、今では同じ気持ちです。
今回のような対応を自然とできてしまう名大祭実行に、期待しているものはありません。
悲しさすらなく、疲れたというのが本音です。
クレープの出店に失敗するのは今年で3度目です。
ただ単にクレープが好きだというだけで、ここまで無力感に苛まれるとは思っていませんでした。
もう名大祭に行くこともありません。


運営側から見たら、 とても面倒くさいクレーマー対策を誰がやるのか?その負担は誰が追うのか? 全体的な衛生度にも注目が集まってしまいますし、運営の負担が増えるという観点で見たら、クレープをやるだけなのに、負担が増え、全体の不利益と考えることもできます。 それぞれが双方の立場で正し…
名大OBです。 悔しい気持ちがとても伝わってきました。 私も名大祭で焼きそばを販売した経験があり、その時にクレープ食中毒の事故の話を何度も聞かされました。また、名大祭中、何度も"実行"の方から「食材の 冷蔵は大丈夫か?」と確認された記憶があります。あの当時からかなり食中毒に過敏な団体…
興味深く読ませて頂きました。 他大で同様な活動、逆に運営側も別で経験いたしました。 「クレームを入れるかもしれない一部の外部者の反応を先回りして過大評価し」 とありました。 名大のような頭の良い方に言うまでもない話だとは存じますが、これは当たり前です。 過大評価、、でもないと思…
名大祭にこだわる理由はなんですか?他の夏祭りとかに出店するのじゃダメなんですか?
私が名大の学生だったからです。 名大祭は、名大生にとって最も身近で正当に参加できる学園祭です。 だから、そこでルールに沿って出した企画が不透明・不合理に退けられたと感じれば、問題提起するのは自然だと思っています。 他で売れればそれでよい、という話ではないと思っています。 学生が…