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左手の薬指/Novel by にょろり

左手の薬指

2,556 character(s)5 mins

こんなことあったりできたら面白いよねー。みたいな程度で書きました。ご都合ルーン魔術ですね!

ここまで読んでくださりありがとうございます!!チラ見でもほんと嬉しいです!!ありがとうございます。

ブクマ等ありがとうございます!

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今日は剣の修練場だということで非番になった。このところイベントもなく落ち着いた日々が続く。何かつまみでもと思い食堂へと赴いた。
「今日は非番かね?」
食堂へ入るやいなや、声を掛けられる。声がした方向に顔を向けると食堂の端で紅茶を飲んでいる、弓兵がいた。
「お前が、キッチンじゃなくてこんなとこで座ってるなんて珍しいな。」
「まぁな。」
少し困った顔をしたながら、弓兵は目の前に置いてあるクッキーを手に取った。いいものがあると思い、向かいに座りながら先ほどの質問に答える。
「今日は剣の修練場だったとかでよ。前までは相性悪くても連れていかれたが、もういいんだとよ。」
「まぁ、最近ではいろんな英霊がいるからな。他の英霊とも仲良くしたいんだろうさ。」
まぁそうだろうがよ。と答えながら、クッキーを頬張る。程よく好みの甘さのクッキーだった。
「うめぇな。作ったのか?」
「やる事がなくて作りすぎてな。」
納得をしそうになったが、よく考えればおかしい。剣なら相性の良い弓兵は駆り出されてるはずだ。それなのにやる事がないのか。
「わかりやすいな、君は。いやなに、私も修練場に赴いてたのだがね。ヘマをやらかしてしまってね。」
苦笑されつつ、見せられた左手は薬指と小指がかけていた。食いちぎられてしまってね。とまた先ほどの困り顔を見せた。
「えらく、すっぱりいかれてるな。」
「まぁ、利き手ではないから不便はないし、と思っていたのだが。弓が思うように持てなくてな、マスターにそれをみつかってしまって。」
強制的にメンバーから外され休息を取らされているところだという。マスターはそこら辺目敏いし、急に返されたところでやることもなくクッキーを焼いていたのか。
合点はいかなくはないが、指を食いちぎられるとか弛みすぎじゃね?とか言いたいところだが当人が落ち込んでるのであまり触れないようにする。
「あぁ、でもちょうど君がここに来てくれてよかったよ。まりょ………いや、すまない、なんでもない。」
言いかけた言葉を噤むと弓兵は唐突にこの場を立ち去ろうとした。咄嗟に手首を掴んで静止する。
「待て待て。最後まで言っていけや。」
予想はついてるし、むしろしようと思っていたくらいだ。薬指を食らうなんざ許せないだろう。
「……気迷いごとだから。なんでもない。」
「減るもんじゃねーし、いいじゃねえか。聞かせろよ。」
「……じゃないか…。」
「あん?」
えらく小さな声に耳を澄ます。
「き、きみに、魔力供給して、欲しいなんていったら、結局、減るじゃないか…!!」
「……なるほどな。」
減るなんて言うということは今の弓兵の中で魔力供給するということは、そういうことなんだろう。口からの体液交換でも、時間があるんだからなんなら添い寝でもいいくらいだったのだが。
思わず口の端を吊り上げる。
「こっちは暇を持て余してんだ、お前のいう、魔力供給してやるよ。」
お前のいう、という言葉で弓兵は顔を真っ赤に染め上げた。ち、ちがう、ちがうそうじゃないんだ。といいたそうに口がパクパクと開閉する。
手早く紅茶セットをお盆に乗せ片手に持ち、もう片方の手で硬直している弓兵の腕を掴んで自室に連れ込んだ。


***


「あ、エミヤ元気になったんだね。よかったー。」
修練場から帰ってきたマスターを食堂で出迎える。マスターは駆け寄り左手を手に取った。
「よかったー!休んでくれた甲斐あってか綺麗に治ってるね。」
「あぁ、ゆっくり休んでたからな。」
幾ら何でも早すぎるだろうと思いながら変な勘繰りを入れられたくないが、それに反しマスターはまじまじと左手を見つめる。
「なんか、薬指の付け根、薄っすら白いね。生えてくるときになんかあったの?」
「………、いや、なにも、ないよ。疲れただろう、マスター。早くご飯を食べるといい。」
「そうだね!ま、何にせよ治ってよかった!」
お疲れ様と言い残しマスターは先ほどまで修練場に行っていたメンバーと合流した。
左手に目を落とすと、言われた通り薄っすらと付け根が白かった。まるで、あの、ランサーの肌の白さに似ている。
魔力供給を散々されたあと、霊体化し、元に戻ると左手は戻っていたが、しかし一体どこで何を。
「あれなら、やりかねんな。」
ルーン魔術とやらで何かしたのだろうか。いやなに、こんなところに。今日はもう厨房の当番でもないので早いところ自室に戻ってしまおうと思い食堂を後にした。
食堂を出て、廊下を歩くもやはり左手が気になりまた見てしまう。ふと笑みが溢れてしまったの気がつき唇を噛みしめる。
周りに誰もいないか見回して、そっと、薬指の付け根に口づけを落とした。
「そんなに気に入ったか?」
驚きを隠せず思わず猫のように飛び上がった。振り向くとランサーがにやにやしながらこちらを見ていた。
「互いの魔力をこう、なんかしてみたら面白いことになってな。」
ランサーはこちらに左手の薬指を立ててみせた。付け根には見覚えのある褐色の色が一筋入っていた。
「き、さま…!」
「ま、たまのお遊びさね。いいじゃねーか。どうせすぐに吸収されて元に戻るだろうよ。」
いいたいことは山ほどあったが、不便な手を治してもらった手前なにも言えない。
「こ、金輪際このようなことはしないことだな!」
「そんな顔で言っても説得ねぇよ。」
今日はゆっくり寝とけ、と肩を叩くとランサーは食堂へと向かっていった。その背を見送り自室へとさっさと向かう。
ベッドに倒れこむとまた左手を見てしまった。
「キャスターでもないのに器用なことをする。」

あの男はこの指に何の意味があるか知っているのだろうか。気まぐれか何かはわからないが、実のところ嬉しくなかったというと嘘になる。
左手を胸に押し当て、目を閉じた。


朝になり、エミヤは左手を見たが白い線は消えていた。少し落胆の色をみせたが、朝の仕込みをするためにも厨房へと向かう。
いつも通り第二再臨の姿で立つエミヤのうなじに大きな噛み跡がくっきり残っているのを彼は知る由もなかった。

Comments

  • シン@0503

    とても可愛いお話をありがとうございます。素直な弓兵が大好きです。このあと、どうなったかなーって想像して楽しくなりました

    June 6, 2020
  • ねいねい
    November 9, 2019
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