店員「いらっしゃいま――あっ! にちかちゃんよね!! テレビいっつも見てるよ!」
にちか「ありがとうございますー。あ、でもここでお話はちょっと。レジ混んじゃうので」
店員「そうだったわね! そしたら、お姉さんによろしく言っといてちょうだい」
にちか「わかりましたー!」
店員「あ、そうそう。お姉さん、彼氏さんとは順調そう?」
にちか「彼氏?」
店員「そう! こないだ一緒に歩いてるの見たわよ、イケメンで――」
にちか「彼氏…………彼氏ーーーーッッッ!?」
――レッスン場
にちか「はぁっ……はぁっ……」
美琴「にちかちゃん、何かあった?」
にちか「え、いえ……」
美琴「全然集中できてない。今レッスンしても、何も身にならないと思う」
にちか「す、すみません……」
美琴「何かあるなら話してほしい。力になりたいの」
にちか「実は……お姉ちゃんに彼氏がいるらしくて……」
美琴「お姉ちゃん……はづきさんのこと?」
にちか「あはは、こんなくだらないことで悩んでバカですよね。すぐ切り替えますので!」
美琴「彼氏が誰かわかればいいの? ちょっと聞いてくるね」
にちか「え? ちょっ、美琴さん!?」
〜事務所
P「えっ!? はづきさんに彼氏!?」
美琴「うん。にちかちゃんが言ってたの。誰か知りたいんだけど、プロデューサーは知ってる?」
P「いや、さすがにプライベートなことまでは……けど気になるな。はづきさんの彼氏となると、俺以上のワーカーホリックかもしれないし。美琴もそういうの、やっぱり気になるのか?」
美琴「ううん。にちかちゃんが悩んでるみたいだから。力になってあげたくて」
P「よし! そういうことなら俺たちに任せろ!」
――街中
あさひ「というわけで、はづきさん尾行作戦開始っす!」
果穂「いいんですか? プロデューサーさんは聞いてきてほしいって言ってただけなのに……」
あさひ「わかってないなぁ、果穂ちゃん。直接聞いても教えてくれるわけないよ。って冬優子ちゃんが言ってた」
果穂「そういうものなんですね……!」
甜花「も、持ってきたよ……! 隠れる道具……!」
果穂「ありがとうございます! って、ダンボール……?」
甜花「これ入って移動したら……絶対見つからなくなる……!」
あさひ「よーし! 行くっすよー!」
「何あれ」ヒソヒソ
「ダンボールが歩いてる?」ヒソヒソ
「子どもかしら?」ヒソヒソ
「可愛らしいわねぇ」ヒソヒソ
果穂「……バレてませんか?」
甜花「そ、そんなはずは……」
はづき「みなさ〜ん? 何してるんですか〜?」
果穂「あっ!? バレちゃいました!?」
あさひ「はづきさん尾行作戦してたっす!」
はづき「どうして私を〜?」
甜花「そ、それは……言えない……言ったら……消される……」
果穂「あたしたち消されちゃうんですか!?」
あさひ「今回は一時撤退っすね。次こそはバレないっすよ!」
はづき「なんだったんだろう……?」
P「はづきさん? どうかしたんですか?」
はづき「いえいえ〜。なんでもないですよ〜」
――にちかの部屋
にちか「持ってきました! お姉ちゃんのスマホ!」
樹里「なあ、本当にいいのか? 勝手にスマホ見んのはマズくねえか?」
にちか「いいですいいですー。黙ってるお姉ちゃんが悪いのでー!」
樹里「つっても、パスワードとかあんだろ?」
千雪「それなら私に任せて♪ はづきのパスワード、前に教えてもらったの。えっと確か……ほら!」
樹里「けどよ、メールとかチェインだけじゃ彼氏かどうかなんてわかんねーだろ」
にちか「いやいや、わかりますってー。明らかにイチャイチャしてる文章とか、ほら! この人ですよ、きっと! どう見てもイチャイチャしてるって!」
千雪「本当だ、誰だろう…………そんな……嘘……あの日お持ち帰りされたってこと…………?」
カチッ
樹里「誰かわかったのか?」
千雪「はい、樹里ちゃん。開けてみて」
樹里「え? でも今ロックする音したけど……」
千雪「何事も挑戦してみないと♪ はい、がんばって」
樹里「おう。こうか? 違うのか……んじゃこれか?」
にちか(失敗させまくって二度と開けられないようにしようとしてる……怖)
――街中
小糸(ど、どうして……)
ルカ「……」
咲耶「すみません、そこの麗しいお姉さん。少しお伺いしてもよろしいでしょうか?」
小糸(どうして……私……この人たちと一緒に聞き込みさせられてるの……?)←円香の代理
ルカ「……オイ」
小糸「ぴえぇっっ!?!?」
ルカ「……やりたくねェなら帰っていいぞ」
小糸「ぴぇっ……?」
咲耶「おや、ルカがそれを言うのは意外だね。一番こういうことに関わりたがらない人だと思っていたから」
ルカ「美琴が困ってんだよ……アイツのせいで……」
小糸「え、えと……わた、私、その……が、がんばります!!」
ルカ「そうかよ……」
咲耶「さて、次はどこへ聞き込みに行こうか。はづきさんのバイト先はあと……」
小糸「あ、あの……! このスーパー……ここの店員さんが見たんだと思うんです……」
咲耶「あれ? けれどここは、はづきさんのバイト先じゃないはずだ」
ルカ「昔バイトしてたとかだろ……よくある話……んなことより早く行くぞ」
〜
店員「七草さんには本当お世話になったんですよ〜! あの頃はもう忙しくて忙しくて」ベラベラベラベラ
小糸「そ、そうなんですね……」
ルカ「……チッ」
咲耶「すみません、それで本題なのですが、はづきさんの彼氏について、何かご存知ではないでしょうか?」
店員「もちろん知ってるわよ〜! だって背が高くてイケメンで……あっ! あの人よ! あのモデルさんみたいな男の人!」
小糸「ど、どの人…………あっ……」
ルカ「アイツかよ…………」
咲耶「これは大至急みんなに共有しなければならないね」
――事務所
あさひ「プロデューサーさん! わかったっすよ、事件の真相が!」
P「本当か!? 誰だったんだ!」
甜花「え、えと……甜花……眠りの甜花やるから……」
樹里「んなまどろっこしいこといらねーよ。なあ小糸」
小糸「ぴぇっ?」
ルカ「こんなくだらねえことに付き合わせやがって……小さいの、お前からもなんか言ってやれよ」
小糸「ぴぇぇっ……」
千雪「前からそうかもな、って思ってはいたんだけど……秘密にしたいからってわざわざこんなことしなくても」
咲耶「黙っててくれ、と一言あればそれで済む話だったんだ。ねえ、小糸」
小糸(な、なんで私……?)
果穂「それでは小糸さん! 解決のやつお願いします!!」
小糸「ぴえぇ!?」
P「どういうことだ? あとなんでみんなちょっと怒ってるんだ?」
小糸「ぁ……あの……スマホ……の履歴と、聞き込みの結果……と、その……」
あさひ「尾行の結果も合わせると、犯人が浮かびあがったんす!」
小糸「は、犯人は…………プロデューサーさんです!!!!」
P「え? 俺??」
樹里「白々しい演技すんなって」
果穂「社内恋愛は普通のことってドラマで言ってました!」
千雪「きっかけはあの日……ですよね? はづきが酔って帰れなくなっちゃった日」
P「ちょっと待って? 俺が一番よくわかってないんだが?」
ルカ「ほらよ、本人連れてきたぞ」
はづき「もぉ〜♡ プロデューサーさんと私が付き合ってるだなんて〜♡」
小糸「すごく嬉しそう……」
P「いや、誤解だ! 俺は別にはづきさんにそんな感情は全然――」
はづき「……」
P「あれっ!? なんか怒らせるようなこと言った!?」
あさひ「はづきさん、これ冬優子ちゃんから貰ったメリケンサックっす」
小糸「あの……撮影で使った棍棒もよかったらどうぞ……」
咲耶「それじゃあ私たちは、この辺の防具になりそうなものを回収して帰るとしよう」
P「ま、待って!? 2人きりにしないで!?」
はづき「プロデューサーさん〜? どうして2人きりになりたくないんですか〜?」
P「そ、それは……ですね……」
はづき「こう見えて、パンチならにちかより強いんですよ〜?」
P「お、落ち着いて!? ここは冷静に話し合いで――」
――その後、社長によって社内恋愛禁止の貼り紙が掲示された。