韓国「ノージャパン」の象徴は今… 若者たちに「日本の味」が浸透【地球コラム】
韓国で2019年に起きた「ノージャパン」(日本製品の不買運動)の象徴となった日本のビールが、華麗な復活を遂げている。日本からのビール輸入額は25年に過去最高額を更新した。ビールにとどまらず、飲食チェーンの進出も相次いでいる。良好な日韓関係を反映した人的交流の拡大を背景に、「日本の味」が韓国の若者を中心に浸透しつつあるようだ。(時事通信社ソウル支局 本望由香里) 【写真】韓国のコンビニで売られている日本産ビール
「日本のビールは高級感がある」
25年12月、ソウルの若者に人気の街・聖水にあるバー「サッポロプレミアムビアスタンド」を訪れると、平日にもかかわらず、店内は多数の若者でにぎわっていた。 「ビールが大好きで、友人を誘ってきた」。友人2人と訪れた美容師の30代女性は、グラスを傾けながら笑顔で話した。既に何回も来店しているという女性は、「泡がやわらかくて美味しい。のどごしが全然違う」と、リピーターになった理由を力説した。 このバーは、サッポロビールが海外向けに展開している「サッポロプレミアムビール」を、注ぎ方の違いによって二通りの味で楽しめるのが売り。7月のオープンから半年以上が経つが、客足は上々の様子だ。同店の好調もあり、サッポロビールの韓国での売り上げは25年、前年比83%増を記録したという。 日本のビールは、今やスーパーやコンビニでも手軽に購入できるが、韓国のビールに比べると価格は3~6割ほど高め。サッポロプレミアムビアスタンドでも、1杯9000ウォン(約900円)で提供している。 それでも、20代の男子大学生は「日本のビールには高級感がある。普段とちょっと違った雰囲気を味わうには日本のビールが一番」。30代の会社員男性は「札幌に旅行した際に飲んだビールが美味しかった」と振り返り、「一度に10杯飲むわけではなく、1、2杯だ。お金がもったいないとは思わない」と語る。
7年ぶりに最高額を更新
韓国が輸入した日本のビールは、18年に7830万ドル(約125億円)を記録した。しかし、日本政府が19年7月、半導体素材の韓国向け輸出管理を強化すると、反発から日本製品の不買運動が広がった。有名企業が標的となり、日本車のほか、衣料品「ユニクロ」「無印良品」、靴小売「ABCマート」、化粧品「DHC」の売り上げが半減した。 当時の韓国メディアは「不買運動が日本経済に直接与える打撃は考えるほど大きくはない。自動車やビールなどは(貿易規模から見れば)象徴的な部分が大きい」(京郷新聞・電子版)と伝えたものの、一部のコンビニが日本産ビールを棚から撤去した。誰でも手軽に購入できるビールは不買行動を示しやすいため、象徴として扱われたとみられる。それでもビールの輸入額は急減し、20年に567万ドル(約9億円)にまで落ち込んだ。 不買運動に続き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う逆風にも見舞われたが、日本からのビール輸入額は21年以降、徐々に回復。25年は、18年の記録を超える7915万ドル(約126億円)となり、7年ぶりに過去最高額を更新した。