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エミヤ、カステラをつくる/Novel by ケピ

エミヤ、カステラをつくる

22,692 character(s)45 mins

あらすじ

ノッブと沖田にカステラをリクエストされたエミヤ。しかしカルデアにはもう卵が無かった。
そこへちょうど、これから素材集めに行くとマスターが、坂田金時、酒呑童子、茨木童子を連れてやってきた。
翼竜の島へ竜の牙を探しに行くという。
エミヤはふと思った。
翼竜の島ならば、アレが手に入るかもしれないと。

雑記

いつの間にか前回投稿してから一ヶ月たってた。はやい、人生はやい。
FGOを遊びながら、プレイの感想とか書きながら妄想を投稿したいのに間に合わない。
CCCイベントは楽しかったし、リップちゃんがお迎えできた。嬉しい。
リップちゃんとイバラギンってめっちゃ友達になれそうじゃね?と思うこのごろ。
異形のモノどうしだし、身体にコンプレックスもってるし。隠密行動が得意どうしだったりと。
ゲーム的にもバスターアタッカーだし、ロケットパンチどうしだし。
羅生門は最終日の狂の秘石がありがたかった。ありがとう茨木ちゃん。二枚目も来てくれてありがとう。
貯めた石160個くらいを全部使ったけど、酒呑ちゃんはこなかったよ。
すり抜けでベオウルフとバーサーカーが来たよ。
使ってみると分かるだけど、パッションリップさんの使用感ってなかなかバーサーカーなんだよね。
うん、我が家はバーサーカーだらけだね。
次のイベントは鬼が島。はじめてだからうれしい。
バーサーカー引き寄せの法則で金時と頼光きてくれないかな。
石は二つしかないけど。
夏に水着イバラギンがでたら本気出す。

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* エミヤはヤカンに水を入れて火にかけた。朝食が終わり食堂は静かになった。コンロの火を横目に、洗い終わった食器の水気を布巾で拭く。食器の洗い物はカルデアのスタッフも手伝ってくれたが、後片付けの仕上げは自分でやりたい。道具は定位置に戻しておきたいからだ。 ガラス製のティーポット、グリーンティとラベルが貼られた銀色の密封パックを棚からとりだす。食後に一杯の緑茶が飲みたかった。 紅茶の種類は豊富に揃えられていた。ダージリンだけでもファーストフラッシュ、セカンドフラッシュの二種類。ただしこれは所長の私物だったらしい。他にもアッサム、アールグレイといった定番から、ローズヒップ、カモミールといったハーブティーまで。 しかし緑茶はどうだ。グリーンティが一種類あるだけだ。もちろん急須はない。 湯がゴポゴポと沸きだしたので火を止めた。沸騰が少し落ち着いたらティーポットに注ぎ、ポットを温める。ポットが温まったらマグカップにその湯を注ぎ、カップを温める。 湯の温度は茶の味を決める。紅茶は熱湯が好ましいとされ、緑茶は七十度から八十度と少し冷ました湯が良い。玉露に至っては五十度と極低温で抽出する。煎茶であるということ以外は、産地もなにもわからないこの安物のグリーンティは少し高めの温度で淹れる。 ティーポットに茶葉を大さじで一杯いれた。 「エミヤさーん。お茶淹れるなら沖田さんにもくださーい」 沖田総司が食堂側からカウンター越しにキッチンに顔をだして言った。 まだ茶葉に湯を注ぐ前だ、一杯も二杯も変わらない。お湯は足りる。ティーポットに、もう一杯の茶葉を入れる。 「儂も儂も 儂もじゃ」 織田信長の大声がキッチンまで届いた。 「自分で淹れたまえ。私は君たちの小間使いではない」 茶葉をさらにもう一杯加える。棚から湯のみを二つだす。どこで手に入れたのか、信長たちは妙に侘び寂びのある湯のみを持ち込んでいる。彼女たち専用だ。ヤカンに残っていた湯をこの湯呑のみにも注ぐ。湯が冷めすぎないよう、少しカップを温めたらすぐに、湯をティーポットにそそぎ入れた。  湯はすぐに緑色に染まった。茶葉が湯の中を上下に泳いだ。細かく粉末のような茶葉は舞い上がりいつまでも漂う。 ティーポットとカップをトレーにのせて食堂へ運んだ。 「うむ御苦労」 「ありがとうございます」 エミヤはいまだに、本当にこの少女たちが織田信長と沖田総司なのか、と疑ってしまう。  黒く艶のある長い髪の少女が織田信長で、色白で日本人離れした髪の色をした華奢な少女が沖田総司だというのだ。 「なんだね。君のその格好は」  エミヤは茶をそれぞれのカップに少しずつ回しながら注ぎ、信長を見て言った。 「まあ、ぐだぐだするのが儂の仕事みたいなところあるし」 織田信長は Buster! と書かれた赤い-シャツを着て、椅子の上にあぐらをかいて座る。 「ノッブは基本だらしないですよね」 そう言った沖田総司は Quick!と書かれた-シャツを着ている。新撰組の局中法度には服装に関する規定はないらしい。 二人は茶をずずずっと音を立てて啜った。こういうところは日本人らしい。 「エミヤさん、お茶菓子はないんですか」 「沖田にしては良いこと言った 茶には茶菓子がいるじゃろ。利休も言ってた」 なんと図々しい。  エミヤは席に座るタイミングを逃したような気がして、立ったまま茶を啜った。 「そうだ エミヤさん カステラ作ってくださいよ カステラ」  沖田総司がいい案をひらめいた、とばかりに声を上げた。 「かすてらか。儂も久しく食っとらんな」 「ほう、君もカステラを食べたことがあるのか」 「儂を誰だと思っておる。第六天魔王、織田信長にあるぞ」 信長は大げさに見栄をきった。 「たぶん儂が日本人で初めてかすてらを食った日本人よ」 カステラは安土桃山時代にポルトガルの宣教師から伝わったとされている。当時の支配者であり、舶来ものを好んだ織田信長がカステラを食べていたとしても確かに不思議はない。 「南蛮人から献上されたんじゃ。小金色で、さくっとした食感で甘いやつじゃろ」 「えー ノッブの食べたそれ、本当にカステラだったんですか カステラって言ったら〝さくっ〟じゃなくて、〝しっとり、ふわっ〟ですよ。ねぇ、エミヤさん」 カステラの語源はスペインのカスティーリャ地方にある。原型はスペインのビスコチョといって、硬く焼いたパサパサしたパンの一種だった。水分が少なく腐りにくいので大航海時代にはスペイン海軍が航海用の保存食として船に積んでいた。その後も長距離の航海には欠かせないものとなっていく。 大航海時代をへて植民地から砂糖か容易に手に入るようになると、こうした硬いパンから派生して、砂糖をふんだんに使った菓子パンがつくられるようになる。これが日本にカステラとして伝わった。 当時のカステラは原型のビスコチョに近く、サクッとした食感だったらしい。現代の日本で食べられている、しっとりふわふわの食感は明治時代に水飴が加えられるようになってから生まれた。幕末を生きた沖田が食べたカステラは、既に現在の形に近かったのかもしれない。 カステラ一つに歴史とロマンがある。 カステラを初めて食べた織田信長が生まれたのは年。スペイン海軍を落としたフランシスドレイクが生まれたのは年。その差は僅か九年。 きっと二人は同じような素朴な甘さのカステラを食べていたに違いないのだ。 「なにニヤニヤしておるんじゃ。気持ち悪い。して、エミヤよ。お主はかすてらを作れるのか」 「無理だな」 「えっ エミヤさんカステラ作れないですか」 「ぷぷー。ダサいのお。大したことないのお。期待はずれじゃな」 織田信長は膝を叩いて笑った。 「儂のお抱えの料理人なら、かすてらなぞいとも簡単につくったろうよ」 「でも意外ですね。エミヤさんなら、なんでも作れると思ったのに」 「無論、カステラを作るのは簡単だ。砂糖と小麦粉と卵しか使わないシンプルな菓子だからな」 「負け惜しみはよい」 カステラを作ったとしても貴様にはやらん。  そう思いながら、織田信長を無視して沖田総司に向かって続けた。 「だが、その材料が足りない」 「材料ですか」 「卵だ」 卵は長期間の保存ができない。 卵の消費期限は、季節にもよるが、常温なら二、三週間、冷蔵庫なら三ヶ月ほどである。冷凍庫でも保存できるが、食感が著しく変化してしまううえに、冷凍しても保存期間は常温とさしてかわらない。 普通の生活をしているなら、一ヶ月もてば長期保存できているともいえるが、ここは雪山の奥だ。最低でも一年は持つ食品でないと長期保存できているといいがたい。  物流の途絶えたカルデアでは卵の在庫がもうない。 「かあー。言い訳は見苦しいのお」  信長の夕食は冷や飯に決まりだ。 エミヤはまだ温かい茶を飲み干した。 「エミヤー。ちょっと悪いんだけど、今からすぐに、サンドイッチとか何か作れる」  マスターが そう言って、食堂へ入ってきた。  マスターは今から本日の素材集めに出発するようで、そこへランチを持っていきたいとのことだった。 「無論だ。すぐに用意しよう」  マスターは三人のサーヴァントを連れていた。今日のパーティーメンバーだ。  金髪の大男と小柄な少女が二人。少女は二人とも頭に二本の角が生えている。 金髪の大男の名は坂田金時。織田信長と沖田総司が女性であることに比べれば、坂田金時が金髪でアメリカンでゴールデンでも驚くには値しない。 角の生えた少女は酒呑童子と茨木童子。京都の大江山に住むと言われた鬼だ。 「しかし彼らと行くなら、サンドイッチよりおにぎりを用意したほうがいいだろう」 「あっ、そうだね 流石エミヤ」 なにせ日本人だらけだ。 エミヤはキッチンへ入り、手を洗い直した。手に塩を振り、朝飯の残りのごはんを三角に握った。人数分のおにぎりをラップに包み、ランチボックスに入れた。ついでに水の入った水筒。麦茶の入った水筒。脱水症状にならないよう、ビニール袋に小分けした塩をすこし用意した。こんなもので充分だろう。おっと、お手拭も入れておこう。  旅用のリュックサックに全てしまい食堂へ戻る。 「なぜこんな小僧と……吾と酒呑がいれば十分であろう」 食堂では燃えるような金髪をもつ少女、茨木童子が不平を漏らし続けていた。 「うるせぇなあ。それを言うならオレっちだけで十分だっつーの。お前らみてぇな鬼が二人一緒のほうが危なくていけねぇ」 と、坂田金時が言った。  もう一人の鬼、酒呑童子はというと、何を言うでもなく、うっすらと笑いながら徳利の酒を煽っている。 「今日はワイバーン狩りに行くからね。バーサーカーの二人とアサシンクラスの酒呑ちゃん。ぴったりでしょ」 目標のワイバーンはライダークラス。アサシンクラスなら有利がとれる。バーサーカークラスは相性を問わない。クラスタイプだけで言えば確かに合理的な選択だ。 「いってらー」 と-シャツ姿で、ぐだぁっと食卓に伏した沖田総司が茶を片手に手を振った。 「『いってらー』じゃないよ 沖田さんためにの竜の牙を集めにいくんだよ」 沖田総司はマスター勢いある反論に、 「す、すみません」 とたじろいだ。 マスターはこのところ連日のように竜の牙集めに奔走していた。 竜の牙。ということは本日の行き先は翼竜の島だ。 「私も同行しよう」 エミヤは、弁当を入れたカバンをマスターに渡して言った。 「えっ」 「別に構わんだろう」 「うん、別に問題はないけど」 翼竜の島。暖かく海に囲まれたあの島なら、アレが手に入るかもしれない。 エミヤの狙いは定まった。

第三特異点封鎖終局四海オケアノス。A.D1573年のどことも言えない海。  既にこの世界は定礎復元され安定していた。 マスター他四名は無事にレイシフトを完了し島の浜辺に降り立った。 ここは翼竜の島。竜の一種であるワイバーンが多く生息することから、便宜上カルデアではそう呼んでいた。 「はーい。みんないるね」 マスターがサーヴァント達を指差して数えた。稀に一緒にカルデアを出たはずのサーヴァントが居なかったり、他のサーヴァントに入れ替わって居たりするから油断できない。 「これから一日、ワイバーン退治を行います。竜の牙を集めるからね」 竜の牙とはその名の通り、ワイバーンやドラゴンといった竜種の歯だ。ただし、歯ならなんでもよいというわけではない。牙はサーヴァントを強化する霊基再臨の儀式に用いられる。そのためには強い魔力を帯びた牙に限られるのだ。こういった牙が見つかることは稀で、十匹のワイバーンから一本の牙を見つけられたのならば幸運であった。 「で、大将。今日はどうすんだい また島を上に登ってく感じかい」 巨大なマサカリを担いだ金時がマスターに尋ねた。 島は大きな岩山群からなり、頂上は平らな台地となっている。波に削れてできたと思われる切り立った岩壁が浜からはよく見えた。 立っているだけで汗が吹き出るほど、島は温暖で湿潤だ。植物は旺盛に繁茂する。背の高い木、背の低い木、木々に絡みつくツタ類、多様な植物に島は覆われる。 「とりあえず島の頂上を目指しながら登って行こう。道中見つけたワイバーンは倒して行く、という方針で」 とマスターが行程を決めた。 「オーケー。本日もゴールデンにいこうぜ」 「なにがゴールデンか。阿保丸出しだな」 声を張り上げた金時に反応して茨木童子が呟いた。 「んだよ 文句があんなら面と向かって言いやがれ」 「なにがゴールデンか。阿保丸出しだな」  茨木童子は金時を眼と見据えて改めて同じことを言った。 「なんだこのやろう」 「まあまあ、喧嘩しない。とにかく登ってこ」 マスターが金時と茨木童子の二人を諌めた。 砂浜が途切れると深い密林がはじまる。 森の中を坂田金時が先頭をとって歩く。m近い体躯に白いシャツと金髪のおかっぱ頭は、生い茂る森の中でいい目印となった。巨大なマサカリ振り、道を遮る草や枝を払って進む。 金時の後ろを歩くのは酒呑童子。小柄で歩幅が小さにもかかわらず、金時の後を少しも遅れない。森の中を軽く跳ねるようについていく。幅広で刃渡りの長い両刃の剣を肩に担ぐ。酒呑の名の通り徳利と瓢箪は肌身離さない。 酒呑童子に並んで行くのは茨木童子。身の丈程の大きな妖刀を片手で持つが、重さをまるで感じさせない。足取りは軽く、羽織る着物の袖が舞うと、森の中を飛ぶ蝶を彷彿とさせる。 三人の後ろに少し遅れてマスターがついて行く。そのすぐ後ろ、最後尾にエミヤがつく。 「大将ぉ 大丈夫かぁ ペース早ぇかぁ」 先を行く金時が振り返って叫んだ。 「ちょっと早いけどっ、大丈夫ー」 とマスターは叫び返した。大声に息を持っていかれたのか、深呼吸をして呼吸を整える。 「流石、山育ちは早いなあ」 浜からしばらくはなだらかな道が続いくが、突然に急な坂道となる。坂をよじ登って行くと、頂上は平らな台地になる。そこからさらに隣り合う山を目指してまた急な坂道を登る。こうした道をいくつか繰り返して、島の中央の山の頂上を目指していく。 森の中で木々は少しでも太陽の光を浴びようと広く枝葉を伸ばす。地面まで届く陽光は少なく、土は黒く湿ったままでぬかるむ。自然と倒れた木がそこら中に横たわり、表面には苔がはびこる。 「すべるぞ。足元に気をつけたまえ」 「ありがとうエミヤ。……よいしょっとっ」 マスターは立木に捕まり、一歩ずつ踏ん張り登る。足場は悪く掴んだ木は体重でたわんだ。 「それで、エミヤの目的はなんなの」 「なんのことかね」 「だってエミヤが自分から素材集めに行くって言い出すなんて変でしょ」 マスターは垂れ下がるツタを掴んでまた一歩登った。  ツタが体重に耐えきれず、ずるっ、と木から滑って切れた。 「うおっっと」 バランスを崩し、倒れそうになったマスターの腰をエミヤは抱えて支えた。 「なに、危なっかしいマスターとの絆を深めようと思っただけのこと」 エミヤはマスターを抱えたまま言った。 「危なかった。ありがと」 マスターは足元を確かめるように地面を踏んだ。また一歩と斜面に踏み出すと、エミヤに言った。 「……ねぇ。エミヤがついてきた目的、当てて見せようか」 「ほう」 面白い。 「さっき食堂で何かがあった」 それでは正解とは言えないな。マスターは探るように続けた。 「料理に関することだ」 まだまだ。 「うーん、竜の牙って聞いて反応したような気がするんだよね。じゃあこの翼竜の島で欲しいものがある」 それは正解。 「ははーん、わかった。ワイバーンの肉でしょ ワイバーンステーキをノッブに頼まれた どう!?」 「残念だがハズレだ」 そもそもワイバーンの肉など食べられるのか  その口ぶりからマスターは食べたことがあるのかもしれない。 正解は出ないまま、一つ目の山の頂上についた。 「頑張ったな大将」 先に頂上に着いていた金時が最後の一歩を登るマスターに手を伸ばした。 茨木童子は腕を組んで立ち、おそいぞ、と言いたげな目線をよこす。 「こういうのをピクニックっていうんやろかね 天気もええし」 酒呑童子はそう言って瓢箪に口をつけた。 山の頂は開けていた。高い木が茂っておらず、空がよく見え、太陽の光が明るい。 目指す山の頂上はまだ遠くに見え、その上空にはワイバーンが舞う姿が見えた。 「けどよ大将。疲れたとこ悪ぃが、まずは一匹目が来たみたいだぜ 指示をくれ」 「大丈夫。わかってる 作戦はガンガンいこうぜ」 今いる場所のような開けた山頂は全てワイバーンの縄張だ。ここでワイバーンは羽を休め、翼を広げて日光浴をする。 前方上空からワイバーンが翼を広げ滑空するように降りてきた。 「後方は気にしなくていいよ 自由に暴れて」 「よし どらあ」 金時が跳躍してワイバーンを宝具『黄金喰い』で切りつけた。 ワイバーンも一撃ではひるまない。 「おらおらっ」 金時はワイバーンに接近したままマサカリを振り回す。 「おーい。小僧おー 気ぃつけえ。伏せたほうがええよおー」  金時から後方、離れたところで酒呑童子がゆるりと叫んだ。 「くはははっ もろうたぞ」 茨木童子が右手をワイバーンに向かって右手突き出した。右手に炎が集まり、燃え滾ったかと思うと、真っ赤な炎が巨大な右手の形を成して放たれた。 鬼の巨大な右手は大きく開かれ、人も竜も丸呑みにせんと、ミサイルのように一直線にワイバーンに向かって飛んで行く。 酒呑童子の声を聞いた金時はとっさに伏せた。茨木童子の放った右手は金時の背中をかすめてワイバーンを掴んだ。そのまま視界の外まで木々をなぎ倒しながら吹き飛んていった。 「茨木 てめぇ、今のロケットパンチ、オレっちごと狙っただろ」 「なんのことかわからんなあ。証拠でもあるのか」 「こぉんのクソガキぃ。この背中を見ろ 背中を ちょっと焦げてんだろが」 「餓鬼だと この 誰が餓鬼か 一緒にするな」 「まあまあ。まあまあ。二人とも落ち着いて、落ち着いて」 マスターが今にも殴り合いを始めそうな二人の間に入った。一応はマスターの言うことは聞くようで、二人とも睨み合ったままで殴り合いにはならなかった。 「はぁ、喧嘩ばっかりして。ねぇ酒呑ちゃん。二人は一緒じゃないほうが良かったかな」  マスターは酒呑童子に耳打ちをした。 「そないなことあらへん。こない仲良しな二人が見れて、ウチは楽しいわ」 「仲良いかな」 「仲良えよ」 どうみても犬猿の仲にしか見えないがな。 エミヤがそう思って彼らの様子を見ていると、ふとエミヤの耳に、森の奥からハッキリと鳥の声が届いた。  しゃがれたような、昔どこかで聞いたことのある鳴き声だった。日本語でいうなら、コケコッコーと言えるような鳥の声だった。  やはりいたな。 ワイバーンとの戦いの騒ぎに反応して威嚇の声を出したか エミヤは声のした前方森の中に目を凝らしたが、まだその姿は見えなかった。 *

「こういう悪ガキはなっ、一発拳骨くれてやらねぇと駄目なんだよ」 頂上で二匹目のワイバーンを倒し、次の山へ向けて進む途中であった。 「もー。ちょっと金時も落ち着いて。茨木ちゃんも挑発しない」 ことあるごとに、金時と茨木童子が喧嘩をはじめるものだから、なかなか行程が進まなかった。 「こりゃもう仕方ないね。エミヤ、控えから出て先頭歩いてもらっていい」 「すまないが、私は少しの間、単独行動をとらせてもらうよ」 「へっ」 悪いなマスター。どうやら目的の獲物を見つけられたようだ。 「はいっ えっちょっ エミヤっ!?」 マスターの声を背中で聞き、エミヤはその場を離れた。 なに、実力で言えばワイバーンの一匹や二匹など彼らの敵ではない。 森の中の鳴き声の元へ近づく。相手にこちらの気配を気付かれたのか鳴き声が止んだ。エミヤは足を止め、耳をすませて気配を探った。素早くあたりの樹上を見回し、緑に茂る葉の中に目を凝らす。  そして見つけた。 赤色野鶏だ。  赤い羽毛、黒く長い尾羽、姿形は家禽のニワトリにそっくりだ。野鶏、野生のニワトリ、つまりニワトリの原種だ。  ニワトリという鳥は八千年程前に家畜化されたとされる。元々は東南アジアや中国の南部に生息していた。数は減ったが、年現在も東南アジアの島々で生きた姿を見ることができる。 幾多の海が混じり合う奇妙なこの海なら野鶏も生息するに違いない。そう思っていたエミヤの読みはあたった。 「トレースオン」 エミヤは弓を投影した。何も握られていなかったはずのエミヤの手のなかに、弓と矢が現れた。エミヤは弓を構え、矢を弦にかけた。 野鶏はこちらの気配には気づいているが、姿を見つけられていない。 ギシっと弓が軋む。張り詰めた弦に力がたまる。  指を離す。矢は空気を裂いて飛び、野鶏の頭を撃ち抜いた。野鶏はドスと音を立てて木の上から茂みへと落ちた。 矢の突き刺さった野鶏は長い尾羽と充血したトサカを持っていた。これは繁殖期の雄鶏の特徴だった。 この雄鶏は昼飯にしよう。エミヤはナイフを投影した。雄鶏の首を裂いて、足を持って逆さに吊るし血抜きをする。 雄鶏がいたということは、雌鶏がいる可能性も高いはずだ。 そして本命の卵も。 離れたところから轟音が聞こえた。先ほどマスターたちのいた方向からだ。雷の落ちたような、弾けるような轟音だった。 金時の宝具だな。  激しい音に驚いた小さな小鳥が樹上から一斉に飛び出した。兎、ネズミ、小さな動物も音と反対方向に向かって走り出す。 エミヤは森の気配に集中した。鳥、虫、獣。  二度目の轟音が鳴った。 見つけた。  二時の方向30m先。堪らず草薮から顔をだしたか。 弓を射った。 エミヤは草を分けて、打ち取った獲物を確かめた。打ち取った獲物は雌鶏だった。  すでに力なく倒れた雌鶏の身体の下に卵はあった。卵の殻の表面はざらつき、今朝の産みたてに思われた。

「おう旦那もう終わったぜ」 マスターのもとへ戻ったエミヤに金時が声を掛けた。 「エミヤ 急にどっかに行くのはホントやめて 焦るでしょうが」 マスターはエミヤの姿を見るや声を荒げて言った。 「アーチャーは単独行動のスキルを持つ。私に限らず注意しておいたほうがいい。何、君に危険はないと判断したから離れたまでのこと」 マスターは納得がいかないと言いたげに、眉間にシワを寄せた。 「竜とは違う血の匂いがするな」 と茨木童子が倒れたワイバーンから刀を抜いて降りてきて言った。 「ほう、赤い人よ、美味そうなものを持っているな。そろそろ吾も腹が減ってきたぞ」 エミヤの右手には野鶏が二羽、左手には卵が三つ抱えられていた。 「そろそろお昼にしよっか どうする ここで食べる」 背負ったカバンを下ろそうとするマスターの手に大粒の水滴が当たった。 空を見上げると、厚く黒い雲が広がりはじめていた。刺すようだった太陽光は消え、もう日が落ちる時刻かと思うほど暗くなった。身体にひんやりと冷たい風がぶつかる。 夕立だ。いやスコールといったほうが正しいか。 「カミナリ様のお通りだな。大雨が来る。どっかで雨宿りしようぜ」 金時が空を見上げ、サングラスを上にずらして雲を見て提案した。 雨雲はあっという間に島を覆った。雲は今も海から空へと生み出され続けているのか、黒さと厚みを増し続ける。落ちる雨粒はどんどん大粒になった。水滴という水滴が視界を埋め尽くした。 この先に岩壁に洞窟があったはずだというマスターの指示に従って、豪雨の中を走った。 マスターの言う洞窟へはすぐに辿り着いた。洞窟は巨大で岩壁が裂けたという風であった。入口の幅は広く、広いままに奥まで続く。天井も高く、屈まずとも立ったまま入れた。ジメッとはしているが、雨は流れ込んではこない。 洞窟に来るまでのわずかの間に、皆ひどく雨に濡れた。とりあえずはこれ以上濡れなくてすみそうだった。 服を乾かすためにも、暖を取るためにも、火が必要だった。枯れ枝を森から拾い集めたかったが、大雨なので洞窟の中で燃やせるものを探した。風に吹かれて洞窟の中に溜まった枯葉や小枝を集めた。エミヤは火を起こすように、濡れた頭をぶるぶると振る茨木童子に頼んだ。 焚き火から昇る煙は洞窟中にこもらずに、天井をつたい外へ抜け出ていった。 「びしょびしょだけど、昼ごはんにしよっか」 マスターはそう言って、カバンから今朝エミヤが作ったおにぎりを出して配った。 それぞれおにぎりを受け取ると、焚き火を囲んで座った。 「マスター。少しこれを持っていてくれ」 エミヤは野鶏の卵をマスターに手渡した。 「何これ」 「そうだ。食べないでくれよ」 エミヤは宝剣、干将を投影した。包丁の代わりだ。 では捕まえた野鶏を捌くとしよう。 大きめの石を見つけ台にする。途中で摘んでおいた大きな葉を何枚か敷きまな板の代わりにした。 まず鳥の頭落とし、羽をむしる。羽はしっかりと皮についているのでなかなか手間がかかる。細かい毛は取りきれないので、鳥の表面を火で炙って処理する。  内臓を処理するため、腹から縦に刃を入れ、垂直にさく。膀胱や腸を破かないように気をつける。内臓にも食べられところがあるが今回は捨てることにする。洞窟の中は不衛生で、しっかりと洗浄することができないからだ。 「マスター。水の入った水筒をとってくれ」 内臓を下に敷いた葉の上に取り出す。空になった鳥の腹を水筒の水すすぐ。 内臓は後で穴を掘って埋めておけばいい。 「それは捨てるつもりか」 横で見ていた茨木童子が内臓を指して言った。 「ならば、吾によこせ。汝は臓物が一番美味なるのを知らぬのか 特に脳みそと肝がうまいのだぞ」 皿はないので茨木童子の両の手に内臓をぼどぼどと載せた。 野鶏の足を落とし、関節に刃を入れ、腱を切り、骨を外し、ブロック大に切る。皮はついたままでいい。  ここまで処理が進むと、よく見慣れたチキンと変わらない。その肉を削った枝にさせば、一応は串焼きの形が整う。手持ちの調味料は塩だけしか無いの残念ではある。  串を焚き火のそばの地面に突き刺し、皮のついた面を先に火にかざして焼く。安全のために、火をしっかりと通して完成だ。 「ふーむ。流石は赤い人。手際がいいな」 エミヤの横で鬼が口の周りを赤く汚し、クチャクチャと口を動かしながら言った。 「雨の音凄いね。雷も鳴ってる」 マスターが外を見て言った。 「心配いらねぇよ。ちょっとカミナリ様が通りかかってるだけだ。すぐお天道様が戻ってくるさ」 金時は濡れたシャツを着たまま焚き火のそばに座り、火に炙られる鳥串を覗く。 「あぁ、ほんまに、いややわあ。お着物がこない濡れてもうたわ。こら脱がな風邪ひいてまうわー。ほんま脱がなあかんわー」 金時の隣に座った酒呑童子はわざとらしくそういうと、帯をほどいて紫色の着物を脱いだ。 「おいっ バカっ 服は着てろよ」 「せやけど、濡れた着物は冷たいわ。あー寒い寒い」 と、酒呑童子の方を見ようとしない金時に擦り寄る。 「酒呑よ。寒いなら吾の着物を羽織るか それとももっと火を強く燃すか」 「小僧に暖めてもらうさかい。茨木は着てたらええよ」 と酒呑童子は茨木童子の方を向いてニッコリ笑う。 「ほら、小僧も脱ぎや。それとも脱がしてほしいんか」 酒呑童子は太ももと太ももが触れるほど金時の近くに寄って、金時の顔を覗き込んだ。 「があー。やめろっ くっつくなっての」 金時は顔を酒呑童子から目一杯そらす。  着物を脱いで肌を晒す酒呑童子に触れることが躊躇われて、押し返すことができない。 「なあ酒呑よ。そんな筋肉金色こけし頭よりも、吾が暖めてやるぞ なあ」 「えー。遠慮するわ。茨木の手ぇ、べとべとなんやもん」 茨木童子の両手は先ほどつまんだ、鳥の臓物でべったり汚れていた。茨木童子は酒呑童子の言葉にショックを受けたのか、雨で手を洗い出した。 そんな三人の様子を見ていたマスターが、思い出したようにエミヤを向いて言った。 「卵だったんだね。エミヤの目的は」 「正解だ」 「何を作るの」 「カステラを作ろうと思ってね」 「ノッブと沖田さんのリクエスト」 「ああ。織田信長は日本で初めてカステラを食べとうそぶいていたよ」 「あはは。何それ本当」 とマスターが笑う。 「あーもう お前らはそっち 俺はこっちに座る こっち来んなよな」 そう言って金時は立ち上がり、マスターのすぐ側に座わり直した。いつの間にか上半身は裸だった。 「あいつらにはほんと困ったもんだぜ。まったく。おっ、卵まであんのか。オレっちも一つもらうぜ」 「待ち……」 エミヤが待ちたまえと言うまもなく、金時は卵を掴むと、自身の額にコツと当てた。そのまま器用に片手で卵の殻を開いて口の中に中身を落とした。 「うん。これまたウメェな。新鮮だし、味が濃い」 全くもって滑らかな動作で卵が一つ食べられてしまった。 悔しいが、食べられてしまったものは仕方がない。まだ卵はあと二つ残っている。卵が二つあれば小さいながらもカステラは作れる。それでよしとしよう。 「金時。貴様だけ何を食うておる。どれ、吾も一つ頂戴するとしよう」 とマスターの横から赤い手がすっと伸びたかと思うと二つの卵が取られた。 茨木童子が卵の一つを酒呑童子に手渡すと、二人とも掴んだ卵を金時の頭にコツンと当てて殻を割り、金時と同じようにつるんと口の中に中身を落として食べた。 「こら ぶつけんなら額にだろが 髪の毛がべたべたになるだろ」 ほんの数秒の出来ことだった。エミヤが静止する暇はなく、卵は全て食われてしまった。 「どうした旦那。口開けて。固まってんぞ」

「ほっんと申し訳ねぇ」 「いやいいんだ。謝る必要はない」 卵の調達はエミヤの私用にすぎない。たかだか菓子をつくるための卵だ。それを食べられたからといって、怒るようなまねはできない。 とは言え、どうしたものか 卵がなければ、カステラは作ることができないのだ。 それに、この雨だ。改めて卵を探すことは困難であった。 すまねぇと繰り返す金時に、気にするなとエミヤは繰り返す。 「そう言ってもよ、なにかに使うつもりだったつーじゃねえか」 「ああ。カステラを作ってくれと頼まれてね。それに使うつもりだったんだが」 「カステラ」 「そうか平安時代にはまだないか。焼き菓子さ。小麦粉と砂糖、そして卵で作るんだ」 「……菓子だと」 焼き上がった鳥の串焼きを頬張っていた茨木童子の動きが止まった。 「それ、マスターは食べたことあんのかい」 と金時がマスターに尋ねた。 「もちろんあるよ。卵の黄色が鮮やかで、黄金色なんだよ。それこそゴールデン って感じ。しっとりアンドふわふわな食感に、優しい甘さでお茶菓子にもぴったりなんだよ」 「なん…だと…。そんなゴールデンな菓子がこの世にあんのかよ」 「しっとりふわふわの菓子だと おいっ 吾もそのカステラとやら食いたいぞ」 「いや、だから卵がないから作れんのだよ」 酒呑童子は何も言わず、座って焚火に当たり、瓢箪から酒を飲んだ。 「小僧 汝が卵を食ろうたせいで、カステラが食えなくなっただろうが」 「なっ ふざけんな てめぇだって食っただろうが」 「先に食ろうたのは、汝だ。汝が食わなんだったら、吾も食わんかったわ」 「嘘つけ。オレっちが食わなかったら、おめぇは三つとも食べただろが 鬼ってのはそういうやつだ」 と金時。 「それにこいつだって食っただろ」 と酒呑童子を指差す。 「せやな。すまんな」 「酒呑は謝らなくともよい。好きなときに好きなものを食べる。それが酒呑だ」 そう言って茨木童子が胸を張った。 「エミヤの旦那。オレっちが責任もって取ってくるからよ。ちょっと待っててくれや」 金時がエミヤに言った。 「しかし、この雨では無謀だ」 「もうすぐやむさ。そしたらぱぱっと、取ってくるからよ。茨木童子 おめぇも責任もって一緒に探すんだからな」 「吾に指図をするな、かむろ頭の筋肉ゴリラ 誰が行くものか」 茨木童子はそう言うと、ふんっと鼻息を鳴らして洞窟のさらに奥へ向かって行ってしまった。 「イバラギーン。あんまり遠くに行くと危ないよ」 と、マスターが茨木童子の背中に声をかけた。 「吾より危ないものなどあるものかっ これ以上そんな奴のそばにはおれん。顔を見ておるだけで胸がムカつくわ」 と茨木童子の声が洞窟に反響して返ってきた。 「心配せんでも、暫くしたら戻ってくるやろ」 酒呑童子は二本の焼き鳥を食べる終えて、また酒を一口飲むと横に寝そべった。

焚き火は燃え尽き、微かな風が洞窟に入り込むと、灰が舞った。雷は鳴りを潜め、雨音は弱まった。雲はところどころ薄くなり、千切れた。帰ってきた太陽の光が、今がまだ昼過ぎであったことを思い出させた。 「イバラギン戻ってこないね」 マスターが灰に土をかぶせ、そう言ったちょうどそのとき、 「くははは、待たせたな」 茨木童子の声が洞窟の奥から響いた。 「良かった。そろそろ探しに行こうかと……って何それ でっか」 「驚け驚け これを見よ これを」 戻ってきた茨木童子は両手で抱きかかえるようにして、何かを持っていた。形は鶏卵と同じ楕円形だが、卵にしてはあまりも大きい。茨木童子の姿は隠れ、抱える手と足しか見えない。 「奥で見つけたのだ」 そう言う茨木童子の顔は見えないが満面の笑みに違いない。 「赤い人よ どうだ この卵があれば、先ほどの卵の代わりになるのではないか」 「これは……卵なのか」 鳥類最大の卵はダチョウの卵だ。その大きさは鶏卵のおよそ20倍もあるが、それでもダチョウの卵はボーリングの玉よりも小さい。茨木童子の抱える卵はボーリングの玉よりも遙かに大きく、人間の子供が膝を抱えれば中に入ってしまいそうなほど大きい。一体鶏卵の何倍の体積を持つのか想像がつかない。 「でも確かに形は卵っぽいね。もしかしてワイバーンの卵とかかな」 「わからん」 わからん。 しかし、卵の正体は正確にはわからないが、食べられるかもしれない。 仮にワイバーンの卵だとしよう。ワイバーンは竜の一種だ。竜は恐竜に近いように思える。恐竜と鳥は非常に近い。鳥というのは恐竜のなかの獣脚類という一派から進化したと考えられている。鶏なども、脚部をよく見るとゴツゴツとしていて、恐竜の面影を残している。鰐やトカゲは、より古くに恐竜と鰐へ種が分かれていて、実は繋がりが薄い。 つまり、竜と鳥は近いので、竜の卵も鶏卵も同じようなものかもしれないということだ。 卵を抱える茨木童子の後ろから羊ほどの大きさの生き物が現れた。四本脚を地につけて歩き、身体は鱗に覆われ、背中には羽が生える。子供の竜であった。 「奥にいたのがついて来たのだ。こいつも捌いて食らおうぞ」 「この子、ワイバーンの赤ちゃんかな ちょっと怖いけど、かわいいね」 「マスター。小さいとは言え危険だ。あまり近づくなよ」  生え揃った太く鋭い爪と牙は生き物としての危険性を物語る。 とは言え、マスターがかわいいと表現するのも無理はなかった。茨木童子の抱える卵と子竜の大きさから想像するに、生後まもないように思われた。獰猛な生き物であろうとも、赤ん坊あることに変わりはなく、瞳にはまだ幼さを残していた。 「くははは。さすが吾。これは吾の手柄だな。のお、金時よ」 「……おいっ、茨木ぃ」 金時が静かに言った。 「ちょっと黙ってろ。そのまま動くんじゃねぇぞ」 「かかか。愉快愉快。よほど悔しいとみえる」 茨木童子は卵を抱えたまま笑い声を上げた。 そう、茨木童子はまだ気がついていないのだ。 「いいから、静かにしろ。大きな声をだすんじゃねぇ」 茨木童子は卵を地面にゆっくりとおろした。 「まことに愉快なことよ。……ん どうした。皆して固まって。なんだ金時。 マサカリを持って。お、おい、赤い人まで弓を構えて。顔が怖いぞ。な、なにをそんなに怒っておる」 茨木童子はまだ気がついていない。 すぐ背後の暗い空間に現れた光る二つの瞳に。 後ろ後ろと、マスターが指で示す。 「はぁ なんだあ 後ろか」 茨木童子が振り向くと同時に、雄叫びが轟いだ。 それは落雷よりも大きな爆音だった。 洞窟から全てを吹き飛ばさんとする息吹だった。 この洞窟はドラゴンの寝ぐらだったのだ。 ドラゴンはワイバーンと同じ竜種の一つだが、ワイバーンと比べ物にならない巨体を持つ。ワイバーンがセスナ機なら、ドラゴンはジャンボジェット機だ。それ程異なる。 ワイバーンは前脚、人間でいう手、に膜を張り翼とするのが特徴だ。丁度、コウモリと同じ形態だ。 一方、ドラゴンは四つ足をついて、背に翼を持つ。四本脚の子竜を見てすぐにドラゴンに気がつくべきだった。 「にゃんだこいつは」 卵を抱えあげて茨木童子が駆け出す。 それをドラゴン追って迫る。 狭い巣を好むのは生き物の習性だろうか。この洞窟が広いとはいえ、ドラゴンに取っては穴ぐらサイズだ。 これは幸運なことだ。 這い出てくるドラゴンの頭の位置は低い。エミヤの立つ場所からならば、急所である頭部を狙い射てる。 問題はない。一撃で仕止める。標準は定まった。あとは指を離すだけ。 「待ってくれ」 金時が大声をあげた。 エミヤは躊躇いから、ほんの一瞬、動きを止めた。 かまわずに射つべきだった。 ドラゴンが首を振り、雄叫びをあげた。ドラゴンの口内が灼熱に燃えはじめる。 「しまっ……」 僅かなタイミングの差だった。 矢を放つ機を逃した。間に合わない。 「小僧はほんま優しいなあ」 すっと紫の影が、エミヤの視界を横切った気がした。  次の瞬間、ドラゴンの巨体は弾き飛ばされていた。 エミヤは放たれることのなかった弓矢を構えたまま、ドラゴンの断末魔を聞いた。 大きな刃が突き立てられ、ドラゴンは絶命した。

「さすが酒呑」 「びっりしたー ありがとう酒呑ちゃん。 助かったよ」 「かまへん。かまへん」 酒呑童子は剣をドラゴンから引き抜いた。そこから血が延々と噴き出し、ドラゴンは全く動かなかった。 いつの間にか茨木童子が連れて来たドラゴンの子供の姿はなかった。戦いの間に巣の奥に隠れたのか、それとも外へと逃げたのだろう。 「……悪りぃ。オレっちのせいで、みんなを危険に晒しちまった」 金時がうつむいて呟いた。 「あ、ああ」 なぜ待て、などと言って止めたりしたのか、とエミヤは金時の行動を咎めるべきだと思った。が、珍しくうなだれる金時の姿に何も言えなかった。 マスターと酒呑童子はドラゴンの側にしゃがみこんで逆鱗を剥がす作業をしている。ドラゴンからは竜の逆鱗と呼ばれる希少な素材が採れるのだ。 雨や止んだせいか、洞窟の中は静かだった。マスターが逆鱗を剥ぐ音だけがよく聞こえた。 「……なあ茨木。その卵、置いていくわけにはいかねぇか」 沈黙を破って、金時が茨木童子に言った。 「はあ 何を言っておる。これは吾の戦利品だ。置いていくわけがなかろう」 「なんつーか、その、可哀想じゃんかよ」 金時がそう言うと、茨木童子は卵を置いて金時を睨みつけた。 「小僧。貴様、阿保だとは思ってはいたが、そこまで阿保だとは思わなかったぞ」 茨木童子の声は今までにない調子で、静かに冷たく響いた。 「いったい、どの口が可哀想だなどとぬかすか。命を奪い、命を喰らい、命を糧にして生きる。食うとはそういうことだろうよ。今しがた食ろうた鶏肉となにが違うと言うのか」 「そうだけどよ……そうじゃねぇんだよ。……そういうことじゃねぇんだよ」 金時はそれ以上言葉が出て来ないようだった。 「雨、すっかりやんだみたいやな」 酒呑童子戻ってきて、そう言った。

雨はすっかり止んでいた。黒く厚い雲はどこかに消え、青空が戻っていた。 「大雨のあとの山は崩れやすいさかい。今日はもう終いでええんとちがう」 「そうだね。今日はもう終わりによっか。カルデアに帰ろう」 スコールの影響なのか、カルデアとの通信状態が悪かった。そのため到着地点の海岸まで戻るということに決まった。 「帰りは私が先導しよう」 帰り道は容易というわけではない。山道は登りよりむしろ下りの方が危ない。筋肉へは下りの方が負荷がかかる。登り道の疲労から怪我もしやすい。 茨木童子は両手で卵を抱えるので、酒呑童子が茨木童子の妖刀も担いだ。 万全とは言いがたい状態なので、ワイバーンと出会わないよう道を選んだ。 金時は黙ったままだった。人一倍騒がしい男が静かだと、皆の口数も少なくなった。 黙々と進むと、行きの半分以下で海岸まで戻って来られた。 浜辺でマスターがマシュと連絡をとる。今度は通信が繋がった。 そこからは一瞬だった。熱帯の島から雪山の基地へ時間と距離を飛び越えた。 「おかえりなさい。早かったですね」 カルデアの食堂では、沖田と信長が朝と変わらない席で茶を啜っていた。 茶を啜る信長の横を、卵を抱えた茨木童子がキッチンへ駆けていった。 「なんじゃ 今、鬼は何を抱えておったんじゃ」 と信長がエミヤを見て尋ねた。 「卵だ。これからあの卵でカステラを作る」 「カステラ」 沖田総司が食卓から体を起こした。 「カステラ~ カステラ~ ふっふぅ」 「なんじゃ、沖田はそんなに踊るほどカステラが好きか」 「いやー、なんか思い入れがあるんですよ」 と、沖田。 「昔ですね、いつだったかなあ。病気が酷くなってきて、咳すると血がドバドバ出てきて、全然布団から起きられないころだったかな」 沖田は笑って続けた。 「土方さんがね、カステラをよく買って来るんですよ。『美味そうに見えたが、甘くて食えねぇからやる』とか言って」 「アホじゃなー、あいつは」 「ですよねー。もしかすると同じ黄色だから沢庵と見間違えた可能性ありますよ。あっ、みなさんお疲れ様でした。どうぞ座って座って。あっお茶飲みます」 マスターと酒呑童子と金時は信長たちの座る食卓に座った。 「三番煎じ、じゃがな。どのみち沖田の淹れる茶は不味くてかなわん」 「はぁ~ ならノッブが淹れてきてくださいよ」 「儂は本格派じゃから こんなヘンテコな茶を淹れたりはせん。儂に淹れてほしかったらもっと上等な茶を持ってくるんじゃな」 信長は、立ったままのエミヤに湯のみを突き出した。 「というわけで、エミヤよ。カステラを焼くなら、茶もついでに頼む」 「君の分のカステラはない」 「なぜじゃ」 一日中ぐだぐだしていたものに食わせる菓子などない。 エミヤはキッチンへ向かった。

「お茶入れて来るね」 と一度座ったマスターがトレーを持って立った。 マスターと一緒にエミヤはキッチンへ入ると、茨木童子が大きな卵を床に置いて待っていた。 「赤い人よ。それでいかに」 まずは卵を洗おう。もちろん殻を食べるわけではないが、卵の表面は汚い。この卵の表面が特別汚れている、というわけではない。一般的に卵の表面は不衛生なのだ。なにせ鳥が卵を産み出す穴は、糞の出る穴と同じなのだ。汚くないわけがない。市場に出回る鶏卵の場合はすでに工場で洗浄されて出荷されている。 しかし洗うにしても、竜の卵はシンクに入りそうもなかった。 家庭用のシンクに比べ、カルデアのキッチンのシンクは広く深いが、それでもこの卵は収まりそうになかった。 シンクの上で卵の底を支え片手で支え、反対の手で水をかける。という方法はどうだろうか エミヤは床に置かれた卵を両手で持ち上げた。 重い まるで岩じゃないか 「なんだ 汝は見かけによらず力がないな」 「茨木童子。すまないが君が手で持っていてくれ」 「なぜ吾が」 「最初に食わせてやる」 彼女には少し高さがあるシンクだが、卵を持ってもらった。 エミヤは鍋を手桶のかわりにして卵に水をかけて洗った。 全体を水で洗ったら、布巾を濡らして絞り卵を拭く。もう一度布巾を洗い、また絞る。布巾を四つ折りにしてキッチン台に置く。茨木童子にその上に卵が転がらないように卵を立てて置いてもらう。 卵を手で触ると表面は荒れた岩肌ようにざらざらしている。軽く叩いた感触も岩のようであった。洞窟で見るのと違いライトの下では白さが際立って見えた。形も左右対称で卵に間違い。 「大丈夫そう」 ヤカンのお湯が沸くのを待つマスターがエミヤに言った。 「中身が孵化直前とかだったらどうする……」 確かにありえなくはない。しかし殻の表面の具合から、おそらく産卵からそう時間は立っていないようにも思えた。 「もしそうであったとしても、吾が食うから案ずるな」 東南アジアには孵化前の卵を食べるバロットという珍味がある。見た目はグロテスクだが味は良いらしい。 「トレースオン」 卵の殻は並みの包丁では刃が立たない。エミヤは干将・莫耶の宝剣を投影した。 垂直に立てた卵の頭を円周状にぐるっと刃で切り込みを入れた。ガリガリと殻が削られる。切り込み線の上を宝剣の柄の底で叩く。いくら固いとはいえ生き物の卵。ひびが入った。ひび割れた箇所から液が浸み出した。 割れた殻を帽子を脱がすようにそっと外す。卵液が糸を引いた。殻を厚みはmmはありそうだった。 卵の中は透き通った卵白で満たされ、中心には真ん丸の卵黄が浮かんでいた。どうみても卵そのものであった。 これなら食べられそうだった。 卵液の全てはボウルにはとても入らないので、殻に入れたまま、かき混ぜることにした。手を入れて混ぜてもいいが、カルデアでは衛生にうるさい人が居るのでそれはやめる。長い菜箸を用意し、切るようにして混ぜる。菜箸はカルデアのキッチンには用意されていなかったので、以前にエミヤが自作したものだ。 かき混ぜた卵液をお玉ですくい、計量カップそそぐ。分量を正確に測り、ボウルに移した。 卵の問題はこれで解決した。

「どう なんかいい匂いしてきたけど、カステラはできた」 食堂に戻ったエミヤに、音を立ててお茶を啜るマスターが尋ねた。 「ああ。焼成まで終わったよ。今は粗熱がとれるまで冷ましている」 「茨木ちゃんは」 「カステラの前でじっとしている。……私も茶を一杯貰っても構わないかね」 「おう。オレっちつがせもらうぜ。旦那、椅子にかけなよ」 「いやいいんだ。またすぐに戻る。つまみ食いされても困るのでね」 「そうかい」 エミヤがカップを食卓に置くと、金時がティーポットから緑色の茶をそそいだ。 「今日は迷惑かけちまったな。本当に申し訳なかった」 金時は机につきそうなほど頭を下げた。 「えっ なんの話ですか なんの話ですか」 「君には関係ない」 そう言って、エミヤは茶を飲んだ。沖田総司は、教えてくださいよお、と口を尖らせた。 「なんや小僧、鶏の卵を食べてしもたこと、まだ気にしとるんかい」 「……そっちじゃねぇよ」 金時の隣に座った酒呑童子が珍しく酒ではなく茶を飲んで言う。 「小僧も茨木もほんま真面目やんな。なんでもかんでも一生懸命で」 それに、と金時を見つめて続ける。 「茨木に説教されんでも、小僧かて、命を奪うことがどういうことか、なんてわかっとるんにな」 金時はカップの中の茶を見つめたまま何も言わない。 「べつに命を奪うんが可哀想やったわけやない。せやろ」 酒呑童子は手元のカップを軽くゆらした。底に沈んでいた細かな茶葉が舞い上がり、また底に沈んでいく。 「小さくても、子供でも、竜は竜。親は死んだ。産まれてくるはずの兄弟も死んだ。それでも竜は竜。あの子はそうそう死なんよ。あんたが気に病むことはない」 「……そうかもな。確かに、生きてはいけるだろうな。……でも、あいつはこれから一人ぼっちだ。まだあんな小せぇのに一人になっちまった。一人にしちまった」 洞窟には生まれたてばかりの小さな子竜がいた。 金時はドラゴンが親だからためらったのだ。卵から兄弟が生まれるかもしれないから、持ち帰ることを拒んだのだ。親を、兄弟を失う子供を哀れんだのだ。 「おい いつまで待たせる」 茨木童子がキッチンからドアを勢いよく開けて言った。 焼きたてのカステラが冷めるのを、目の前で待たされていたのだ。苛立つのも無理はない。 「悪かった。もう冷めたころだろう。すぐに切り分けるとしよう」 「吾が一番だからな。約束だからな」 オーブンの天板に触れると、まだかすかに温かいものの粗熱は十分とれていた。天板いっぱいに、長方形の大きなカステラが乗る。長方形の型枠をそっと抜いた。カステラの上面と側面は濃いきつね色に焼けていて、カステラの金色はまだその中に隠されている。そのため一見するとカステラには見えない。市販されているカステラの形は、ここから切り分けられて現れる形なのだ。 パン切り包丁を濡らした布巾で拭き、刃を湿らせた。パンで言う耳を切り取る。金色のスポンジ生地が露わになる。生地の膨らみは均一で、スポンジの気泡は細く、巣も入っていない。完璧な出来をエミヤに予感させた。切り口が真っ直ぐになるように、垂直に切り分ける。見慣れた四角柱となったカステラを、端から二、三センチほどの厚さになるように切り分ける。 人数分の小皿を用意し、ふた切れずつ乗せて楊枝を添えた。 「吾はそっち一番大きいやつだ」 と茨木童子がカステラを指をさした。エミヤにはさして他と大きさは変わらないように見えた。茨木童子の希望するカステラを乗せた小皿に、ついでに切り落とし耳の部分も添えてやる。 「落ち着きたまえ。今、席まで持っていく。椅子に座って、茶を飲みながら食べたほうがうまいぞ」 今にも手掴みで食べそうな茨木童子を制止しながら、小皿に盛ったカステラをトレーに乗せて食堂まで運んだ。 いち早くカステラを目にした沖田総司が、おぉー待ってました、と歓声をあげた。 「なにせ卵を見つけたのは吾だからな。吾が汝らに分け与えてやるのだからな。感謝せよ」 と茨木童子が自慢気に声を張り、酒呑童子の隣に座った。 「はよう、はよう」 急かす茨木童子から順に、エミヤは皿を配った。 カステラの乗った小皿が目の前に置かれると、茨木童子は手でカステラを掴んで頬張った。一切れがタバコ箱ほどのカステラは一口二口で消えた。茨木童子の口はカステラで膨らみきっている。 「おいおい。儂の皿がないぞ」 「君のぶんは無いと言ったはずだが」 「なにっ 本当に儂にはよこさないつもりか」 「どうしても食べたいならば、織田信長。取引だ。貴殿が密かに隠し持っている宇治の抹茶を差し出してもらおうか」 「……なんのことかな」 「とぼけても無駄だ。織田信長、茶人で知られる君がカルデアの茶に満足するはずがない。なんでも、茶々が言うには、カルデアの自室を茶室に改装し、自ら茶を点てて振る舞っているそうではないか」 「茶々め、裏切りおったか」 「クッキー三十枚で話してくれたよ」 「えっ、沖田さん、ノッブにお茶淹れてもらったことないんですけど……」 エミヤと信長の話を聞いていた沖田がぼやいた。 「沖田は侘び寂びとか、茶の味とかわからんし しかしまぁ、仕方ないちょっとじゃぞ。ちょっとだけわけてやる。それでいいじゃろ」 交渉が成立した。 「しかし、カステラってのはホントにゴールデンだな。すげぇ綺麗だ」 金時はカステラに顔を近づけサングラス少しあげた。 竜の卵で作られたカステラの鮮やかな黄色が金時の碧い瞳に映った。 「これほんまおいしいわ。あんたも見てないで、はよ、お食べ。茨木に食われるで」 酒呑童子はカステラを楊枝で一口大にして自らの口に運ぶ。 「食べて、力つけて、また島まで、あんたが遊びに行ってあげたらええ。バチバチっと。得意やろそういうの」 「……そうだな」 金時は酒呑童子の言葉に頷いた。 「よっしゃ ゴールデンにいただくぜ いたただきます」 金時は深々とカステラに拝むと、カステラを口へと運んだ。

カステラを食べ終えたエミヤはキッチンに戻った。
食堂からは談笑の声がキッチンへと届く。
織田信長から譲られた茶葉を密封瓶に移す。その僅かなあいだ空気に触れただけで茶葉から香りが吹き出た。『グリーンティ:宇治』と手書きのラベルを瓶に貼った。
ヤカンに水を入れ火にかけた。
良質な茶を淹れるときは緊張する。湯の温度、茶葉の量、抹茶にするなら葉の挽き具合。茶のポテンシャルを引き出せるどうかは腕次第だ。
キッチン台のうえに置かれたドラゴンの卵を見た。まだ卵の中身は有り余るほどある。今日中に調理してしまおう。だし巻き卵、オムレツ、オムライス、茶碗蒸し、たまご料理は無限大だ。
そしてスイーツも。
卵を使ったスイーツといえば、あれだ。
エミヤの腕が鳴った。

次回予告
プリン祭りはじまる(未定)

終わり。







Comments

  • リゾット

    こういう日常系好きです。私も待ってます。

    June 17, 2017
  • ケピAuthor

    すまない、、、まだ筋すらできていないんだ。本当にすまない。嘘予告だったんだ。 でも、コメントを唯一くれた君のために書くよ。たぶん。

    June 16, 2017
  • ゴールデン

    プリン祭り待ってます

    June 16, 2017
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