「トップの人たちがもっと野球を勉強して」ダルビッシュ有が3年前に指摘していたWBCの“敗因”「頑張ってください、だけじゃ変わらない」
現実になってしまった危機感
「どうやったら勝てるの、野球って何なの、じゃあピッチャーって……。トップの人たちがもっと野球のことを勉強して、もっと野球で本当に勝つために、勝つとはどういうことなのか、やっぱりちゃんと理解して勉強して組織を作っていけば、もちろんそういう組織になっていく。監督やコーチたちに経験があるから、頑張ってください、お願いします、勝ってください、それじゃあ、変わらない」 3年前にダルビッシュが抱いていた危機感は、くしくも今大会、WBCの成績として日本が初めてベスト4を逃す、という結果につながった。組織全体で目指すべき目標、テーマを定めなければいけない。 確かに3〜4年に1度のWBCとそのメンバー30人のために、ピッチクロックの導入が日本で必要なのか、議論は必要だ。ちまたで言われるNPBの“飛ばないボール”の反発係数を上げるべきか、という論争もしかり。しかし、最も重要なのは日本の野球界がどうあるべきか、だ。ここにダルビッシュの信念がある。 「もちろん(MLBに)追いつくのは難しいと思うんですよ。(それでも)自分としては常に上を目指してきてますし、ここでいいやって思ったことがないので。自分としては常に上を行く、常に自分を良くしていくっていう考えなので、それは日本球界もそうです。 日本球界は自分のものではないのは理解しています。ただ同時に理想として、やっぱり『日本の野球は今一番楽しいし、一番レベルが高いよね』って、野球を知っている人にいわれたい。もちろんメジャーは今も一番ですし、この先もしばらくそうなっていくでしょうけど、いつか日本がトップになってほしい」
ダルビッシュが望んでいる「議論」
日本も、ジュニア世代から「侍ジャパン」として組織を一本化し、選手の強化、海外遠征などを通じて世界を知る取り組み、世界と戦うための準備を続けていることは知っている。 だが、ダルビッシュの言葉に耳を傾けるなら、世界最高峰のリーグであるMLBの第一線で戦う選手たちから、もっとヒアリングをするべきではないのか? 強化をする問題意識は、共有されないのか? 日本球界が全体で発展するために共通認識はあるのか? MLBの最先端テクノロジーとそれを活用するコーチは、どんな取り組みをしていて、それを日本にどう生かすべきなのか? ダルビッシュは、NPBから意見を求められれば、知りうる限り答え、できる限り協力する心構えだった。その姿勢は、おそらく、いや絶対に今後も変わらない。 オールジャパンが、オールMLBに勝つ——。野球関係者、そしてファンの夢を実現するためには、ダルビッシュが望んだ「議論」をスタートすることが、真の世界一への第一歩だ。 〈全2回の2回目/はじめから読む〉
(「侍ジャパンPRESS」山田結軌 = 文)
【関連記事】
- 【はじめから読む】前回WBC優勝後「日本の関係者からは何も聞き取りがなかった」ダルビッシュ有の危惧が現実に…「振りしぼって、なんとか勝った」後に必要だったこと
- 【写真】「ダルさん、優しい…」伊藤大海らピッチャー陣を見守りアドバイスを送るダルビッシュの姿&前回大会の“ダルビッシュ塾”もプレイバック
- 【こちらも読む】「ダルビッシュ有が10分間マンツーマン指導…広島カープ“無名23歳ピッチャー”は誰?」39歳臨時コーチが自ら話しかけた…現場記者が見た「理想の上司像」
- 【プレイバック】「先発ダルビッシュさんなので」“饒舌な大谷翔平”に記者驚き「普段は秘密主義だが」「心配は杞憂に」WBC初の二刀流後…テレビに映らない舞台裏
- 【あわせて読む】「宇田川会」主役のいま…右肘手術→育成契約「野球を見るのが辛かった時期も」前回WBC代表・宇田川優希が語る「今も続く恩人・ダルビッシュ有との絆」