16→22
士弓で現パロ。 twitterの「RTとファボで受け攻めの年齢を決めるタグ」で16歳×22歳となりましたのでそのお題で書かせていただきました。
アーチャーはバーの雇われマスター、士郎さんは年の離れた幼馴染で時々その店でアルバイトしてます。オーナーは凛ちゃん、常連にランサーがいます。というどうでもいい設定まで考えましたがあまり気にしなくて構いません。
年下攻めがド性癖なので楽しく書けました。
べったーの再録にあたり少しだけ加筆修正しBL色を少し強くしてみました。
楽しんでいただけましたら幸いです。
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聞こえなかったふりは通じなかった。
何より、力任せに壁に押し付けられ、人を殺しそうな眼差しで睨み上げられているのだ。
ギラリと光る瞳はよく見知った柔らかい琥珀のそれではなく、色濃く沈む色へと変じていた。
これは樺色だろうかと的外れな事を思い浮かべ、そうか、自分は存外あの色が好きだったのだと、ふいに思い当たった。
「くそ!余裕こきやがって……」
絞り出すように零れたのは声変わりこそ済んだものの、まだ少年の域を出ない声で、そういえば今着ているものも通っている高校の制服だ。
「高校入学おめでとう」と贈った言葉に、はにかむように笑っていたのは、ほんの数ヶ月前の事だというのに。
「どうせ、アンタにとってはガキのたわごとでしかないんだろうな。でも、ガキの頃から俺はアンタを……」
震える手がシャツを握りしめ、がくりと項垂れる。
「アーチャー」
絞り出すように名前を呼ばれて心臓が軋んだ。
ガキめ。
あれだけ露骨に人を見ておいて、それに込められたものに気がつかないと思ってか。
遣り手オーナーの黒髪の少女や、常連のいけ好かない青い髪の男に、鈍感だの朴念仁だのと散々に言われ放題されている自分でさえ気がつくレベルだぞあれは。
それでも、ただの幼い憧れか一時的な錯覚だと、本人もいつかそれに気がついてあっさり冷めるだろうとそう思っていた。いや、願っていたのかもしれない。
だから、向けられる気持ちに応える事も拒絶する事もせずに、ここまで来てしまった。
それがどうだ。
こんな、誤魔化しも逃げもできない状況で、少年ならではのひたむきさをぶつけられて、余裕どころか途方にくれる羽目になってしまっている。
そもそも、何の想いも抱いてなければ、さっさと突き放して距離を取って終わりにしている。
好き勝手喚きやがって、このクソガキめ!
投げつけてやりたい罵倒を堪えて代わりに小さく息を吐いた。
顔を上げ、開店途中の店を見回した。
磨きかけのグラスののったカウンターに、並んだスツール、クラッシュしようと思っていた氷はまだクーラーの中だ。
今夜は予約の客もいないし、幸いにも週の中日だ。
つまり、開店が少々遅れても、最悪の場合、開店できなくても店の売上にはそう影響はないだろう。
そこまで打算的に考え、それが逆に言い訳じみていて、我ながら面倒くさい奴だと苦笑する。
その振動が伝わったのか、むっとした顔が上目遣いに睨んでくるのに笑い返してやれば、眦がきつくなっていく。
「お前……!」
文句か何かを言いかけただろう口を、自分のもので塞いだ。
「!? !!!!」
触れるだけですぐ離せば、真っ赤になって目を白黒させている間抜け顔に少しだけ溜飲が下がった。
「それで、どうする?」
口の端を上げて挑発してやれば、覚悟を決めたらしい顔が伸び上がって近づく。
「アンタのそういうとこ、本当にムカつく!
でも好きだ!」
ストレートな言葉とともに押し付けられた唇は、キスというにはあまりにも稚拙だったが、それでもそんなものに鼓動を早めてしまう自分も大概だと内心ため息をついた。
そして、口づけたまま相手の背中を引き寄せながら、ドアの札を準備中のままにしておいて良かったと密かに安堵したのだった。
End
理想の士弓、理想の年下攻でした!引っ付く前のお話も見たいし、その後も見たい……。(続)の二人もめちゃくちゃ可愛かったです!