冬優子「ふゆの声で気持ちよくなったの!?」 P「言葉に悪意がありすぎる」
冬優子のささやきボイスが発売されるとしたら言い値で買います。つまりはそういうことです。
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冬優子「悪意もなにも、ようはそういうことでしょ?」
P「まるで違う。誤解を助長する発言をするな」
冬優子「だったら、この企画書はなによ?」
P「『283プロダクションささやきボイス』がどうした?」
冬優子「これ、あんたが出す企画よね?」
P「厳密に言えば違う。これはアルストPが中心になって事務所単位で動く企画だ。それは俺の担当についてまとめた企画にすぎない」
冬優子「『各ユニットから1人選出し、同じ台本を読ませることによってそれぞれのアイドルが持つ個性を引き立たせる』……ねえ」
P「ファンの反応次第では第2弾、第3弾と続けていく予定だ。ストレイライトの第1弾として、冬優子を選出しただけだ」
冬優子「つまり、あんたはあさひや愛依よりもふゆの声がささやきボイスに向いていると判断したってことよね?」
P「企画の内容に対して3人の中で最も適していると判断したのが冬優子だというだけだ。語弊の無いよう先に言っておくと、選出は事前に事務所のプロデューサー全員で議論した上で決められているから、俺の一存ではない」
冬優子「……あんたじゃなくて、事務所としてふゆが選ばれたってこと?」
P「そうだ。ちなみに他のユニットからは真乃、霧子、凛世、千雪、雛菜が選出されている」
冬優子「……企画の中心はアルストPさんって言ってたわよね?」
P「もっと言えば、企画立案もアルストPだ」
冬優子「おもいっっっきり公私混同じゃない!!」
P「公私混同なのは事実だが、需要は見込めると事務所的に判断した」
冬優子「そりゃ、アイドルのささやきボイスなんて需要が高いに決まってるでしょ」
P「性的欲求を満たすものじゃない、至って健全なものだけどな」
冬優子「あんたが性的欲求っていうと、かえってヤラシさが増すから止めた方がいいわよ」
P「……ご忠告どうも」
冬優子「で、あんたはだれを推薦したのよ?」
P「冬優子だが?」
冬優子「ほらみなさい!」
P「どちらかと言えばアイドルの仕事というよりも声優の仕事だ。だとしたらあさひや愛依よりも冬優子の方が適していると判断したにすぎん」
冬優子「ふゆ、アニメは好きだけど別に声優になりたいわけじゃないわよ?」
P「それでも2人よりは声優という仕事に理解が深い。それに、ささやきボイスについて一から説明する必要もない」
冬優子「……確かに、あの2人はささやきボイスなんて知らないでしょうね」
P「そういえば、冬優子はこういった音声作品を聞いたことあるのか?」
冬優子「この間ふゆの好きなアニメに出ていた声優さんが出演されていたから聞いてみたわよ。ASMRは感じなかったけどね」
P「それだ。そもそもとして、ASMRってなんだ?」
冬優子「川のせせらぎとか耳かきとか、とにかくなんか耳で気持ちよくなるやつよ」
P「それくらいは俺も調べた。聴覚だけじゃなくて、視覚的刺激であっても心地よいと感じればASMRと呼ぶらしいな。更に言えば、医学的にも学術的にも存在が確定していないことも調べた」
冬優子「なに、科学的に証明されたことしか信じないってやつ?」
P「生憎、そこまで信仰できるほど科学を心酔していない。科学的に証明できないことだっていくらでもあるだろ」
冬優子「だったら、なにが言いたいのよ?」
P「……少なくとも俺は、生きていてASMRを感じたことがない。だから、今回の企画が始まるにあたりそれを謳う音声作品をいくつか聴いてみたがその感覚が、まるで理解できん」
冬優子「……ふーん……」
P「なんだその目は?」
冬優子「別に。だから、あんたはふゆの声に気持ちよくなったわけじゃないって言いたいわけね」
P「言葉にトゲがある気がするが、そういうことだ」
冬優子「だったら、あんたはふゆの声好き?」
P「……は?」
冬優子「あんたは、ふゆの声を聞いてどう思うのよ?」
P「……冬優子?」
冬優子「どうなの?」
P「……おまえ、自分がすごいこと言ってるのわかってるか?」
冬優子「わかってる」
P「だったら――」
冬優子「だから、正直にこたえて」
P「……………………」
冬優子「……………………」
P「………………」
冬優子「………………」
P「どちらかと言えば、ふゆモードの時の冬優子の声はわりと好きだぞ」
冬優子「…………へ?」
P「冬優子、ふゆモードの時は話し方だけじゃなくて声の出し方も変えてるだろ? ふだんの冬優子とのギャップがおもしろくてな」
冬優子「…………」
P「魅せ方がうまいというか、研究の末にたどり着いたものなんだろうなと端から見てると思う」
冬優子「…………」
P「話をしていて楽しいのは普段の冬優子だけどな」
冬優子「はぁあああああ!?!?!?」
P「どうしたいきなり?」
冬優子「どうした? じゃないわよ! なんであんたはいつもそうなのよ!?」
P「なにがだ?」
冬優子「皮肉れているというか、どうして素直に言えないの!?」
P「そのセリフは普段から俺が冬優子に対して思っていることなのだが、そう返してもいいか?」
冬優子「うるさい!!」
P「理不尽だ」
冬優子「あんたはふゆの担当なんだから、このぐらいの理不尽受け入れなさい!」
P「自覚がある点が余計にひどい話だな」
冬優子「とにかく! 話をまとめると、あんたはふゆの声にASMRを感じたってことでいいのよね?」
P「今までの会話のなにをどうまとめればその結論になるんだ?」
冬優子「いいわよね!?」
P「そもそもだ。なぜ俺は冬優子の声にASMRとやらを感じないといけないんだ?」
冬優子「は?」
P「担当だからどうっていうのなら、俺は別にあさひにも愛依にもASMRは感じていないし、他のプロデューサーだって別に……いや、なんでもない」
冬優子「……すごく気になるけど、あんた以外のプロデューサーのことはこの際置いておいて、あんたはふゆにASMRを感じなさいよ!」
P「だからなぜだ?」
冬優子「なぜって……だから、あれよ!」
P「だいたい、俺が冬優子の声だけで満足するわけないだろ?」
冬優子「……は?」
P「電話越しでもあるまいし、ほぼ毎日イヤでも冬優子に会うのに、なんで冬優子の声だけを評価しないといけないんだ?」
冬優子「イヤでもってなによイヤでもって」
P「ものの例えだ。深い意味はない。とにかく、せっかく目の前に冬優子本人がいるのに、わざわざ声だけを聞いてどうこう思えって方がおかしいだろ?」
冬優子「……だったら、あんたはふゆと話すことをどう思っているのよ?」
P「さっき言っただろ? 冬優子とこうして話しているのは楽しいって」
冬優子「話すだけなら、それこそ電話でいいでしょ? ごまかすんじゃないわよ」
P「そうだな……少し古くさいかもしれないが、こうして面と向かって話すことで俺は冬優子のバイタルチェックをしている節もある」
冬優子「なにそれ。ふゆと話すことは業務の一環だって言いたいわけ?」
P「業務の一環でなにが悪いんだ? アイドルとプロデューサーの関係じゃなかったら、俺が冬優子と接点があったと思うか?」
冬優子「ま、あんたがふゆをナンパするわけないし、ナンパだったらあんたなんかこっちから断ってたわね」
P「そりゃそうだ。スカウトでもないのに、俺が冬優子に声をかけるわけないだろ」
冬優子「……それって、ふゆはあんたのタイプじゃないってこと?」
P「それこそ前から言ってるだろ? 冬優子は俺のタイプじゃないって」
冬優子「…………言ってるわね…………」
P「でも、アイドルにしたいのは冬優子だ」
冬優子「…………知ってるわよ」
P「だったらいいだろ。俺と冬優子との関係に、アイドルとプロデューサー以上のものが必要か?」
冬優子「今は必要ないわね」
P「そうだ。今はそれでいい。後のことは冬優子がアイドルを引退したときに考えればいい」
冬優子「……だったら、あんたはずっとふゆのそばにいてくれる?」
P「冬優子がアイドルでいる間なら、極力そばにいてやる」
冬優子「そこはちゃんと言い切りなさいよ!」
P「何があるかわからない以上、それはできない」
冬優子「ああ! もう、あんたは!!」
P「ああそうだ。この企画は通すぞ?」
冬優子「ええどうぞ! こうなったら覚悟しなさい! 絶対にふゆの声であんたを気持ちよくさせてやるから!」
P「精々がんばってくれ」
冬優子「なによその投げやりな言い方!
P「今更俺が冬優子の声でどうこうなるわけないだろ?」
冬優子「――そう? だったら、ちょっと耳貸しなさい」
P「……これでいいか」
冬優子「目も閉じなさい」
P「……閉じだぞ」
冬優子「………………」
P「………………」
冬優子「ふゆは、プロデューサーの声を聞くと安心しますよ」
P「――っ!?」
……今更、俺が冬優子の声でどうこうなるわけがない。
ささやきボイスの各ユニット代表が全員どストライクなので発売してくれたら言い値×5払える