若者が「生活保護」から抜け出すために働いて「負のループ」に 「見えないホームレス」から脱するには
■「見込み収入」より稼ぎが減って 小野さんは、初月こそ8万円を手にできたが、翌月からは体調が悪化したり、こなせそうなバイトを探すことができなかったりして、「見込み収入」より稼ぎがはるかに低くなってしまったのだ。8万円を翌月にまるごと残しておくことができればまだ良かったが、ただでさえ低い保護費と物価高に苦しみ、難しかった。もちろん不足分はいずれ支給されるが、すぐではなく、時間がかかる。保護費の入金日までの「日銭」すら危うく、家賃の滞納につながりかねない状況に追い込まれた。結局は仕事を控えて生活保護で暮らすことにした。 「保護費が減った分を埋めるため、不安定な仕事で働き続ける、というループにはまってしまいます。安定した職を探す余裕もありませんから、簡単には抜け出せなくなるのです」(佐々木さん) こうした若者が増えた背景には、ブラック企業の問題があるという。前出の小野さんのように、ブラック企業に使い捨てされ、十分な技能をつけられないまま身体を壊したり精神を病んでしまったりした若者たち。さらにさまざまな事情で親や親類を頼ることができない人が、不安定就労の道にハマりやすい。 「若者たちが、都合のいい労働力として、不安定な就労現場に『調達』されているのです」(佐々木さん) ■安定した職につけず再相談 佐々木さんのもとに相談にやってくる若者は、働く意欲のある人が多い。だが、それが必ずしもプラスには働かない現実がある。 相談内容で目立つのが、「何日後からの仕事はあるが、それまで助けてほしい」「〇カ月先から寮に入れる警備の仕事が決まっていて、それまでの支援をお願いしたい」という相談だ。 こうした相談者の約3割は、結局は安定した仕事につけずに再相談に来るのだという。 「例えば、そのイベントの期間だけの警備の仕事で、次の仕事が見つからないまま退寮したり、急な人員削減で寮を追い出されたりといったことが、実際に起きています」