冬優子「水着の仕事?」 P「断った方がいいか?」
冬優子の水着姿を独占したいが見せびらかしたい気持ちもあるプロデューサー心。つまりはそういうことです。
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冬優子「はあ?」
P「いや、冬優子がやりたくないのかなと」
冬優子「何でそう思ったのよ?」
P「大変だろ? 食事管理とかスタイル維持とか」
冬優子「そんなの、アイドルなんだから当然じゃない」
P「しばらく、辛いものも夜食のラーメンも食えないんだぞ?」
冬優子「こどもじゃないんだし、そのくらい我慢できるわよ」
P「この間、テレビ局のディレクターさんに冬優子好みの店教えてもらったんだが?」
冬優子「……行ってきたの?」
P「めちゃくちゃうまかった」
冬優子「……絶対に連れて行きなさい」
P「よしなに」
冬優子「っていうか、この仕事を断る理由がないでしょ」
P「各社合同の新作水着コレクション。そこに参加する某メーカーのファッションモデル。なんちゃってじゃない格式高いものだから観客も男性のみの申し込みはできないし、関係者もほとんどが女性。ここまで好条件な仕事はそうそうないだろうな」
冬優子「そう! しかも、事務所にじゃなくてふゆに直接オファーが来たんでしょ?」
P「ああ。是非にとのことだ」
冬優子「だったら、なにをためらってるのよ!?」
P「開催日」
冬優子「へ……ああ」
P「その次の週がストレイライトのミニライブだ。一応言っておくと、先に決まっていたのはそっちの方だ」
冬優子「わかってるわよそのくらい」
P「で、ライブの準備や練習をしながらファッションモデルの仕事は困難だと現状判断している。だからオファーをためらっている。他に聞きたいことは?」
冬優子「そんなの、ふゆが頑張ればいいだけのことじゃない」
P「ファッションショー当日までのスケジュールをもらったが、3人で練習する時間が大幅に減ることが予想された。冬優子のせいでライブのクオリティーを下げるわけにはいかない」
冬優子「いつもの曲だけじゃなくて、新曲もそこで発表するから、お粗末なものは見せられないってこと?」
P「付け加えて言えば、このライブは久しぶりにストレイライト3人での仕事だ。最近ソロでの活動が増えた以上、このライブは極めて重要だと考えている」
冬優子「プロデューサーみたいなこと言うのね」
P「プロデューサーだからな」
冬優子「あさひと愛依のスケジュールは?」
P「調整できなくはないが、態勢に大きな変化はないな。突き詰めるとこれは、冬優子のスペックの問題だ」
冬優子「どういう意味よ?」
P「別に冬優子のスペックが低いという意味じゃない。だが、新曲の練習をしながら、ファッションモデルという未経験のことをしなければならない。当然モデルとしての技術を身につける必要があるし、そこに時間を割かざるおえない」
冬優子「つまり、ふゆには両立はできないって言いたいわけ?」
P「冬優子がというより、うちの事務所で安心して任せられるやつは誰もいないな。人間はそこまでマルチタスクできるほど器用じゃない」
冬優子「どっちつかずになるくらいなら、断るしかないってこと?」
P「リスク管理の問題だ。中途半端なものを見せて信用を失うくらいなら、次の機会を狙う方がいい」
冬優子「――ねえ」
P「なんだ?」
冬優子「そんなに、ふゆが信じられない?」
P「……その言葉、そっくり返してもいいか」
冬優子「……どういうことよ?」
P「確かに、この仕事は好条件だ。手放すには惜しすぎる話だ。だがな、次の機会を俺が用意できないと思ってるのか?」
冬優子「そんなわけないじゃない」
P「は?」
冬優子「あんたのことは信用してる。この仕事を断っても同じくらい、それ以上の仕事をさせてくれるって思ってる。でも、それがこの仕事を断る理由にはならない。そうでしょ」
P「……冬優子を信用して、ライブもモデルも完璧にやり遂げる方に賭けろと?」
冬優子「トーゼン」
P「……俺は、その場の勢いや感情で物事を決めるのが嫌いだ。経験上、大抵その決定は間違っているからだ」
冬優子「あんたがそんな熱い人間なわけないじゃない。この冷血漢」
P「だから、はっきり言わせてもらう。勝算はあるのか?」
冬優子「勝算?」
P「信用などという曖昧なものじゃない。俺が冬優子に賭けられるだけの根拠を用意できるのか」
冬優子「あるじゃない」
P「どこに?」
冬優子「あんた」
P「……は?」
冬優子「あんたはふゆのプロデューサーで、ふゆはあんたの担当アイドルでしょ。それ以上の根拠が必要?」
P「………………」
冬優子「あんたなら、ふゆがライブもモデルも完璧な仕事ができるようになんとかできるでしょ」
P「…………」
冬優子「ふゆはそれを信じてあげる。だからあんたは、ふゆを信じなさい。今回だけは、あんたの手の平で転がされてあげる」
P「……」
冬優子「簡単なことよ。あんたは自分を信じてふゆを信じればいいの。ふゆはそれに応えてあげるから」
P「……大変だぞ」
冬優子「そうね」
P「しばらく、オフもなくなるぞ」
冬優子「別にいいわよ」
P「激辛ラーメン、我慢できるな?」
冬優子「全部終わったらあんたのおごりね」
P「……わかった。先方には受ける方向で連絡する」
冬優子「よろしくお願いしますね?」
P「……冬優子」
冬優子「なに?」
P「ムシャクシャするから、冬優子で遊んでいいか?」
冬優子「いいわけないでしょ!」
P「遠慮しなくていいぞ」
冬優子「あんたはふゆに遠慮しなさいよ!」
P「そういいつつも冬優子は遊ばれてくれるって信用してるのだが?」
冬優子「信用の仕方が歪みすぎでしょ!?」
P「冬優子って誘い受けの素質あるよな」
冬優子「あんたが勝手にそう思ってるだけでしょ!」
P「御託はいいから早く遊ばれろよ」
冬優子「いい加減思考が危険よ!」
P「……最後のは冗談だぞ」
冬優子「本気だとしたらとっくに逃げてるわよ!」
P「それでいい。冬優子は危機管理能力が高いから助かる」
冬優子「あんたねえ……」
P「そんな目で見るな。俺にとって一番のストレス解消法が冬優子で遊ぶことなんだから許せ」
冬優子「……大体、なんで急にムシャクシャしたのよ。全然そんな話してないし、そんな雰囲気でもなかったじゃない」
P「……冬優子のせいだろ?」
冬優子「はぁあ!?」
P「自分を信じて冬優子を信じろって冬優子に言われて、プロデューサーとして自信なくしたんだよ」
冬優子「はあぁあああ!!??」
P「冬優子への負担だリスク管理だって言い訳して、いつの間にか弱腰になってたんだな。ちょっと前までの俺なら間違いなく冬優子に両立させたのに」
冬優子「……そうね。あんたらしくなかったわね」
P「だがな、それだけストレイライトが――冬優子が駆け上がってる証拠でもあるわけだ。くだらない失敗ができないくらい、おまえたちがアイドルとして成長してるからだ」
冬優子「まだまだあさひの方が前に進んでるけどね」
P「一方の俺はどうだ。自分の気づかないうちに、安全牌を選択するようなくだらない人間になってて、それを冬優子に、よりによって冬優子に気づかされた。酒が入ってたら男泣きしてたぞ」
冬優子「色々言いたいことはあるけど、よりによってってどういう意味よ」
P「つまらない人間にはなるたくないと思ってたんだがな……俺も歳を取ったってことか」
冬優子「無視をするな無視を」
P「冬優子」
冬優子「……なによ?」
P「帰るぞ」
冬優子「は?」
P「今日はもう仕事にならん。無理矢理仕事をしてもかえって今後の仕事に支障を来す。そういう日は帰って風呂入ってメシ食って寝るに限る」
冬優子「それに、なんでふゆが関係あるのよ?」
P「家まで送ってやるから話し相手になれって言ってるんだ。そのくらいわかるだろ?」
冬優子「いや、今日は帰りに行きたいところがあるんだけど」
P「今日発売の新刊なら、昼間営業の帰りに買っておいたから気にするな」
冬優子「はぁ?」
P「安心しろ。ちゃんと買う店を変えたから店舗特典も2種類ある」
冬優子「そうじゃなくて、なんであんたが買ってるのよ?」
P「明日感想会しないのか?」
冬優子「……するけど」
P「なら、今日はもう直帰だ。悪いが付き合ってもらうぞ」
断ったら、どうなるかわかってるな?
えっちだよねホント