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冬優子「抱きしめて」 P「優しくはできないぞ」/Novel by 紅木弘

冬優子「抱きしめて」 P「優しくはできないぞ」

4,039 character(s)8 mins

冬優子の弱さを受け止められるだけの大人になりたい。つまりはそういうことです。

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冬優子「それでもいいから。早く……」

P「ああ……」


ダキ


ギュッ!


冬優子「……痛い」

P「優しくはできないと言ったはずだ」

冬優子「それでも,力強すぎ」

ギュー

P「……このくらいでいいか?」

冬優子「……うん」

P「他に,何かして欲しいことはあるか?」

冬優子「ふゆのプロデューサーなんだから、そのくらい自分で考えなさい」

P「冬優子のプロデューサーとして言わせてもらえば、この状況がすでに現実的じゃないのだが?」

冬優子「……そうね。これ、夢じゃないのよね」

P「少なくとも、俺の夢ではないな」

冬優子「何でそう言い切れるのよ」

P「俺の夢なら、冬優子が自分から抱きしめて欲しいなんて言うわけがない」

冬優子「自分からは言えないから、ふゆに代わりに言わせてるとは考えられない?」

P「生憎そこまでヘタレではないつもりだ。夢の中でなら、なおさらかっこつける」

冬優子「……そっか」

P「そうだ」


冬優子「……あんたって、ちゃんと血が通ってたのね」

P「は?」

冬優子「……あったかい」

P「……そりゃ、生きてるからな」

冬優子「この前、あさひがあんたのことロボットじゃないかって、マジメに考えてたわよ」

P「は?」

冬優子「毎日朝早くから夜遅くまで仕事してるし、ご飯抜くことも珍しくないし、休んでる姿を見たことないからだって」

P「適度に休憩してるし、メシはちゃんと食ってるし、労基に触れない程度には休んでるんだが?」

冬優子「あいつにはそう見えないんじゃない?」

P「休憩時間にあさひとも遊んでるんだけどな……」

冬優子「もっとかまってあげたら? あいつ、今度愛依と一緒に買い物行くって言ってたわよ」

P「冬優子は行かないのか?」

冬優子「ふゆには内緒の買い物なんだって。冬優子ちゃんをびっくりさせるっす! って意気込んでた」

P「……まあ、あいつらもアイドルとして成長してるし、大丈夫だろ」

冬優子「その間はなに?」

P「冬優子もそう思ったから、無理して付いてこうとしなかったんだろ?」

冬優子「……いい加減あいつらもふゆ離れしてもらわないと困るってだけよ」

P「なるほど。なら、俺も一緒にびっくりさせてもらうことにするよ」

冬優子「……そう」

P「じゃあ、俺たちもあいつらをびっくりさせるか」

冬優子「え?」

P「今度のアイドル私服大公開の撮影。冬優子が一番目立てるようにしないといけないだろ?」

冬優子「……ふゆ、もう用意してるわよ」

P「冬優子の魅力を新規開拓だ。ファンはもちろん、あいつらも驚かせてやれ」

冬優子「あんたのセンス。微妙に古いし、ふゆとは趣味がちょっと違うのよね」

P「他のアイドル達は最先端の服に着させられるから、多少古くても冬優子に似合う服の方がいい。趣味が違うということは普段の冬優子が選ばない服ってことだ。ギャップが狙える」

冬優子「物は言いようね」

P「目下、冬優子のライバルはあさひと愛依だけだ。あいつらをびっくりさせて、ついでに勝たないとな」

冬優子「……別に、あんたなんかいなくても、ふゆ一人であいつらになんか負けないわよ」

P「だが圧勝はできない。二人ならできる」

冬優子「あんた、ストレイライトの担当なのに、ふゆにだけ贔屓していいの?」

P「ストレイライト全体で見たときに、ここらでちょっと仕掛けないといけないと判断した。その仕掛け第一弾が冬優子だ。以降あさひ、愛依と続けていく。多少予定が早まったが、まあ許容範囲だ」

冬優子「……あんたのそういう所をあさひがロボットだと思ってるんじゃない?」

P「どんな形であれ、あさひが俺に興味を持ってるなら問題ない。しばらくはあいつの興味とモチベーションを俺に向け続ける必要がある」

冬優子「……そうやって、ふゆもあんたの思い通りなのね」

P「馬鹿なことを言うな。おまえらほど俺の予定通りに動いてくれないアイドルがいてたまるか」

冬優子「は?」

P「あさひも愛依も、もちろん冬優子も、俺のそろばん通りに動いてくれたことなんて一度もない。俺がどれだけ軌道修正に苦労してると思ってるんだ」

冬優子「ぜんぜん、そんな風に見えないんだけど」

P「そう見せないために、こっちも必死なだけだ。そんなダサい姿、あいつらに見せられるか」

冬優子「……ふゆにはいいの?」

P「先に冬優子の方が見せてきたからな。こっちだって少しは人間っぽいところ見せないと安心しないだろ?」

冬優子「……卑怯者」


P「……さて、そろそろいいか? さすがにそろそろ疲れてきた」

冬優子「……もう少し」

P「……しょうがないな」


冬優子「……あんたのにおいがする」

P「そりゃ、俺に抱きついてるからな……くさいか?」

冬優子「くさくはないけど、タバコのにおいがする」

P「……鼻が効くな」

冬優子「あんた、タバコ吸ってたのね」

P「ちょっと前に、取引先と喫煙室にいただけだ。俺は吸ってない」

冬優子「……そんなことあるの?」

P「他の奴らは知らないが、俺は割と行くぞ。自分が吸わないだけで、別にタバコが苦手なわけではないからな」

冬優子「何のためにわざわざ行くのよ」

P「古くさいかもしれないが、酒とタバコから生まれる何かっていうのは案外馬鹿にできなくてな。むしろ、愛煙家に厳しくなった今、同族意識は強くなったとも言える」

冬優子「だったら、ますます吸わないとダメでしょ」

P「喫煙室で話ができるってことがうれしい人もいるんだよ。一本勧められることもあるが、そこは今のご時世のろりくらりと躱せる。結果として、タバコを吸わずに同様の結果を得られるってことだ」

冬優子「やっぱり、卑怯者よね。あんた」

P「人の懐に入るのがうまいと言ってくれ」

冬優子「大して意味変わらないわよ」

P「耳心地の問題だ」

冬優子「……卑怯者」


P「……もういいな?」

冬優子「……」

P「冬優子?」

冬優子「……どうして……」

P「……」


冬優子「どうして、聞いてくれないの?」


P「冬優子が俺に抱きしめて欲しいって言った理由か?」

冬優子「……」

P「……悪いが、俺はそこまで冬優子を甘やかす気はない」

冬優子「!?」

ギュッ!

P「動くな。俺の顔を見る必要も無い。最後まで聞け」

冬優子「……」

P「抱きしめて欲しいなら抱きしめてやる。話を聞いて欲しいなら聞いてやる。他にして欲しいことがあるのならできる限りやってやる」

冬優子「……」

P「だがな、俺は冬優子にとって都合のいい存在になるつもりは全くない。きっかけぐらい、自分でつくれ」

冬優子「……」

P「安心しろ。冬優子が自分の口から言葉にするまで、こうして抱きしめていてやるから」

冬優子「…………痛い」

ギュー

P「……このくらいでいいか?」

冬優子「……うん」

P「他に,何かして欲しいことはあるか?」

冬優子「……抱きしめて」

P「……もう抱きしめてるぞ?」

冬優子「……もっと強く」

ギュッ!

P「……これでいいか」

冬優子「……痛い」

P「わがままだな」

冬優子「わがままくらい、言わせなさいよ」

P「……俺以外には言うなよ」

冬優子「……言わないわよ」

P「ならよし」

ギュ

冬優子「……ねえ」

P「なんだ?」

冬優子「また、ふゆが抱きしめて欲しいっていったら、抱きしめてくれる?」

P「ああ」

冬優子「聞いて欲しいことがあったら聞いてくれる?」

P「ああ」

冬優子「……キスして欲しいって言ったら、してくれる?」

P「しない」

冬優子「……そこはしなさいよ」

P「だったら、もう少し色気を覚えろ」

冬優子「ふゆ、かわいいわよね?」

P「かわいいが、色気はまだまだ足りないな」

冬優子「じゃあ、どうしたら色っぽくなるのよ」

P「そんなもん知るか。はづきさんか千雪さんにでも聞いてみたらどうだ?」

冬優子「……あの二人のことは色気があるって思ってるんだ」

P「男女問わず、あの二人に色気を感じない人類がいるのか?」

冬優子「それもそうね」

P「ご納得いただけたようで何より」


冬優子「……もう大丈夫」

P「……離すぞ」

冬優子「ええ」

パッ!

P「……さて、冬優子」

冬優子「……なによ?」


P「メシ食いに行くぞ」


冬優子「……は?」

P「は? じゃない。メシだ。今日はラーメンの気分だから、いつもの店な」

冬優子「……今から?」

P「夜中になればなるほどラーメンはうまくなる。この世の普遍の真理だ」

冬優子「ふゆ、アイドルなんだけど?」

P「アイドルだろうが夜中に食べるラーメンはうまい」

冬優子「そうじゃなくて――」

P「むしろ、もう少し食べて胸に栄養を与えろ。そうすればもっと色気も出るんじゃないか?」

冬優子「……はあ!?」

P「急に大声を出してどうした?」

冬優子「どうした? じゃないわよ! 胸? あんた、結局、胸なわけ!?」

P「人をおっぱい星人みたいに言うな」

冬優子「立派な巨乳好きじゃない!! この変態!!」

P「胸が大きい方が好きなだけで変態扱いされたら、世の中には変態しかいないぞ」

冬優子「うるさい! このバカ! バーカ!」

P「……で?」

冬優子「なによ!?」


P「ラーメン、一緒に行かないのか?」

冬優子「……行くわよ!!」

P「味玉は?」

冬優子「食べる!!」

P「なら、とっとと行くぞ……ったく……」


俺が、冬優子に優しくできるわけないだろ?

Comments

  • へへ……いい…

    June 19, 2020
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