国立科学博物館は、つくば市天久保、筑波実験植物園に隣接する筑波研究施設の資料収蔵施設「標本・資料棟」1階に見学スペースを設け、24日から公開を始めた。2023年に新設された地上8階建ての同施設は、12年竣工の自然史標本棟と合わせ、同館が所蔵する標本・資料の9割以上にあたる約520万点を保管する。すでに見学可能な自然史標本棟に続く公開となる。大型化石などを保管する1階の保管の様子をガラス越しに見たり、職員の作業の様子を見学することができ、バックヤードの雰囲気を味わうことができる。
見学スペースからは、生命の成り立ちを研究する生命史研究部が保管する化石や古植物、恐竜化石のレプリカなどの収蔵状況を、ガラス越しに間近に見ることができる。さらに、昨年導入された大型X線CT装置の稼働の様子も公開し、最新の研究と厳重な保存環境の両方を知ることができる。
現在もほんのり木の香りが残る、約9万年前に阿蘇山の火砕流で埋没した直径2.5メートルのスギの木のほか、幅1.7メートルのヒノキ科の樹木メタセコイアの化石、かつて同博物館上野本館で展示されていた恐竜カンブトサウルスの全身骨格復元標本なども並ぶ。
CT装置は、自動車や航空宇宙分野で使われてきた非破壊検査技術を応用したもの。壊せない化石や希少標本の内部構造を、そのままの状態で解析できる。450kVの高出力により、これまで撮影できなかった大型標本や重い元素を多く含む岩石の撮影にも対応できる。また、最大で高さ約1メートル、幅約6メートルの試料に対応し、絶滅哺乳類の頭骨の内部構造解析や、江戸時代の地球儀の内部調査などにも活用されてきた。
未来につなぐ
同研究施設で生命史研究部の研究主幹を務める木村由莉さんは「ここは未来の人に標本を残すための施設。温度や湿度を厳密に管理し、免震構造も備えている」と保存環境の重要性を話す。また、外観に窓が少ない建物について来園者から「一体なんだろう?」と不思議がる声もあったと言い、「ここで何が行われているのか知ってもらい、博物館の裏側にも興味を持ってほしい。『今から(展示会場に)出てくぞ!』という、展示に出る前の化石がどのように保管されているのかも知ってもらえたら」と話すと、「私たちが力を入れるのが試料保存。CT装置で標本を記録し、まさに今、この場所で行われている未来へつなぐ取り組み間近に感じることができる。科学がいかに標本を未来へ残すことを重視しているか。次世代へどう残すかを一緒に考えるきっかけになればうれしい」と語った。(柴田大輔)
◆標本・資料棟1階見学スペースは、筑波実験植物園から入場する。開館時間は午前9時~午後4時30分。入場料は、植物園入場料として大人320円、高校生以下・18歳未満と65歳以上は無料。障害者手帳所持者は当事者と介護者一人まで無料。
◆24日(火)~4月5日(日)は、同博物館の松原聰名誉研究員らが2月に日本で初めて確認した青い鉱物のラピスラズリが展示される。29日(日)午後1時からと2時から、見学スペースで大型X線CT装置を使った作業の実演と、担当研究員による現場解説が行われる。時間は各20分程度、事前予約不要。

