夜鷺甘話

無防備な慈しみ

神神化身 二次創作 夜鷺


比鷺成人済。

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夜鷺甘話

朝焼けの淡い光が、昨夜の熱狂を洗い流すように部屋を満たしていく。

比鷺は萬燈の腕の中で目を覚ました。まだ眠っている天才の顔は、いつもより柔らかく、降伏した後の満ち足りた空気を醸し出していた。

枕元には、昨夜外されたままの眼鏡が、頼りなげに転がっている。

比鷺は、肌から伝わる萬燈の体温に、自分がこの男の所有物であることを再確認した。

指先で、そっと萬燈の眉間に触れる。

いつもは厳格な思考を巡らせているその場所が、今はただ、穏やかな休息に満たされていた。

「……先生」

小さな呟き。

呼ぶだけで、昨夜の劇薬のような悦びが脳裏をかすめ、比鷺の身体が微かに疼く。覡としての清廉さは、もうどこにもない。けれど、この罪深さにこそ、比鷺はこれまでにない安らぎを感じていた。

その時、萬燈の長い睫毛が揺れた。

ゆっくりと開かれた瞳が、朝の光を反射して、昨夜の獣のような銀色とは違う、柔らかい色彩を宿す。

「……起きたか、比鷺」

掠れた低い声。比鷺は、その声が自分を呼ぶためだけに使われることに、またしても胸が跳ねるのを感じた。

萬燈は、自由な方の手で比鷺の襟足に触れ、引き寄せる。額と額が重なり、互いの吐息が混じり合う。

「まだ、夢の続きを見ているような顔をしているな」

「……先生が、あまりに優しく笑うから」

比鷺の答えに、萬燈はふっと口角を上げた。その微笑みは、世界中の誰も知らない、比鷺一人にだけ与えられた敗北の証。

萬燈の手が比鷺のうなじ——昨夜、熾火のように疼いた化身の場所を優しく撫でる。

「夢ではない。お前が俺に刻み、俺がお前に刻んだものは、朝が来ても消えはしない」

萬燈はそう言って、眼鏡に手を伸ばす代わりに、もう一度比鷺を腕の中に閉じ込めた。

窓の外で鳥が鳴き、新しい一日が始まる。

比鷺はただ、この満ち足りた腕の中で、永遠に解けない呪縛——愛という名の独占に、幸福な溜息を漏らした。



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