ブッポウソウという鳥をご存じでしょうか。

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(Wikipedia「ブッポウソウ」より引用 https://ja.wikipedia.org/wiki/ブッポウソウ)

こういうキレイな野鳥です。
近畿でいうと、弘法大師の聖地である和歌山の高野山に多く生息しています。


なんでも、鳴き声が「ブッポウソウ(仏法僧)」に聞こえるからというのが名前の由来だそうです。


最初、この話を鵜呑みにしたときには「ええやんええやん」としか思わなかったのですが、昨日四谷くんと話してて「ブッポウソウ周辺の話がなんかドタバタゴチャゴチャしてる」ことを知りました.

このブッポウソウの話が噛めば噛むほど味が出るので、今日はその味わいを皆さんにもお届けしたいと思います。




①ブッポウソウはブッポウソウと鳴かない

ブッポウソウはブッポウソウと鳴かないようです。


「ブッポウソウ」という鳥の鳴き声が聞こえるところに、たまたまこの青い鳥がいたため、みんなが「こいつがブッポウソウと鳴いているのか~」と勘違いしたらしいです。


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実は「ブッポウソウ」と鳴くのはコノハズクでした。全然違う鳥です。



そんで、ブッポウソウはどんな鳴き声なのかというと、





「ゲッゲッゲ」と鳴きます。


めちゃくちゃ「ゲッゲッゲ」って言ってます。「ブッポウソウ」からかなり遠くかけ離れた声でびっくりしました。





Wiikipedia「ブッポウソウ」でも、


森の中で夜間「ブッ・ポウ・ソウ」と聞こえ、仏・法・僧の三宝を象徴するとされた鳥の鳴き声がこの鳥の声であると信じられてきたため、この名が付けられた。しかし、実際のブッポウソウをよく観察しても「ゲッゲッゲッ」といった汚く濁った音の鳴き声しか発せず件の鳴き声を直接発することが確認できないため、声のブッポウソウの正体は長く謎とされた。


と「ゲッゲッゲ」と鳴くと説明されています。(傍線は唐沢による)

「汚く濁った音」って言いすぎな気もします。こちらが勝手に「ブッポウソウと鳴く」と思い込んでいただけなのに、あまりにもイメージと違う声で八つ当たりしてるみたいです。


「ブッポウソウと鳴くから名前はブッポウソウ」なら、

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こいつの名前は「ゲッゲッゲ」になってしまうのが心配です。





②コノハズクもブッポウソウと鳴いてるのかやや不安

結局、「ブッポウソウ」と鳴いているのはコノハズクというのが判明したようです。

しかし、ウグイスの「ホーホケキョ(法華経)」は頭に思い浮かんでも、「ブッポウソウ」という鳴き声はなんだかピンときません。


そこで、当該のコノハズクの鳴き声を聞いてみると、




「ヒョッヒョッヒョー」でした。






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たしかに「ブッ・ポウ・ソー」のリズムではあるんですが、普通に森の中でこれ聞いて「お、仏法僧って鳴いてる!」とはならないです。「ものすごい仏教への信仰が篤い人が聞きなしたんかなあ」って感じです。



あと、笛をそっと「フォッフォッフォー」と吹いてるような弱い音色なのも面白いです。どうしてもウグイスの力強い「ホーホケキョ」が頭にあるので、ギャップが生まれました。




③ブッポウソウの謎究明のNHKラジオがなんかドタバタしてる

で、コノハズクが実はブッポウソウの声の主だったと判明するきっかけは、1935年のNHKのラジオ放送だったそうです。わかったのだいぶ最近ですね。



Wikipediaにはいきさつがこんな風に紹介されています。

1935年昭和10年)6月7日日本放送協会名古屋中央放送局(現在のNHK名古屋放送局)は愛知県南設楽郡鳳来寺村(現在の新城市)の鳳来寺山で「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴く鳥の鳴き声の実況中継を全国放送で行った
(Wikipedia「ブッポウソウ」)

「ブッポウソウ」と聞こえる鳥の鳴き声の全国中継があったらしいです。鳥の鳴き声の生放送なんてステキです。


そんで、

その放送を聞き、鳴き声の主を探した者が、同年6月12日に山梨県神座山で、「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴く鳥を撃ち落としたところ、声の主がコノハズクであることが分かった。時を同じくし、放送を聴いていた人の中から「うちの飼っている鳥と同じ鳴き声をする」という人がでてきた。
(Wikipedia「ブッポウソウ」)

鳴き声の主を知りたがった人が、同じように鳴く鳥を撃ち落としたようです。撃ち落とすんや。






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ともかく、この放送がきっかけで正体がわかったようです。


あと、この放送に関して、Wikipedia「コノハズク」にはこんな説明もありました。


放送中や放送後にゲストの俳人・荻原井泉水、歌人・川田順、愛知県史蹟天然記念物調査委員・梅村甚太郎の3人の話がうるさいという非難の電話が殺到した。これを踏まえて、翌6月8日はゲストを呼ばずに鳴き声だけにする(番組内容を伝えるアナウンサーだけをおく)ことにし、前日と同じ時間に放送した。すると、この晩もよく鳴き、放送終了後、昨日とは打って変わって絶賛の電話が殺到した。
(Wikipedia「コノハズク」)


野鳥ガチの人たちが、「ゲストの声で鳥の鳴き声が聞こえない」とめちゃくちゃ怒って電話したそうです。(ゲストがだいぶ豪華な気がするんですが)


結果、鳴き声のみの放送になったらしいのですが、鳴き声のみの放送てめちゃくちゃ攻めてますよね。






④具体と抽象のちょうど間「ぶっぽうそうサブレ」

高野山はブッポウソウの生息地として有名で、ブッポウソウをテーマにしたお土産も販売されています。



よく目にするのはこちら、




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ぶっぽうそうサブレ(28枚入り) 商品詳細|一の橋天風|高野山のお土産、レストラン、ランチ、宿泊 (ichinohashi.co.jp)より引用


「ぶっぽうそうサブレ」です。


パッケージにあの「ゲッゲッゲ」と鳴くブッポウソウの絵が載ってあります。




なんでも、「高野山の霊鳥(仏の使いのこと)である、ブッポウソウをかたどったお菓子。」だそうです。


どんな形かというと、






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ぶっぽうそうサブレ(28枚入り) 商品詳細|一の橋天風|高野山のお土産、レストラン、ランチ、宿泊 (ichinohashi.co.jp)より引用


なんか不定形で不安になります。





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ブッポウソウに似てる似てないとかは置いといて、「これはそもそも鳥なのか」という議論が有効だと思います。




あと、ブッポウソウが本当の鳴き声に基づいた名前に改名させられたとしたら、このお菓子は「ゲッゲッゲサブレ」になるんやなあと思うと、愛おしさが増すばかりです。




ブッポウソウが好きになってきた

色々と調べると、ブッポウソウ周辺がアツいことに気が付き、だんだんブッポウソウのことが好きになってきました。

べつにブッポウソウ本人は飛んだり虫食ったりして普通に生きてるだけなのに、人間がまわりでワーワー騒いで変に意味付けされてるのとか最高です。


今回、情報をほぼWikipediaから引用しましたが、いつかブッポウソウ関連の書籍もちゃんと調べておきたいです。


あと、四谷くんが教えてくれた、Wikipediaの「広く信じられた謬説」一覧がかなり面白いのでぜひ読んでみてください。