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 内部通報制度を巡り、企業側の体制整備を求める内容が含まれる改正公益通報者保護法が2026年12月に施行される。改正法では、通報後1年以内に行われた解雇や懲戒処分は「公益通報を理由に行われた」と見なされ、企業側から合理的な反論がない場合は「不利益な取り扱い」とされるなど、通報者の保護が強化される。

 だが、通報者がその後、不利な立場に追いやられて法廷闘争に発展したといったニュースは今なお数多く報じられている。裁判に至らずとも、通報者が不利益を被ったという事例であれば枚挙にいとまがないだろう。

 改正法の施行によって通報者の保護強化は一定程度進むだろう。他方で、懲戒処分ではない「不当な配置転換」については罰則規定が設けられていないなど、課題も残る。改正法の施行が近づく中で、その意義と課題の両面を示した判決が1月、東京高裁で出された。

3年3カ月、応接室で1人

 23年、あおぞら銀行の男性行員が同行に対して、内部通報後に下された懲戒処分や降格は無効であり、その後の配置転換によって隔離部屋で勤務させられたことはパワハラであるとして、降格によって生じた未払い賃金や損害賠償の支払いなどを求めて東京地裁に提訴した。一審の東京地裁では請求が退けられたが、二審の東京高裁では損害賠償と未払いの賃金など合わせて約840万円の支払いを同行に命じる判決が下された。原告の代理人弁護士によると、銀行側と原告側の双方が最高裁に上告受理を申し立てているため、判決は確定していない。同行は日経ビジネスの取材に対し「個別の事案については詳細なコメントは控える」と回答した。

 事のあらましはこうだ。判決文によると、男性行員(以下、A氏)は20年6月、同僚行員の顧客の遺言を巡る対応に関して、内部通報を行った。その後、銀行側は同年10月、A氏が14年~20年にかけて周囲と軋轢(あつれき)を起こした言動など10の項目を理由に挙げて、3営業日の出勤停止の懲戒処分を下した。翌21年4月にA氏はそれまで在籍していた部署から人事部付けに配置転換され、管理職層から非管理職層に降格。これに伴い給与も減額された。配置転換後、A氏は本社の応接室が勤務場所となり、原則週3日出社、週2日の在宅勤務という働き方になった。

 応接室には大型ディスプレーやキーボードが設置され、冷暖房は完備、大きな窓もあったが、部屋で仕事をするのはA氏1人だけ。A氏はその後、3年3カ月にわたって応接室での勤務を続け、他部署からの依頼に応じて他行の人材育成の取り組みや銀行の他業態への進出事例など、各種リポートの作成業務に従事した。

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