1/13 インテ無配「I'm your Servant !」
2019年1月13日 COMIC CITY大阪118 第19次ROOT4to5で発行した無料配布ペーパーのWEB再録です。
当日開催された士弓ペーパーラリーに参加させていただきました。
(主催していただいた城田さんありがとうございました!)
※当日は早々にペーパーがなくなってしまい、申し訳ありませんでした。
倫敦で暮らす士弓主従のお話です。お風呂でいちゃいちゃ(当社比)しているだけの小話です。
このあと、無茶苦茶せっ……(略)
余談ですが、今回のペーパーを書くにあたって、西洋の風呂の入り方を色々と調べてみましたが、湯船にのんびり浸かるのが好きな自分には受け入れられないなぁと、しみじみ思った次第です。
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「湯加減はどうだ?」
「ん、いい感じだ」
「そうか……。おい、手を下げるな!」
「っと」
心地よさに気が緩み、手がお湯に浸かりそうになってしまい、お目付役に叱責を受けてしまう。
慌てて腕を持ち上げた。
両手のひらに巻かれた白い包帯が視界に入る。
我ながら痛々しい様子だ。
今日の午後のことだ。
ちょっとした買い出しの帰り、ビルの前でどこかのフロアの窓を入れ替えている現場に出くわした。
大きなガラスがクレーンで上階に吊り上げられていくのを何気なく見ていた時だった。
突如、強いビル風が吹き付けてきて、あ、と思う間も無くガラスが振られて壁にぶつかった。
無残に砕かれたガラスの欠片が落下していく。
と、その真下に小さな子供が2人いるのに気がついた。
何かを考える余裕はなかった。
俺は走り寄りながら、手に持っていた上着に強化を掛けてその子たちに覆い被さった。
「大小の血管及び神経、筋組織の断裂も見て取れるな。通常なら全治1ヶ月といったところか……」
「う、そんなにか……」
「降り注ぐガラスに身を晒せば誰でもそうなる。むしろ手だけで済んだのが僥倖とも言えるぞ」
「それは、一応ちゃんと上着を強化して盾がわりにしたから……」
「なぜ、それを持つ手も一緒に強化しなかったんだ、間抜けめ」
「ぅぐ!咄嗟にだったから、そこまで頭が回らなかったんだよ!……でも、子供は全くの無傷で済んだんだ。俺の手ぐらいなんてことないさ」
「…………」
アーチャーは一瞬、何か言いたげに口を開きかけ、結局鼻を鳴らして話を終わらせた。
「ともかく座れ。治療するぞ」
「うん、頼む」
普段のマスターへの雑な扱いが嘘のように、処置は丁寧だった。
きっちりと巻かれた包帯は、ちょっと動かしたくらいでは緩みそうもない。
「おい、ある程度傷がふさがるまで指を動かすな」
「いや、動かさない訳にはいかないだろ。飯とか、トイレとか、風呂とか……」
ふと、不穏な気配を感じて顔を上げる。
そこには、にんまりと楽しそうに笑う従者がこちらを見下ろしていた。
要するに、根っこの所では世話好きなんだな、こいつ。
食事を手ずから食べさせられ、着替えやトイレを補助され、居たたまれない思いに苛まれながら、俺はそう思い至った。
まあ、こんな風に気まずい思いを抱くだろう俺への嫌がらせも、全くないとは言えないだろうが。
そうして、今はこうして入浴を介助されているのだった。
広い湯船にのんびりと浸かる日本式の風呂を懐かしく思う時が無くもなかったが、西洋の風呂にも随分慣れたと思う。
バスタブの中で体を洗い、髪を洗い、タオルで泡を拭き取って終わり、という風呂文化には当初面食らったが、適宜湯を足しながら半身浴のように入浴するようにすると、これはこれで悪くないと思うようにはなっていた。
「そのまま、手を上げておけよ。頭を洗うぞ」
「ん、頼む」
顔を伏せて目を閉じるのに合わせて、お湯が頭からゆるゆるとかけられる。
そして、しっかりと髪を湿らせた後に、シャンプーを垂らされ優しくマッサージをするように泡立てられていく。
その心地よさに思わず喉が鳴った。
泡を洗い流され、顔と髪を拭き上げられて、目を開けた俺はぎょっとして固まる。
さっきまで腕まくりして風呂を介助していたはずのアーチャーが自身の服を脱ぎ始めたのだ。
見慣れているはずなのに、露わになる褐色の肌に覆われた綺麗な胸筋や腹筋に目を奪われてしまう。
「おまっ、なにを?!」
「いやなに、お前の裸を見ていたらムラっときてな」
「は……?」
「それに、普段から散々に人を好き勝手にしているお前を、今なら逆に私が好き勝手できるだろう?」
「好き勝手って……」
困惑する様子を面白がるように見下ろすと、俺を跨ぐようにバスタブに侵入してくる。
「ちょ、ちょ、ちょっと!ま、待てって、アーチャー!」
「待たん。こら、手を使うなと言っただろう」
寄せられる顔を押し戻そうとした手を慌てて止めた。
「動くな。いいから。……全て、私がしてやる」
今にも唇が触れそうな距離で囁かれて、かかる熱い息にゾクリと肌が粟立つ。
「お、お手柔らかに、」
お願いします、という懇願は奴の口の中に消えた。
End