とあるワンルームマンション。岡本紗良は何となくテレビをつけながら、スマホをいじっていた。
「...次のニュースです。人類が滅亡するまでの時間を示す世界終末時計が過去最短の残り85秒に更新されました..」
ニュースキャスターが真剣そうに話す。何でも、1947年から米国の科学雑誌が行っており、人類滅亡を「0時0分」とした上で、残り時間を示すものらしい。
「そもそも人類の滅亡を分刻み、ましてや秒刻みで測れるわけないじゃん」
くだらないと思い、紗良はテレビを消した。人類の滅亡が数分、ましてや数十秒で計測できるわけがない。紗良は”Animal Spirit”とブラックレター調で書かれているセーターを羽織り、大学の講義に向かった。
夕方だけの講義を終え、紗良は家路を急ぐ。しかし、自宅から数百メートルを目前にして人だかりができていた
「そっか、今日ボロ市だった...」
紗良が住む地域では「ボロ市」と呼ばれる古着や古道具、骨董品などが売られる蚤の市のようなイベントが毎年この時期に行われていた。紗良はすっかり忘れていた。
人をかき分けながら、紗良が進もうとしたその時だった
「お姉さん、この時計をいらないかな」
西洋風の顔立ちをした白スーツ姿の男性が紗良に話しかける。
「すみません、時計ならウチに...」
そう言いかけた時だった。時計をよく見ると、あの「世界終末時計」に似ている。通常の時計の左上半分しかなく、文字盤も9時、10時、11時、12時しかない。時計の上にはブラックレター調で”Die Menschenuntergangsuhr”と書かれている
「...なんかかっこいいです...」
紗良は思わずつぶやく。何とかいているか分からないが、ブラックレター調だとカッコよく見える。
「そう言ってくれたならうれしいな。じゃ、あげるよ」
「えっ、お代は...」
そう言うも、白スーツの男性は消えていた。
返却するわけにもいかず、紗良はそのまま時計を抱えて家に帰った。
初めましてですかね? 怖いけれど使ってみたい感じもしますね~